村上虹郎、UA&河瀬直美監督ら“4人の母”と父・村上淳に見守られ晴れ舞台
2014年7月26日 16:00
[映画.com ニュース] 河瀬直美監督の最新作「2つ目の窓」が7月26日、東京・テアトル新宿で封切られ、主演の村上虹郎と吉永淳、松田美由紀、渡辺真起子、村上淳、河瀬監督が舞台挨拶に登壇。河瀬監督は、立ち見が出る盛況ぶりに満面の笑みを浮かべ、「愛とは自分以外のものを認めることなのかなと思う。そんな愛がこの映画にはたくさん存在してる。それに気づけた時、『2つ目の窓』は開き、より豊かな世界に行けると思う。皆さんの“窓”にカギを渡せるような作品になっていたらうれしい」と語った。
奄美大島の雄大な自然を舞台に、母の死と家族の再生、次世代へと受け継がれていく命のつながりを描き出したドラマ。村上とUAを両親にもつ虹郎は、演技初挑戦にして主演を務め「僕はこの映画のスタッフ・キャストを家族だと思っている。皆さんにも家族になってほしい」と挨拶。壇上の河瀬監督、松田、渡辺を見て「僕にはUAを含め、今4人の母がいる」と照れ笑いを浮かべると、河瀬監督も「なんて贅沢なんだ!」と笑っていた。
虹郎は、一時は映画出演を母・UAから反対されたそうだが、「反対してくれたのは、それだけの愛があって僕のことを考えてくれていたということ。映画をやり終えこの日を迎えた今も、毎日愛を感じている。母は今日のこの次の回に初めて見に来てくれる」と明かした。
一方、出演を「猛プッシュした」という父・村上は、「久しぶりに会うシーンで虹郎の顔が変わっていたので驚いた。河瀬監督ほかスタッフがきっちり追い込んで役になりきれる環境を作ってくれたんだなと思ったけど、それが若さなのか、彼の表現者としてもつ才能なのか。これから先彼が歩んでいく道で、僕も皆さまと見届けたい」と見守った。
河瀬監督は、虹郎の抜てきを「決して親の七光りではない。彼の中に奄美の自然に負けないものを感じた」と強調し、「2人の子だから打たれ強いのは確か(笑)。今はおしゃれ小僧みたいになってるけど、映画の中では紛れもなく“しまんちゅ”」と断言。また、キャスト陣を見渡し「日本を代表する俳優陣だと堂々と胸を張って言える。奄美大島の土地で自分自身の生きざまをえぐり出され、演じるということとスクリーンで生きるということをバランス良く全うしてくれた」と称えた。
現時点で18カ国での公開、フランスでは100館規模の上映も決定している本作。「河瀬監督と本気で戦った映画」と達成感をにじませる吉永は、コンペティション部門に出品されたカンヌ映画祭にも参加し「12分のスタンディング・オベーション。息ができなくなった」と感動を振り返った。また、劇中で歌った奄美の民謡をサプライズで生披露し、透き通った歌声に会場からは大きな拍手が送られた。