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細田守監督最新作は「おおかみこどもの雨と雪」 新スタジオ設立も

2011年12月13日 17:00

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細田守監督最新作「おおかみこどもの雨と雪」画像
細田守監督最新作「おおかみこどもの雨と雪」画像
(C)2012「おおかみこどもの雨と雪」製作委員会

[映画.com ニュース] 第33回日本アカデミー賞最優秀アニメーション作品賞を受賞した「サマーウォーズ」の細田守監督の、3年ぶりとなる新作「おおかみこどもの雨と雪」が、2012年7月に全国公開されることになった。12月13日、東京・千代田区の東宝本社で行われた会見で発表。細田監督の原案・脚本によるオリジナルストーリーで、“おおかみおとこ”と恋に落ちた大学生のヒロイン・花が、ふたりの間に生まれた“おおかみこども”の姉弟・雨と雪を女手ひとつで育て上げるという内容。同日、細田作品の製作基盤となる新スタジオ「スタジオ地図」設立も明らかになった。

国内外で多くのファンを獲得する細田監督が、最新作で選んだテーマは“母子愛”だ。夫の突然の死をきっかけに、花は人目を避けるため、ふたりの“おおかみこども”を連れて東京から富山に移住。厳しくも豊かな自然に囲まれた環境で、子どもたちを愛情たっぷりに育てる。「時をかける少女」で青春、「サマーウォーズ」で親せき付き合いを描いた細田監督は「親になった同世代の友人夫婦が、子どもをかわいがる姿がたまらなく素敵で素晴らしいと思った。子どもがまだいない自分にとってのあこがれをそのまま映画にできればいいなと思った」。あくまで主人公は、人間の母親・花であり「彼女の目線から、子育ての苦労と幸せ、充実した時間を見つめる作品」だという。

“おおかみこども”というユニークな設定については、「完全に造語。子どもが本来もつバイタリティや生命力を映画的な比ゆとして描きたかった。野生のオオカミは日本では絶滅してしまったが、ひょっとしたら違う形で生きているかもしれないと考えた」という。劇中では、ふたりの子どもがある時は人間、ある時はオオカミへと変身するビジュアル的な演出もあるそうで、「今回はよりファンタジックな部分で、ワクワクしていただけると思う」と語った。

アニメーション企画・製作には、これまで細田作品のプロデュースを手がけた齋藤優一郎氏が、細田監督とともに新たに「スタジオ地図」を設立し、今後も細田作品の礎となる。「とっても小さなスタジオ。一番いい形で作品づくりができる、最適な場所を求めた結果です」(細田監督)。スタジオ内で初めて打ち合わせを行った日に東日本大震災が発生し「あの瞬間、それまでの日本や世界が変わってしまった。あれだけの大きな出来事が、影響しないわけがなく、直後はまったく作業が手につかなかった」と述懐。「本当に大切なものに改めて気づかされたし、その思いを作品の隅々に入り込んでいる。子どもという未来に、次の世界を手渡すため、これから日本人がどうやって生きていくべきか。震災は作品にとっても大きな示唆になった」と神妙な表情を浮かべた。

声優に関しては「現在、オーディション真最中。前2作同様、役に合った人を見つけられたら」といい、有名無名問わず、俳優や声優ら幅広いジャンルから適役が絞り込まれる予定。「この前の土曜日も、50人くらいの子どもたちと会ったばかり」(細田監督)。また、会見に出席した奥田誠治エグゼクティブプロデューサーは「公開までに、いくつか国際映画祭もあるので、そういう場所で少しずつ(作品を)紹介する予定。決まり次第、発表させていただく」と海外配給を含めた、世界規模の展開を示唆した。作品を追うごとに、規模が広がる細田作品だが、本人は「監督としては、次の作品を作らせてもらえることが何より幸運。見る人を楽しませたいという心構えが変わっていない。規模が大きくなれば、ドキドキもするし、興行責任に無縁でもいられませんが」と現在の心境を語っていた。

細田監督とともに脚本を手がけるのは、「時をかける少女」「サマーウォーズ」から続投し、「八日目の蝉」も高く評価された奥寺佐渡子。キャラクターデザインを前2作に続き、「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」シリーズの貞本義行が担当する。

おおかみこどもの雨と雪」は2012年7月、全国東宝系で公開。

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