いとうせいこう、コメディ映画不遇の日本に問題提起
2011年8月19日 11:18
[映画.com ニュース] 「したまちコメディ映画際」の総合プロデューサーを務めるいとうせいこうが、ウィル・フェレルの主演作「アザー・ガイズ 俺たち踊るハイパー刑事!」を絶賛している。「キック・アス」「ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い」を、同映画祭でいち早く上映し日本に紹介しているだけに、コメディ映画へのそこはかとない愛情を感じさせる。
同作は、全米コメディスターのフェレルと「ザ・ファイター」での熱演が記憶に新しいマーク・ウォールバーグが初タッグ。刑事ものにありがちなタフなバディ・ムービーとは一線を画し、パソコンでの事務処理が大好きな引きこもりのアレン(フェレル)と、熱血漢でありながらドジで空回りを続けるテリー(ウォールバーグ)という、本来ならば“その他大勢”でくくられてしまう2人の刑事が爆笑必至の掛け合いを展開する。
いとうは、異色ともいえる今回のキャスティングを「日本で言うなら妻夫木聡と若き日の志村けんが共演するみたいなもの。コメディ映画がアメリカで尊敬されている立ち位置でないと、この座組みは成立しないですよね」と分析。日本ではコメディ映画が当たらないという定説について、「映画がハンサムな人のものになっちゃったんだろうなあ。コメディの場合、もさっとしている人を使えば使うほどおいしいはずなんですよ。見ている人の大半がもさっとしているわけだから」と持論を展開する。
さらに、話題は映画の鑑賞方法へと及ぶ。「韓国だと800円くらい。そうするとビールを気軽に飲むこともできる。映画って、その日の夜を楽しむためのきっかけでしょう? 日本では自己目的化しがちなんですよ」。アメリカでは週末に映画へ行くという習慣が今も根付いていることに触れ、「『男はつらいよ』の寅さんのころは、お正月に寅さんを見に行き、初詣へ行ってからご飯を食べて……みたいな流れがあった。それが洗いざらい変わっちゃったから。日本の週末を変えなきゃダメですよ。焼肉食べながらとか、もっと雑な感じがいいんじゃないかなあ」と語った。
今年4回目を迎える「したまちコメディ映画祭」は、街に、人々に、着実に浸透してきている。昨年は観客動員9万人を記録。いとうは、確実に手ごたえを感じている様子で「これだけマニアックに、ネットで若手芸人について話が盛り上がっているわけですよ。日本のギャグに対する熱望の仕方って、異常な水準にまできている。ただ、今のところそれが映画に還元していないだけ。もうちょっと頑張れば、コメディをどういう風に見るのか。どういうコメディが良いのか。真剣に話せるような傾向が世の中に出てくると思うんですよ」と真しな眼差(まなざ)しで話した。
第4回したまちコメディ映画祭in台東は、9月16~19日開催。
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