独特の世界観に中毒性あり!「群青いろ」初の特集上映がPFFプレイベントで開催
2013年4月5日 14:30
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[映画.com ニュース] PFF ぴあフィルムフェスティバルで注目を浴びた高橋泉と廣末哲万による映像ユニット「群青いろ」の作品を一挙公開する特集上映「『群青いろ』のすべて」が4月8日から、第35回PFFプレイベント「ルネッサンスPFF」の企画の一環として開催される。「群青いろ」初の特集上映を前に、ふたりから話を聞いた。
商業映画では「ソラニン」などを手がけ、「100回泣くこと」、「凶悪」が公開待機中の脚本家・高橋と、「天然コケッコー」をはじめ俳優として数々の作品に出演している廣末。「群青いろ」はそんな二人が共に監督、脚本、主演を務め、自主製作、上映をメインにして活動しているユニットだ。高橋が監督、廣末が主演を務めた2004年PFFグランプリ作「ある朝スウプは」は、世界各国の映画祭で高い評価を受け、その名を映画ファンに知らしめた。今回、「ある朝スウプは」から、昨年の東京フィルメックスで学生審査委員賞を受賞した「あたしは世界なんかじゃないから」までの10作品を上映する。
新興宗教、いじめ、DV、家庭問題など我々の日常生活で起こりうる社会問題の断片を、映画的手法やルールに束縛されない自由な映像表現で切り取り、見る者に深い余韻を残す作品群だ。作品のテーマは「起こっている時期は違えど、基本は自分の身の回りのことを書いています。子どもの頃のいじめって、大人の会社のいじめなんかとは違って憎しみはあまりないように感じるんです。『あたしは世界なんかじゃないから』に関しては、いじめの延長がDVの様な気がして、その(子どもの)いじめから辿っていくと共依存的なDVとか、憎しみのない暴力というところに行きつきました」(高橋)という。
どの作品も後味の良いテーマを扱ってはいないが、ひとつでも彼らの作品に触れると、他作品にも興味が沸いてくるのは、フィクションではあるが誰もが感じる人間心理の闇や、現代社会での生きづらさを巧妙にあぶり出しているからだろう。作品への出演を希望する人や、コアなファンが多いこともうなずける。
第16回PFFスカラシップ作品として、プロのキャスト、スタッフと共に製作した「14歳」(06)では、園子温監督の「ヒミズ」でベネチア映画祭マルチェロ・マストロヤンニ賞(最優秀新人俳優賞)を受賞という日本人初の快挙を成し遂げた染谷将太が出演。中学生役であどけなさを残してはいるが、当時から卓越した演技力を見せている。「子役500人くらいがオーディションに集まってくれて、集団面接で残った中の一人。その次の段階で芝居をやらせたら、ちょっと群を抜いていました。声のトーンや出し方など、誰もが目にとまったと思いました」と廣末は振り返る。
それぞれが製作時に印象深かった作品を挙げてもらった。高橋は「ある朝スウプは」に次いで海外映画祭から招待が多かった「鼻唄泥棒」(05)。姉を殺した男を許せなかった妹が、その加害者を監禁してネットで配信する様子を描いた問題作だ。「見て損はないと思います。これは撮影現場で、加害者を演じた廣末くんの周りの空気が異様だったのを覚えてます」。廣末は「夕日向(ゆうひなた)におちるこえ」(07)。20代後半のひきこもりの息子とその息子の姿を何年も見ていない母の姿を映す。「これは自分で監督をして、自分が出演するのを初めてやめようと思った作品。どうしてもおじさんとおばさんを中心に撮りたかった」と話す。
初の特集上映を前にしての気持ちをこう語る。「やっと上って、降りてという階段ができた感じ。これからも映画を作っていく上で、今まで作ってきたものを一旦止まって見返す良い本数だと思います。今後につながるモチベーションとしてまたみなさんの声をいただけたら」(廣末)、「今急いで何かやっても、仲間内を呼んでる自主映画と感じは変わらないと思うんです。ただこのスタンスにとどまるのがありかなしかは、誰もわからないので、そこは打破したい。だから作り続けて、お客さんが一人でも増えてくれたら」(高橋)
特集上映を記念し、「群青いろ」のこれまでの歩みやユニット名命名秘話などを収録したパンフレットも作成。会期中はふたりも会場を訪れる予定で、「群青いろ」ファンはもちろん、これから彼らの作品に触れる人にとっても貴重な機会だ。第35回PFFプレイべント「ルネッサンスPFF 新たな映画の歴史に向かって」は4月6日からテアトル新宿にて開催。特集上映「『群青いろ』のすべて」は同イベント内にて4月8日から上映。
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