ソフィア・コッポラ監督「ブリングリング」製作の経緯を語る
2013年12月14日 15:12

[映画.com ニュース] パリス・ヒルトンほかハリウッドセレブの豪邸をターゲットに被害総額3億円を荒稼ぎした、実在のティーン窃盗団をモデルに描く「ブリングリング」について、メガホンをとったソフィア・コッポラが語った。
「ヴァニティ・フェア」誌に掲載されていた記事を読んだコッポラ監督は、「まるで映画のようなストーリー、そしてとても興味深い、現代的なものであると感じました。10年前にはありえなかった話です。私たちの現代社会を反映しているので、映画化すると面白いのではと思いました」と映画化の経緯を明かす。
「ヴァージン・スーサイズ」や「マリー・アントワネット」など、孤立した思春期の女性に主軸を置いた作品で知られるが、「『ヴァージン・スーサイズ』は私にとっては純粋無垢な時代についてです。一方、今回は純粋さがまったくないのです」と今作の真意を語る。「人々がアイデンティティを追求していくということに魅了されて、私はそこから作品づくりに入っていきます。でも、本作ではほとんどのキャラクターはあまり同情できない人たちですので、ストーリーに入って行く方法を探さなければなりませんでした」と明かす。
描く対象から距離を置かざるを得なかった監督の姿勢は、作品のカラーをこれまでと大きく変え、10代の少女たちが起こした犯罪を通して、現代を生きる若者たちのモラルを赤裸々に浮き彫りにしていく。タブロイド紙やワイドショー、そしてセレブ本人たちがソーシャルネットワークで垂れ流すプライバシーにのみ込まれ、少女たちが彼我の境界を失っていくさまを、「子どもたちの視点から描き、彼らがそれにいかに影響されたのかについて描写し、それを観客に体験してもらえればと思いました」と意図する。「セレブ・ポップカルチャーというのは、タブロイド紙にしても、リアリティテレビ番組にしても、現代特有なものだと思います。現代社会の一部としてどんどん大きくなっているものですから、とても不思議だと思い、興味深く見ています」。
そして、「私たちは描こうとしている世界のスタイルに忠実にやりました。彼らが夢中になったFacebookやインターネット上のポップ・セレブのイメージをコラージュスタイルで、情報過多で、まるで注意不足障害のように、あまり集中力が持続しないようなやり方で採り入れました。今我々が生きる世界のスタイルを反映させようとしたのです」と、リアリティを突き詰める。
コッポラ監督は、若者たちがテクノロジーの進化──Facebookや写真投稿サイトによって“自分が他人にどう見えるか”を意識するのが早まったことを、「自分をブランド化している」と称し、「このストーリーが非常に現代的だと思った理由のひとつはそれでした」と明かす。そして「情報過多で、プライバシーが欠如し、彼らは憧れの人たちのことをまるで個人的に知っているかのように思ったのでしょうね。私の時代にFacebookがなくてよかったですよ(笑)」と笑い飛ばした。
ティーン窃盗団の中心メンバーのひとり、ニッキー役にはエマ・ワトソン。実際に事件の被害にあったパリス・ヒルトンが自宅をロケ地として提供したことでも話題を集めている。12月14日から公開中。
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