「イルマーレ」から11年、イ・ヒョンスン監督が韓国映画に託したフェミニズム
2012年3月16日 16:20

[映画.com インタビュー] ハリウッドリメイクされた韓国発の純愛映画「イルマーレ」から約11年。イ・ヒョンスン監督が久々にメガホンをとったラブストーリー「青い塩」が3月17日に公開される。前作同様、男女のせつない関係をみずみずしい映像で描き出したイ・ヒョンスン監督に話を聞いた。
かつて伝説のヤクザと呼ばれたドゥホン(ソン・ガンホ)は、母の故郷・釜山で食堂を営みながら穏やかに暮らすため、組織から足を洗い料理教室へと通い始める。そこで出会った少女セビン(シン・セギョン)と次第に心を通わせていくが、セビンはドゥホンを殺すよう命じられた暗殺者だった。
「人間というものを表現するにあたり、男女関係以上のものはないんじゃないかな。恋愛関係って感情と理性が衝突したり、欲望が入り交じったりするもの。世の中がドライになってきている中で、『愛ってこういうものだ』と断言するよりは、多様な男女関係が生まれてくればいいと思っている」と持論を語る。これまでも、ひと筋縄ではいかない恋愛模様を描いてきたが「一般的なメロドラマで描かれる男女関係はあまりにも典型的すぎる。そこを逸脱した関係を見せたかった。男と女の出会いってそんなにシンプルじゃない」と理由を説明した。

名優ソン・ガンホと、若手注目株のシン・セギョンという組み合わせは、映画の中の関係性とどこか似ている。「『ベテラン女優を起用したら?』という意見もあったけど、それでは典型でつまらない。僕はひとつ上の世代が若い世代を受け止めるような、もっと温かい関係性を描きたかったんだ」とキャスティングの意図を明かす。劇中のドゥホンの視線は、ヒョンスン監督が若者に向ける視線そのもので「今の若い子たちを見ていると、社会の状況が暗いせいか活発的じゃない。もっと挑発的になってほしいという願いも脚本に込めた」と語る。
ドゥホンは命を狙われてもなお、セビンを裏社会から守ろうとする。全編にわたり徹底されたフェミニズムが特徴的だが、「かなり前から韓国社会の中での女性のあり方を考えていた。男優は多様な役を演じるけど、女優はいまだ典型的な役柄が多い。だからシナリオを書くとき、色々なパターンの女性を描くよう意識しているんだ。映画とは社会と密接にかかわるものだし、もっと多様な女性が社会に出てきてほしいという思いがあった」と強い信念を込めた。
韓国で一大ブームを巻き起こした前作から、あっという間に長い年月が流れた。「11年という長いブランクは、自分が考える映画が撮れなかった時間だった。だけど仲間や後輩が映画を作っていたし、自分がその環境を整えるっていうのも楽しい作業だった。それに、たくさんの人々と接する機会があったおかげで視野も広げられたことを実感しているよ」と前向きだった。
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