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トム・ハンクス「キャプテン・フィリップス」を通じ“映画の力”を訴える

2013年10月18日 13:00

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トム・ハンクス(右)とポール・グリーングラス監督
トム・ハンクス(右)とポール・グリーングラス監督

[映画.com ニュース] 来日中の米俳優トム・ハンクスが10月18日、都内で行われた主演最新作「キャプテン・フィリップス」の記者会見に、ポール・グリーングラス監督とともに出席。本作は第26回東京国際映画祭のオープニング作品として昨晩上映され、オープニングセレモニーにも参加したハンクスは「昨日は日本の監督や俳優、安倍晋三首相にまでお会いし、投票できる権利はないけれどとても楽しい時間を過ごした。今日も素晴らしい朝だね!」とにこやかに挨拶した。

2009年4月、ソマリア海域で起こった海賊船による貨物船人質事件で、20人の乗組員の解放と引き換えにたった1人で救命艇に拘束されたベテラン船長リチャード・フィリップスが、米海軍特殊部隊によって救出されるまでの緊迫の4日間を描く。「ニュースの天才」「アメリカを売った男」のビリー・レイが脚本を手がけた。

ハンクスは、実在の事件に基づいた本作の撮影に際し「フィリップス船長には2度会ったけれど、驚くほど普通の方でビックリ。コンテナ船長として世界中を航海している経験や事件のディテールを細かく語ってくれたので、演じる上でとても参考になった。本物のコンテナ船の乗組員とも交流し、仕事の手順など細かい部分も教えてもらったので、実際の体験から生まれたリアルな芝居になったと思う」とち密な役作りに徹した。

増加の一途をたどるソマリアの海賊という社会問題についても言及し、「この映画に出てくる悪人は、いわゆる漫画に出てくる典型的な悪者じゃない。彼らは腐敗した国で絶望的な境遇に陥っている、やせこけた4人の機関銃を持った海賊であり、非常に複雑な背景をもっている。悪事は悪事として追求する必要があるけれど、その事実を知って少しでも状況を改善しようと努力すること。そこに映画の力がある」と力説した。

初来日となったグリーングラス監督は、「東京国際映画祭にも参加できてとても光栄に思う。ほとんどのシーンが海上だったので体力的疲労もあったけれど、“困難はチャンス”という姿勢で撮影に臨んだ」と述懐。「グリーン・ゾーン」「ユナイテッド93」など、社会問題を織り交ぜたエンタテイメント大作を数多く手がけてきたが、「社会性と娯楽性のバランスも大事だけれど、私が映画製作で最も大切にしていることは、観客にとって報われる体験を作るということ。鑑賞価値のある作品を作れるかが重要」とポリシーを語った。ハンクスは、「ポールは即興的な演出が真骨頂。俳優も自由な演技ができる」と全幅の信頼を置いていた。

キャプテン・フィリップス」は、11月29日より全国で公開。

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