亀山千広プロデューサー、報道として「3.11を風化させてはいけない」
2013年1月25日 14:00

[映画.com ニュース] 東日本大震災直後の遺体安置所を舞台にした映画「遺体 明日への十日間」の外国人記者向け英語字幕付き試写会が1月24日、東京・有楽町の日本外国特派員協会で行われ、君塚良一監督と亀山千広プロデューサーが会見した。
3.11で甚大な被害を受けた岩手県釜石市の遺体安置所を取材した石井氏のルポタージュ「遺体 震災と津波の果てに」(新潮社刊)が原作。震災直後、犠牲者と遺族の一刻も早い再会をかなえようと、釜石市民の医師や歯科医やボランティアたちが遺体の搬送や検視、身元確認などのつらい作業にあたる姿を克明に描く。主演は西田敏行、共演に緒形直人、勝地涼、國村隼、佐藤浩市、柳葉敏郎ら豪華俳優陣が出演した。
君塚監督は、撮影時を振り返り「自分の気持ちだけが障害だった。被災者や遺族の傷口を広げているだけなのではとも思った。しかし日本中、世界中の方に伝えたいという気持ちが勝ったので撮影を続けた」と覚悟を明かした。福島で起きた原発事故について言及がないことを指摘されると、「映画で人間を描きたかった。システムや政治の矛盾よりも、釜石市民を描く方が人間を描くことだと思った」と説明。さらに、「ノンフィクションの原作をもっと多くの人に伝えるために映像化した。あるがままに、創作をほとんど加えずに描いた」とリアルな描写を徹底した。
そのため君塚監督は音楽の使用もなるべく控え、「体育館にいたご遺族の話だと、泥を踏む音、すすり泣く声、パトカーのサイレン、この3つの音しか聞こえなかったという。彼らの記憶を尊重するため、それらの音だけでほぼ全編を構成した」とこだわりを語った。亀山プロデューサーは、「音楽をもっと入れてほしいという希望はあった。しかし、一緒に『踊る大捜査線』を作った本広克行監督が『音楽は外せ』と言ったので、エンタテインメントをやってきた監督がそう言うのであればとその場は折れた。結果、彼らは正しかった」と納得していた。
これまで数多くの娯楽大作を手がけてきた亀山プロデューサーは、作風の変化を聞かれ「私はテレビ局の人間なので、テレビには報道というセクション、ジャーナリズムの側面がある。そこの映画部門を預かっている以上、3.11は避けて通れないと思った。風化させることがあってはいけないと思う。これからもその姿勢はもっていたい」。また、製作にあたって「障害は僕の気持ちだけだった。事実に沿うとはいえ、演出して作っていいものだろうかと。日本のメディアは数を発表したけど、1体も遺体を映していない。それでいいのか、伝え切れているのだろうかという思いはあった。それで(映画化を)報道のトップに相談したらやってくれと。劇中に『死体じゃない、ご遺体なんだ』というセリフがあるけど、それが全てだと思う」と熱く語った。
「遺体 明日への十日間」は2月23日から公開。本作の収益は全額、被災地に寄付される。
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