ふるさと(1983)

劇場公開日:1983年9月15日

解説

やがて湖底に沈みゆこうとしている岐阜県・徳山村を描く。徳山村の出身で、同地で分校の先生をしている平方浩介原作の『じいと山のコボたち』の映画化で、脚本・監督は「日本フィルハーモニー物語 炎の第五楽章」の神山征二郎、撮影は、「アゲインスト むかい風」の南文憲がそれぞれ担当。

1983年製作/106分/日本
原題または英題:Home Village
配給:松竹富士
劇場公開日:1983年9月15日

あらすじ

山狭の徳山村ではダム工事が行なわれていた。静かだった村の道をトラックが砂ぼこりをあげて走りぬけて行く。徳山村に住む伝三は、妻を亡くしてボケ症状が現れはじめていた。離村を余儀なくされている息子の伝六と嫁の花は、ダム工事の手伝いに出かけており、昼の間、伝三は一人である。それがいっそうボケを進めていた。隣人も忘れてしまい、伝六と同衾する花をふしだらな女とののしる伝三を、伝六は離れを建てて隔離する。夏が来て、川で水遊びをする子供たちを見て表情をなごます伝三に、隣家の少年・千太郎はあまご釣りの伝授を頼む。かつて伝三はあまご釣りの名人と言われていた。早起きして出かける二人。伝三のボケは回復に向かう。夏休みも終りの頃、雨の日が続き、再び孤独となった伝三のボケは狂気に近いまでになり、やむなく伝六は、離れに鍵をかけて伝三を監禁した。真夜中に離れで暴れる伝三。千太郎は、伝三に秘境・長者ヶ淵にあまご釣りに連れて行ってくれるようせがんだ。歩きずめで二時間、たどりついた二人は秘境の美しさに目をうばう。そして、伝三に教えられた通りに降ろした千太郎の竿に大ものがかかった。千太郎は伝三に助けを求めるが、伝三は胸をおさえてうずくまっていた。あわてる千太郎を落着かせ、伝三は人を呼びにやらせる。村へと一目散に走る千太郎。その頃、伝三は岩場に横たわり、若き日の美しい出来事を夢見ていた。数日後、小雪の降り散る峠に、村に別れを告げる伝六や千太郎たちの姿があり、花の胸には伝三の遺骨がしっかりと抱かれていた。

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受賞歴

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映画レビュー

3.5 加藤嘉なのか伝三なのか

2026年7月4日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

驚く

1983年公開の日本映画「ふるさと」を見ました。
監督は神山征二郎、主演は加藤嘉。
先日、「点と線」で老練の鳥飼刑事を演じていた加藤嘉を見て、他のも見てみたくなったからです。
多くの作品に出演された加藤嘉ですが、初期の頃は存知上げず、私が意識して加藤嘉を確認し始めた1970年頃以降では、本作が唯一の主演映画では無いでしょうか。(間違っていたら申し訳ありません)

映画は、木曽三川のひとつ揖斐川の上流部でのダム建設により、やがてダム湖の底に沈んで消滅する運命の村が舞台。
最近妻を亡くし、伝三(加藤嘉)は老人性認知症が進み、息子の伝六(長門裕之)やその妻である花(樫山文枝)に迷惑をかけることが多くなったが、本人は全く意識していない。
伝六たちは昼間はダム工事の仕事に出るため、小さな離れを造作し、伝三を押し込めるようになり、ますます伝三の認証は進行する。
そんな折、伝三は夏休みになった隣家の少年千太郎からアマゴ釣りを教えてくれと頼まれる。近隣に知らぬ者無き釣りの名人だった伝三は、千太郎に釣りを教えるうちに記憶を取り戻し、一時的に認知症が改善する。しかし、秘密の場所に案内すると約束した日から雨が続き、伝三の症状は再び悪化し始めるのだった。

タイトルが示すようにダムの建設で失われる『ふるさと』がテーマなんでしようけど、失われて戻ってこない村への惜別感などとというものはあまり成功していないように思います。そんなことより、この映画で画面に釘付けにしてくれたのは、何より加藤嘉の演技です。
「自然な演技」というのとも少し違う。
あの、澄んだ大きな黒目の奥底に認知症の「何か」がいて、あたかもそいつが加藤嘉を動かしているかのような伝三のまっすぐで真摯な言動です。加藤嘉なのか伝三なのか、見ている内に分からなくなってきます。
そんな芝居に感じました。

主演は他に、
前田吟、樹木希林、鈴木ヒロミツ、樋浦勉、花沢徳衛、篠田三郎、岡田奈々など

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多田納人

3.0 「見納めじゃ。拝んでいきんさい。」

2026年3月22日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

難しい

ドキドキ

山野に囲まれた地を故郷に持つ人は幸せです。何が変わっても、そこにある山河だけは変わらないはずだと信じられるからです。目まぐるしく風景が変貌する都市を故郷とする人々には味えない感覚だと思います。

しかし、本作は「変わらないはずのもの」が失われていく悲しみを静かに描き出します。自然という確かな拠り所が揺らぎ、さらに人の記憶さえも加齢によって零れ落ちていく。その現実に直面したとき、私たちは不変のものなど存在しないことを、ただ受け入れるしかないのでしょうか。

作中、主人公の老人に対して村の人々が払う控えめな敬意には、古き良き日本の風習が息づいています。移ろう時代の中で、かつて確かに存在した人間同士の繋がりが胸を打ちます。失われゆく景色と記憶を前に、静謐な余韻を残す映画でした。私たちは何を故郷と呼び、何を次代へ繋ぐべきなのか。本作はその問いを深く投げかけてきます。

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さとうきび

5.0 役者が生きている

2026年1月30日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

泣ける

悲しい

癒される

ダムにしずむ村が、あの時代にどれほどあったのだろう…

爺が孫と釣りをして、正気を取り戻していた時に、隠居小屋ではなく、母屋で寝起きをしていたら、どうなっただろう…

じいは、山に入ると寂しくないと言っていた。木や花がそこにいるからだと。この感覚こそが、これからの世の中に必要なものだと思う。

川で釣りをし、川辺で火をおこし、焼いて、食べる。膝上まで水に浸かりながら、沢を渡る。演じた子どものたくましさ。

爺
父
嫁
役者がみんな嘘でなく、あの村に生きているようだった。

見処がたくさんある映画。
余韻に浸ってほしい。

原作も探してみようと思う。

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ぴょんとま

5.0 最高

2024年1月7日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

全てがいい映画でした。

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kazu565

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