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山田洋次監督、震災乗り越え新作披露「特別な感慨ある」

2012年12月12日 21:06

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思いのたけを語った山田洋次監督
思いのたけを語った山田洋次監督

[映画.com ニュース] 山田洋次監督が12月12日、都内で行われた最新作「東京家族」の完成披露試写会に出席した。昨年の東日本大震災を受けて、製作を延期した本作のお披露目に「ようやく完成し、この日を迎えたことは、僕にとって特別な感慨があります」と感無量の面持ち。この日は主演の橋爪功をはじめ、吉行和子西村雅彦夏川結衣中嶋朋子、林家正蔵、妻夫木聡蒼井優ら“家族”が勢ぞろいし「ここにいる8人全員が主役。本当にすてきな家族が、美しいアンサンブルを奏でてくれた」とキャスト陣に感謝を表した。

大震災後の2012年5月の東京を舞台に、瀬戸内海の小島で暮らす老夫婦(橋爪と吉行)が、成長した子どもたちに会うために上京する姿を通して、家族のきずなと喪失、夫婦と子ども、老いと死という普遍的な問いを投げかける。橋爪と吉行は3度目の夫婦役で「撮影が終わると、吉行さんと一緒に家に帰りそうになった」(橋爪)、「いい意味で何の緊張感もなく共演できた。でも私のこと“古女房”だと思っているのか、ちっとも話しかけてくれなかった」(吉行)と息ぴったりの共演を振り返った。

また、山田監督と初タッグの妻夫木は「出演が決まったときは、うれしいと同時に緊張して演技できないんじゃないかと思った。でも現場での丁寧な演出を通して、監督の愛情を感じ、とても楽しい時間を過ごした」と述懐。蒼井は「おとうと」(2010)以来2度目の山田組で「まるで実家に帰ってくる感覚」と思いを語った。

先日には山田監督が、文化の発展に多大な功績を残した人に贈られる文化勲章を受章し「かなりびっくり。映画界を代表して章をいただく気持ちだが、今、日本映画界は大変厳しい状況。私たちが一丸になって頑張るのはもちろん、国にもサポートをしてもらいたい」と提言。また、同日は本作にインスパイアを与えた「東京物語」(1953)を手がけた小津安二郎監督の110回目の誕生日で「我々は先祖の仕事を受け継ぎ、伝承しながら、仕事をしている。今は感謝したい気持ちでいっぱい」と先人へ思いを馳せていた。

東京家族」は、13年1月19日から全国で公開。

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