西田敏行、故・三國連太郎さんの思い出語る「俳優としての哲学、技術、すべてにおいて影響があった」
2013年4月24日 15:18
[映画.com ニュース] 日米の豪華キャストが共演する歴史サスペンス大作「終戦のエンペラー」の記者会見が4月24日、都内のホールで行われ、日本人キャストの初音映莉子、西田敏行、中村雅俊、伊武雅刀、片岡孝太郎(15代目)、プロデューサーのゲイリー・フォスター氏らが出席した。
1945年8月の第2次世界大戦終結後、マシュー・フォックス演じるGHQ(連合国軍最高司令官総司令部)のボナー・フェラーズ准将が、トミー・リー・ジョーンズ扮するダグラス・マッカーサー元帥から、“真の意味での太平洋戦争の責任者”を極秘調査する特命を受ける。日本サイドの元要人たちの思惑が錯そうする中、フェラーズらは驚きの真実を解明していく。「真珠の耳飾りの少女」(2004)のピーター・ウェーバー監督がメガホンをとり、西田らのほか、火野正平、桃井かおり、夏八木勲ら日本人キャストも多数参加している。
フェラーズに日本独自の文化を説く鹿島大将役を熱演した西田は、「ハロー(笑)。アメリカ人から見た日本人と天皇のあり方がしっかり描かれた作品で好感をもって参加できた。英語のセリフは大変で、英語のCDを聞きながらまるで受験生のようだった」と述懐。すると、日中戦争期の首相・近衛文麿役を演じた中村は「西田さんの英語のセリフは本当にすごいと思った。努力は想像以上」と感服しきり。物語の重要なカギを握る女性アヤ役に大抜擢された初音は、「思いを込めて瞬間を大事にしながら、役を通して自分も成長できた。日本人としての佇まいを意識し、所作も大切だけどやっぱり心。どう生きるのかという生き方と、アヤとしてフェラーズを愛する純粋さ。これからも日本人として気持ちを美しくもっていたい」と抱負を語った。西田は、そんな初音の「横顔の美しさたるや。異国ニュージーランドでの撮影ではそのオリエンタルな美しさに心臓ドキドキしたけど、食事には誘えなかった」と冗談まじりに称えていた。
内大臣として天皇を補佐した木戸幸一役の伊武は、「この物語の4年後に生まれ終戦の残り香を感じてはいたけれど、事実はこの映画から知った。とにかく血圧が高かったのが大変だったけど(笑)、素晴らしいスタッフとこの映画ができたことがうれしい」。昭和天皇役を演じた片岡は、「実はオファーをいただいた時に歌舞伎の公演が決まっていて、本当は穴を空けるわけにはいかなかった。だけど今は亡き中村勘三郎の兄貴に相談したら、『そんなもん、歌舞伎やってる場合じゃないだろ!』の一声で決まった」と故・勘三郎さんへの感謝を述べた。
フォスター氏は、「人生が変わった作品といっても過言ではない。戦後いかに平和を築いていくのかという難しい時期を描いた映画は数少なく、やる意義があると感じた。世界でも通用する役者と仕事ができてプロデューサー冥利に尽きる。この物語で敵同士だった両国は今でも良好な関係を持ち続けているし、それを機に世界自体が平和な場所になった。アメリカの観客にも大いにインスピレーションを与えている」と深い思い入れを語った。
最後に西田は、国民的人気シリーズ「釣りバカ日誌」で長年コンビを組み、4月14日に死去した名優・三國連太郎さんの思い出を語り、「平成元年から20年以上やってきて、三國さんの存在がなければ有り得ないシリーズだった。高校2年生だったけど、僕にとっては『飢餓海峡』。僕の俳優としての哲学、技術、すべてにおいて影響があったと思う」と自身の役者人生において欠かせない存在であったことを強調。また、「80歳を超えられても『自分は役者として才能があるんだろうか』と疑うほどの謙きょな面持ち。だからいつもやることが新しかった」と故人に思いを馳せた。
「終戦のエンペラー」は7月27日から全国で公開。
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