イーストウッド、日本版「許されざる者」を絶賛!渡辺謙ら過酷な撮影を述懐
2013年8月1日 14:05
[映画.com ニュース]クリント・イーストウッド監督・主演作「許されざる者(1992)」を日本映画としてリメイクした「許されざる者」の完成報告会見が8月1日、都内のホテルで行われ、主演の渡辺謙をはじめ共演の佐藤浩市、柄本明、柳楽優弥、忽那汐里、小池栄子、李相日監督が出席した。この日は、イーストウッド監督から寄せられた手紙が読み上げられ「作品を拝見し、素晴らしい出来で非常に満足しています」と絶賛。渡辺は、「クリントが気持ちよくリメイクすることを許してくれたのは、彼の懐の深さ」と感謝した。
第70回ベネチア国際映画祭に特別招待作品として出品される今作は、オリジナルと同じ1880年という設定で、江戸幕府崩壊後の北海道を舞台にした時代劇。かつて“人斬り十兵衛”と恐れられた江戸幕府の剣士が、愛する者を守り己の尊厳を取り戻すために再び刀をとり、宿場町を“恐怖”で牛耳る警察署長に戦いを挑む姿を描く。
イーストウッド監督の手紙は、「日本を舞台に滅びゆく者たちの生きざまを壮大に描いただけでなく、激しくも美しい魂が詰まっているこの作品に日本映画の新たな時代の幕開けを感じました。私の愛する日本の美しい風景や文化を通じて、見るもの全ての人々に驚きと優しさを与えてくれます。私の大事な友人である渡辺謙も、素晴らしい演技を見せてくれました。李相日監督をはじめ、本作にかかわった方々への成功を祈っております」とつづられていた。
渡辺は、「クリントは映画人として、『やるならやってみれば?』という感じだったと思う。心に届いたかな……。本当に頑張ったかいがあった」と感慨深げ。今回の役どころについては、「最終的な答えがそれぞれの役にはないし、答えは出すまいと心に決めて撮影に入った。今でも悩み続けている部分があるし、僕の中では続いていますね」と振り返った。手紙の内容を神妙な面持ちで聞き入っていた李監督は、「実感がわかない。映画界の神さまみたいな方。その場に居合わすことができていたら信用できたと思う」と語りながらも、「キャストもスタッフもとにかく必死だった。その必死さが映像を通して伝わったのかもしれませんね」と安どの表情を浮かべた。
撮影は昨年9月22日~11月27日、北海道でのオールロケで行われ、苛酷な環境での演技を強いられた。李監督は「僕はキャストの皆さんを無事に家族のもとへ帰さないといけないと考えていた」と話したが、渡辺は「本当にそう思っていた? そうとは思えないな」と大笑い。現場で身の危険を感じたことを問われると、忽那と小池は「これまで体験したことのない寒さ」を挙げ、柳楽は「李監督の演出」と答え場内の爆笑を誘った。柄本は両腕を縛られた状態で10時間近く吊るされたといい、「翌日は腕が上がらなかったし、森の中では得体の知れない虫に刺されて目が大きく腫れ上がったけど、撮影は続行された」と嬉々とした面持ちで恨み節を披露していた。
「許されざる者」は、9月13日から全国で公開。
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