メリル・ストリープ、ベルリン栄誉金熊賞授与に喜びをあらわ
2012年2月15日 16:48
[映画.com ニュース] 現在開催中の第62回ベルリン国際映画祭で2月14日(現地時間)、「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」のプレミア上映が行われ、メリル・ストリープとジム・ブロードベントがレッドカーペットに駆けつけた。今回のベルリンで栄誉金熊賞を授与され、アカデミー賞の主演女優賞にもノミネートされているストリープは、終始リラックスした表情で受賞の喜びをあらわにした。記者会見では役作りの苦労について話すとともに、同性から見たサッチャー首相への尊敬の念を語った。
「元カップル」にして、現在ともに監督兼俳優となったアンジェリーナ・ジョリーとビリー・ボブ・ソーントンの作品も、それぞれ話題を集めた。特別招待作品として上映されたジョリーの「In the land of blood and honey」は、90年代のボスニア内戦における、ムスリムの女性とセルビア人男性の禁じられた恋を描いたもの。戦争スペクタクルというよりは、主人公の男女における心理ドラマを中心に描いた。レッドカーペットには、カンヌに続き今回もパートナーのブラッド・ピットが同行し、相変わらず仲睦まじい姿を披露していたのがほほ笑ましい。
監督4作目にしてコンペティション部門にエントリーしたソーントンの「Jayne Mansfield’s Car」は、1969年のアラバマ州を舞台に、自らの体験が色濃く反映された群像劇。ジョン・ハートやロバート・デュバルら芸達者なキャストが見せる。
日本映画は、コンペ部門にこそエントリーがないものの、併設のパノラマ部門に荻上直子監督の「レンタネコ」がエントリーしたほか、長編6本、短編3本の計10本が参加した。なかでも、岩井俊二、舩橋淳、藤原トシ(敏史)監督の3作品は、ともに3.11を題材にしたドキュメンタリー。反核への意識が高いドイツでの注目度は高く、上映後の質疑応答でも観客から熱心な質問が飛び交った。
一方、日本と北朝鮮で離ればなれになった在日家庭の姿を描いたヤン・ヨンヒの自伝的な作品「かぞくのくに」も、オフィシャル上映が満席になるなど大きな反響を呼んだ。ベルリン入りの前から、緊張によるストレスで胃薬を飲み続けていたというヤン監督は、温かい拍手に包まれほっとした様子。「ベルリンの観客を信頼しているからこそ、見てもらうのが怖くもあった。政治的な背景がありながらも、あくまで家族の話であるところが共感を呼んだのではないか」と分析した。今回がすでに3回目のベルリン参加となったヤン監督をはじめ、若手世代の地道な積み重ねが目立つ結果となった。同映画祭は、19日をもって閉幕する。 (佐藤久理子)