満島ひかり、瀬戸内寂聴「夏の終り」映画化に主演 小林薫&綾野剛と三角関係
2012年6月20日 06:05

[映画.com ニュース] 女優の満島ひかりが、瀬戸内寂聴氏のロングセラー小説を鬼才・熊切和嘉監督が映画化する「夏の終り」に主演することがわかった。満島は、妻子ある不遇の作家との関係に疲れ果て、年下の男との激しい愛欲にも満たされない、自らうちに潜む女の業に苦悩する難役に挑む。
瀬戸内氏が、1963年に出家前の瀬戸内晴美時代に発表し女流文学賞を受賞した同名作は、自身の体験をもとに書いた私小説。66年に発売されてから、現在まで50年近くにわたり愛読され、100万部を超える発行部数を誇る。これまでに改題され「みれん」(池内淳子主演)として映画化されているが、瀬戸内氏(今作では主人公・知子)を演じた女優となると、ほかにドラマ「女の一代記」シリーズの宮沢りえ以外に例はない。
満島は「色っぽく、濃厚な脚本に出合いました。緊張しています。難しい、アァ、難しい……と感じながらも、熊切監督の『良いっすねー』を聞いて終わるひとつひとつのシーンが、どんどん愛しくなる毎日です。ほんと、映画って面白いです」と撮影が充実していることをうかがわせるコメントを発表した。瀬戸内氏も「映画やテレビにもたびたびなりました。今度は全ての配役が若返っています。どんなにフレッシュな夏を見せてくれるか楽しみです。この映画づくりにかかわった方々、また見てくださる全ての方々に、心からありがとうと申しあげます」と期待を寄せている。
また、満島が劇中で三角関係に陥る相手役を演じるのは、ベテラン・小林薫と注目の若手・綾野剛。「海炭市叙景」に続き熊切監督とタッグを組む小林は、年上の男の寛容さとずるさを併せ持つ慎吾に扮する。嫉妬(しっと)と孤独に苦しむ年下の男を体現する綾野は、「ただただ情緒あるたたずまいで木下亮太という感情を愛情いっぱい生きさせていただきます」と意欲をみなぎらせている。この2人に対し、満島は「小林さんの哀愁漂う深さと、綾野さんのみずみずしい鋭さ、スタッフたちのたくましい柔らかさとともに、花盛りの女・知子を、のびやかに生きていたいです」と語っている。
劇中の舞台は東京だが、昭和30年代の街並みをロケセットで撮影するため、兵庫の古きよき建物が残る加古川などで撮影中だ。熊切組の常連・宇治田隆史が脚本を手がけ、若き天才・近藤龍人が撮影を担当する。6月25日に撮了予定。
「夏の終り」は、2013年に全国で公開。
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