ベルリン映画祭コンペ部門は混とん 全作品に受賞の可能性
2013年2月15日 16:00

[映画.com ニュース] 第63回ベルリン国際映画祭も終盤を迎え、ひと通り話題作が出そろった。コンペティションで最も評価が高いのは、チリ映画の「Gloria」。50代の離婚歴のある女性が、新しいパートナーを探して人生をやり直そうともがく姿を見守る。見終わった後に爽快感が残るような作品だが、金熊賞に適しているほど傑出しているかと問われれば、それほどでもない。ヒロイン役のポリーナ・ガルシアは女優賞の声もあるものの、見応えという点ではブリュノ・デュモン監督の「Camille Claudel 1915」に主演したジュリエット・ビノシュの方が強烈だろう。もっとも、こちらは独創的なモノローグスタイルが賛否を分ける形になった。
今回珍しくコンペに参加したスティーブン・ソダーバーグの「Side Effects」は、意欲的なサイコサスペンスだ。情緒不安定な若妻(ルーニー・マーラ)が、野心的な精神科医(ジュード・ロウ)の勧めで新薬を試すものの、ある日事件を起こしてしまう。果たしてそれは薬の影響なのか、あるいは隠された真相があるのか。ひねりの利いた筋立てと緊張感に、ヒッチコックの現代版という声も出た。
コンペではないが評価の高かったのは、リチャード・リンクレイターの「ビフォア・ミッドナイト」。「恋人までの距離(ディスタンス)」に始まる、イーサン・ホークとジュリー・デルピーのコンビによる3作目である。前作「ビフォア・サンセット」で、パリで再会を果たした主人公のふたりは、今回パートナーになり、やや倦怠期を迎えているという設定。それだけに会話劇はより辛辣であけすけになり、幻想をかき立てるロマンティックな部分はない。それが辛いと感じるか面白いと思うかで、好みが分かれるところ。もっとも、脚本賞をあげたくなるほどに会話の応酬が絶妙である。
ベルリナーレ・スペシャルとして招待上映された山田洋次の「東京家族」も、観客の反応が良かった。小津安二郎の「東京物語」へのオマージュという点である程度下地があったのかもしれないが、繊細な人情ドラマは海外の観客にも十分伝わっている印象だった。
コンペでは、このあとカトリーヌ・ドヌーブ主演作とホン・サンスの新作が上映されて幕を閉じる。正直、いまだ決定打と言えるほど強烈な作品が出ていないだけに、最後に期待が掛かるところだ。(佐藤久理子)
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