是枝裕和監督「そして父になる」米リメイクへの思いは? 国内興収は15億円突破
2013年10月10日 12:45

[映画.com ニュース]福山雅治主演の「そして父になる」が大ヒット中の是枝裕和監督が10月9日、東京・新宿ピカデリーで上映後のティーチインを行った。スティーブン・スピルバーグ率いる米ドリームワークスによる米リメイクが決定している本作。観客から「これだけは譲れないという点は?」と質問された是枝監督は「ないです」と断言し、「すべてお任せしたほうが、向こうの社会になじんだものになるはず。(リメイクされる作品は)自分のものではないと思っています」と率直な思いを語った。
先月末には、リメイクに関する契約締結のために渡米しており「スピルバーグ監督からは、オリジナルを尊重し、何も変えないで作ると言われた。『現場に来て、口出ししてもいい』とも」と告白。それでも「アメリカの俳優さんが演じる以上、どうなるかはわからない」と冷静に語り、「例えば、尾野(真千子)さん演じる奥さんは、アメリカでは現実味があまりないでしょうし」と分析していた。
6年間育ててきた息子が、生まれたときに病院で取り違えられた他人の子だったという事実に直面する二組の家族の葛藤を描くヒューマンドラマ。福山と尾野、リリー・フランキーと真木よう子が夫婦役を演じる。配給のギャガによると、9月24~27日まで行われた先行上映の成績も含め、10月9日時点で国内の興行収入は早くも15億円を突破したという。
スピルバーグ監督が審査委員長を務め、コンペティション部門で審査員賞を受賞したカンヌ映画祭を皮切りに、スペインのサン・セバスチャン国際映画祭、韓国の釜山国際映画祭、米ニューヨーク映画祭など各地で好評を博している。観客の反応もさまざまだといい「ニューヨークは一番笑いが起きていた。なんでだろうね……。リリーさんが2度3度と遅れてくるシーンは特に笑いが大きかった」。新生児の取り違えという重いテーマを扱うが、「緊張感だけではなく、どこかで緩めてあげないと。シリアスな空気にこそ、人間の面白みがある。ストーリーしか残らない映画にはしたくなかったから」と話していた。
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