モスクワ2冠「私の男」浅野&二階堂、トロフィーに感無量 スカイプ参加の熊切監督も笑顔
2014年6月30日 20:07
[映画.com ニュース] 第36回モスクワ国際映画祭コンペティション部門で最優秀作品賞と最優秀男優賞をダブル受賞した「私の男」に主演した浅野忠信と二階堂ふみが6月30日、都内で会見した。トロフィーを手にした2人は「とてもとても嬉しい。長いこと俳優の仕事をしてきたが、こういう機会はめったにない。やってきて良かった」(浅野)、「とにかく世界の人たちに認められて良かった」(二階堂)とニッコリ。また、台北映画祭に審査員として参加している熊切和嘉監督はスカイプで参加し、「タクシーでの移動中に聞いて大声で叫んでしまった」と喜びをかみ締めた。
桜庭一樹氏の第138回直木賞受賞作を映画化した同作は、日本映画としては唯一、同映画祭コンペティション部門に選出され、1999年の第21回で故新藤兼人監督作「生きたい」以来15年ぶりの最優秀作品賞。故加藤嘉さんが83年(第13回)に「ふるさと(1983)」で輝いて以来31年ぶりの最優秀男優賞を戴冠した浅野は、「あふれる思いでこの役に向かった。監督やスタッフに生意気な態度をとったこともあり、決して気持ちのいいものではなかったと思うけれど、自分の中でこの役にはとことん向き合った。今後も役に対してどこまでできるのか。その気持ちを持続させていくことも大事ですね」と決意の眼差(まなざ)しをみせた。
映画は、天災で孤児になった10歳の少女・花(二階堂)と、若くして花を引き取った遠縁の男・淳悟(浅野)が、寄り添うようにしながら禁断の愛を育んでいく姿を描いた問題作。浅野は、「ふみちゃんがいなかったら、ほかの女優さんだったら、淳悟はいなかった。今回の賞も、ふみちゃんがいなかったらもらえなかった。いつも目の前に花がいた。感謝しています」。一方の二階堂は、「母が映画好きで、映画館に通うなかで浅野さんが出演された作品をいっぱい見た。憧れの大先輩からおほめの言葉をいただいて、グランプリと同じくらい嬉しい」とはにかんだ。
熊切監督は、受賞の報を受け「実家に電話したのですが、夜中だったので母が全く信じてくれなかった」と苦笑い。現地での上映に立ち会い、公式会見では作品の内容から「どういう環境で育ったのか」「どんな宗教観なのか」と問われるなど賛否両論を巻き起こしたといい、「インテリの家庭ではなかったけれど、愛のある家庭で育ったと答えました。これからはより覚悟をもって、1本1本丁寧に撮っていきたい」と決意を新たにした。
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