真木よう子「さよなら渓谷」で7年ぶり映画単独主演 官能的な演技披露
2012年10月20日 06:00

[映画.com ニュース] 女優の真木よう子が、芥川賞作家・吉田修一氏の長編小説を大森立嗣監督が映画化する「さよなら渓谷」で、約7年ぶりの単独主演を務めることがわかった。「ベロニカは死ぬことにした」以来の“座長”となる真木は主人公・かな子に扮し、憎しみと愛情の狭間で揺れ動く女性の心理を、官能的かつ大胆な演技で体現する。
残酷すぎる過去が結んだ男女の“罪”と“償い”を通して、極限の愛と絆を問う今作は、緑豊かな渓谷で幼児殺害事件が発生したところから始まる。実母の立花里美が容疑者として逮捕されるが、隣家で暮らす尾崎俊介が里美と不倫関係にあったという疑惑が浮上。その証言をしたのは、俊介の内縁の妻・かな子(真木)だった。
取材を続ける週刊誌記者の渡辺は事件を調べていくうちに、俊介が15年前のレイプ事件に関与していたことをつかむ。さらに夫婦の過去を探ると、事件の被害者は加害者である俊介と暮らすかな子だという事実を目の当たりにする。絶対にありえない組み合わせであるふたりが、なぜ一緒に暮らしているのか。長い歳月を経て、ふたりを結びつけた真実の先にあるものが何なのかに迫る。
真木は、「今まで演じてきたなかで最も困難な役で、私がもう少し若かったら私自身の精神が崩れていたと思うぐらいの難しい役」と言及。それでも「大森組のスタッフ、共演者に囲まれて幸せだと思えたのは、そこに絶大な信頼があったからです。大森さんのような監督、スタッフチームがあるから、私はきっと一生、役者をやめられないのだろうと思いました」と全幅の信頼を寄せていることがうかがえるコメントを寄せた。
メガホンをとる大森監督は、真木について「心、技、体、全てを兼ね備えた女優だと思いました。現場を進めていくうちに、そう思った自分は間違っていなかったと思いました」と称賛。だからこそ、「真木さんの代表作になると思います。この作品と真木さんの演技は、深く長く観客の心に残るようになればと思っています」と手ごたえをつかんでいる様子だ。
また、俊介に扮するのは、故若松孝二監督作「キャタピラー」で四肢を失った帰還兵役での熱演が記憶に新しい大西信満。週刊誌記者・渡辺を大森南朋が演じており、大森監督とは「まほろ駅前多田便利軒」以来の兄弟タッグが実現した。さらに、鈴木杏も出演している。製作サイドは、演技派が顔をそろえた今作で来年5月に開幕するカンヌ映画祭への出品を目指すという。
「さよなら渓谷」(sayonarakeikoku.com)は、2013年に全国で公開。
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