加瀬亮「アウトレイジ ビヨンド」が引き出した“新たな一面”
2013年4月10日 13:10
[映画.com ニュース] 北野武監督の最新作「アウトレイジ ビヨンド」のDVDとブルーレイが発売されることになり、前作「アウトレイジ」(10)に続き出演を果たした俳優の加瀬亮が、映画.comの取材に応じた。ヤクザ社会のし烈な下克上を描いた本作で、加瀬は関東最大の暴力団組織・山王会の若頭である石原を熱演。「悪役を演じ切った……と自分で言えればいいんですが、実際にはふだんの自分とは違う一面を北野監督が見つけてくれたんです。DVDを見直しながら、自分でも不思議だなと思います」と“新境地”を振り返った。
映画は前作の5年後を舞台に、関東の頂点を極め、政界進出を目論む暴力団・山王会に対し、業を煮やした警察が、関西の雄ともいえる花菱会との直接抗争をけしかける。その“導火線”として、獄中死したはずのヤクザ・大友(ビートたけし)に白羽の矢が立つが……。北野監督にとって初めての続編映画で、興行収入14.5億円という前作の2倍の記録をたたき出した。
前作で虎視眈々とチャンスをうかがい、ついに大友を裏切った石原が、「アウトレイジ ビヨンド」では巨大組織のナンバー2にのしあがった。「石原はナンバー2の“器”じゃないんです。だからこそ、こっぴどい目に遭うんだと思います」(加瀬)。石原の人物造形も、自身の立場を守ろうと虚栄を張る“怒鳴りキャラ”に一変し、「前作で築かれたキャラクターを生かそうと現場入りしたので、最初はそれが通用しないことに戸惑いや不安を感じました」と撮影初日の心境を明かす。突破口は「若くして幹部になった石原の不安と、俳優としての自分が抱える不安を重ね合わせること」だった。
こうして新たな魅力を開花させた加瀬だが、「石原という人物が生まれたのは、北野監督をはじめ、共演者やスタッフの皆さんとの共同作業があったからこそ。僕自身は監督に応えようと必死で、余裕もありませんでしたから」とあくまでも謙虚。今回の経験を通して「俳優って変な仕事だな」と改めて実感したといい、「どの演技が正解なのか、現場によって毎回違いますので、他の職業みたいに“上達”という言葉が当てはまらない。常に監督の考えを受け止め、聞き耳を立てる。それしかないと思います」と静かに燃える演技に対する思いを語った。
「アウトレイジ ビヨンド」ブルーレイ&DVDは4月12日発売。同日よりレンタルも開始。