ビッキー・チャオ、初監督作「So Young」 は「映画2本分の準備が必要だった」
2013年10月25日 18:00
[映画.com ニュース] 中国を代表する女優ビッキー・チャオが監督を務めた「So Young」が10月24日、東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズで開催中の第26回東京国際映画祭で上映された。本映画祭出席のため来日したビッキーに、初メガホンとなる本作について話を聞いた。
物語は、大学時代に出会った1組のカップルの恋模様を主題にした青春ストーリー。1990年代の若者文化を色濃く映しながら、男女の心模様を丁寧に描いている。本国で注目を集めたネット小説の映画化作品で、台湾の人気俳優マーク・チャオが出演していることでも話題だ。
感情表現の激しいヒロインを見事に演じたヤン・ズーシャンについて、ビッキーは「実はまったく正反対の性格の子で、内向的な女優さんなんです。この役をやるために一生懸命取り組んで、(オーディションで)この役を勝ち取りました。でもやはり、タイプが違うから役に共感できない部分があったようで、随分と私が教えることもありました。言葉で説明できない時は、私が演じて見せることもありました」と、撮影時のエピソードを明かす。
ヒロインが喜怒哀楽を激しく表すシーンが多いことについて触れると、「実は日本の観客がこの映画を見て『中国の女の子はなんて粗野なんだろう』と思わないか心配しているんです(笑)。でも撮影している時は外国の人がどう思うかなんて考えないですから。ありのままの中国の女の子の姿を撮りました。ただ、日本のおしとやかな女の子も、表に出なくてもきっと本質は一緒だと思っています」と親しみを込めた笑顔を見せた。
登場人物たちの“学生時代”と“社会人”という、2つの時代を扱った点は「映画2本分くらいの準備が必要でした」と苦労をにじませ、「特に前半の1990年代の撮影は大変でした。当時の雰囲気を残した建物がすごく少なくて、1つの大学の話ですが10数カ所の大学を使って撮影を行いました」と振り返った。
また自身が影響を受けた監督に、本作のプロデューサーでもあるスタンリー・クワンの名を挙げ「映画に対する態度、真剣な取り組み方というものを彼から学びました。仕事に対する真面目さも、影響を受けています」と話した。勢いを増しつつある中国の映画産業に関しては、「最近の中国映画は一般人の生活を描いているものが多いから、見ている人が身近に感じられると思うんです。だから、中国人が中国映画を見ることをより好きになってきている」と映画への愛をにじませながら、持論を述べた。