冨樫真「私のとこまで落ちてこい」魔性メイクで観客挑発
2011年11月6日 22:21
[映画.com ニュース] 園子温監督の新作「恋の罪」の公開を記念し、今年1月に大ヒットを記録した園監督の「冷たい熱帯魚」がアンコール上映されることになり11月5日、東京・テアトル新宿で園監督をはじめ、でんでんと冨樫真が舞台挨拶に登壇。「恋の罪」に出演する冨樫は、セクシーな劇中衣装&魔性メイクで登場し、開口一番「私のとこまで堕ちてこい」と劇中に登場する強烈なセリフの一節で、観客を挑発した。
冨樫は、昼間は助教授、夜は売春婦というふたつの顔をもつ女性・美津子を演じており「久しぶりに美津子になりました。顔や衣装はすぐ変身できても、気持ちがなかなか降りてこなくて……」と強気な第一声から一転、緊張しきり。「冷たい熱帯魚」で連続猟奇殺人の首謀者・村田を演じたでんでんは、「本当にビックリした」と冨樫の迫力に押され気味だ。ふたりの“モンスター”を生みだした園監督は、「怖いだけじゃ、キャラクターとして魅力に欠ける。ユーモアや人間らしさ、背景などを台本に取り込んでいく」と語る。
立ち見客が出る盛況ぶりだった「冷たい熱帯魚」は、実在する複数の猟奇殺人事件にヒントを得て人間の狂気と極限の愛を描いたサスペンス。園監督は「野となれ山となれで、コケても仕方ないという思いだったが、すごくお客さんが入ってくれてうれしかった。ベネチアで上映したときは爆笑に次ぐ爆笑で、『日本ではどうかな』と思ったが、こっちでも笑いが絶えなかった」。冨樫は「ものすごいスピード感に圧倒され、息するのも忘れてしまい、過呼吸になったほど」と同作の感想を語った。
一方のでんでんは、「恋の罪」を「グイグイ引っ張られると同時に、押す力も強くて、引っ張るのか押すのかどっちなんだよって(笑)。とにかくパワーがあふれていて、園監督にしか撮れない作品」と大絶賛。興行的にも成功を収めた「冷たい熱帯魚」、ベネチア国際映画祭で最優秀新人俳優賞にあたる「マルチェロ・マストロヤンニ賞」を受賞した「ヒミズ」、そして手応え十分だという「恋の罪」と3本の作品を世に送り出した2011年。園監督も「自分の映画がもつ資質がよりはっきりしてきた。とても実りある1年だった」と胸を張った。11月9日にはテアトル新宿で、吹越満(「冷たい熱帯魚」)と神楽坂恵(「恋の罪」)が登壇する舞台挨拶が行われる。