矢口史靖監督最新作「ロボジー」主演は73歳・五十嵐信次郎
2011年7月1日 07:33
[映画.com ニュース] 矢口史靖監督の最新作が、“がんこジジイとロボット”がテーマの「ロボジー」であることがわかった。主人公の鈴木重光を演じるのは、73歳にして初主演デビューを飾る五十嵐信次郎。200人以上のオーディションから選ばれた五十嵐は、ミッキー・カーチスとしても活躍しているが、芸能界デビュー当時からあこがれていた「五十嵐」の名で心機一転、矢口組に参加した。
「ハッピーフライト」で航空業界を細部にいたるまで取材した矢口監督が放つ次なる一手は、意外なテーマだった。今作の企画が立ち上がったのは、約5年前。それ以前から興味は持っていたそうで、「ホンダが1996年に発表した(人間型自律2足歩行ロボット)P2を見て、衝撃を受けた。以来、いつかロボットものを撮りたいと思っていた」という。
映画は、弱小家電メーカーの3人組が社長からの厳命で、企業広告を目的にロボットを開発することになる。しかし、発表の場であるロボット博の1週間前に大破。保身でロボットの中におじいちゃんを入れて出場したところ、見たことのない動きをすると評判を呼び、一躍、人気者として注目を浴びることになってしまう。
主演の五十嵐は、子どものころに“外国人”としていじめられた経験があるだけに、日本人名でのデビューを望んでいたそうで、今回は念願の夢が成就。これまでのキャリアをかなぐり捨ててオーディションに臨み、矢口監督のハートを射抜いた。主役の座を勝ち取ったと連絡を受けた際は、「バリバリテンションが上がりました。本当に、純粋にうれしい瞬間でした。台本も今までにない内容で、撮影中もずっとワクワクして楽しんでいました」と振り返る。
撮影は、1月から北九州と下関で行われ、雪が降るほどの寒さだったという。ロボットは、五十嵐の全身をくまなく採寸し、繊維強化プラスチックFRPを使用して制作。全身タイツ1枚で装着する必要があったそうで、矢口監督いわく「ほとんど老人イジメですよ」。五十嵐本人も、撮影初日には「これは無理だ……」「けい動脈が苦しい」とぼやき節だったが、2月のクランクアップまで演じきった。
ロボット本体も、矢口監督がデザインを手がけるなど徹底的にこだわり抜いた。スバル360を意識したといい、「みすぼらしい中古感覚を出したかった。背中はガスの湯沸かし器、胸はガスメーター、頭は古い電気釜を意識した。廃材をゴミ捨て場から探してきて、よりリアルに作った」と胸を張る。そして矢口監督は、時代を逆境した大きな決断をくだす。「合成や特撮、CGは一切やらないと決めた。あえて手づくりで手間のかかる作業を選んだが、結果的に良かった。これよりもおかしな映画は撮れない」。
共演陣もバラエティ豊富な人材がそろった。ヒロインはロボットおたくの女子大生・葉子という役どころで、吉高由里子を起用。矢口監督が「本人の持つ変態度が尋常じゃない。僕の映画にぴったり」と絶賛している。ロボット開発を命じられる3人を濱田岳、川合正悟、川島潤哉。ほか、田畑智子、和久井映見、小野武彦らが出演。
「ロボジー」(http://www.robo-g.jp)は、2012年初春に全国で公開。
関連ニュース
映画.com注目特集をチェック
関連コンテンツをチェック
シネマ映画.comで今すぐ見る
第86回アカデミー作品賞受賞作。南部の農園に売られた黒人ソロモン・ノーサップが12年間の壮絶な奴隷生活をつづった伝記を、「SHAME シェイム」で注目を集めたスティーブ・マックイーン監督が映画化した人間ドラマ。1841年、奴隷制度が廃止される前のニューヨーク州サラトガ。自由証明書で認められた自由黒人で、白人の友人も多くいた黒人バイオリニストのソロモンは、愛する家族とともに幸せな生活を送っていたが、ある白人の裏切りによって拉致され、奴隷としてニューオーリンズの地へ売られてしまう。狂信的な選民主義者のエップスら白人たちの容赦ない差別と暴力に苦しめられながらも、ソロモンは決して尊厳を失うことはなかった。やがて12年の歳月が流れたある日、ソロモンは奴隷制度撤廃を唱えるカナダ人労働者バスと出会う。アカデミー賞では作品、監督ほか計9部門にノミネート。作品賞、助演女優賞、脚色賞の3部門を受賞した。
父親と2人で過ごした夏休みを、20年後、その時の父親と同じ年齢になった娘の視点からつづり、当時は知らなかった父親の新たな一面を見いだしていく姿を描いたヒューマンドラマ。 11歳の夏休み、思春期のソフィは、離れて暮らす31歳の父親カラムとともにトルコのひなびたリゾート地にやってきた。まぶしい太陽の下、カラムが入手したビデオカメラを互いに向け合い、2人は親密な時間を過ごす。20年後、当時のカラムと同じ年齢になったソフィは、その時に撮影した懐かしい映像を振り返り、大好きだった父との記憶をよみがえらてゆく。 テレビドラマ「ノーマル・ピープル」でブレイクしたポール・メスカルが愛情深くも繊細な父親カラムを演じ、第95回アカデミー主演男優賞にノミネート。ソフィ役はオーディションで選ばれた新人フランキー・コリオ。監督・脚本はこれが長編デビューとなる、スコットランド出身の新星シャーロット・ウェルズ。
ギリシャ・クレタ島のリゾート地を舞台に、10代の少女たちの友情や恋愛やセックスが絡み合う夏休みをいきいきと描いた青春ドラマ。 タラ、スカイ、エムの親友3人組は卒業旅行の締めくくりとして、パーティが盛んなクレタ島のリゾート地マリアへやって来る。3人の中で自分だけがバージンのタラはこの地で初体験を果たすべく焦りを募らせるが、スカイとエムはお節介な混乱を招いてばかり。バーやナイトクラブが立ち並ぶ雑踏を、酒に酔ってひとりさまようタラ。やがて彼女はホテルの隣室の青年たちと出会い、思い出に残る夏の日々への期待を抱くが……。 主人公タラ役に、ドラマ「ヴァンパイア・アカデミー」のミア・マッケンナ=ブルース。「SCRAPPER スクラッパー」などの作品で撮影監督として活躍してきたモリー・マニング・ウォーカーが長編初監督・脚本を手がけ、2023年・第76回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門グランプリをはじめ世界各地の映画祭で高く評価された。
「苦役列車」「まなみ100%」の脚本や「れいこいるか」などの監督作で知られるいまおかしんじ監督が、突然体が入れ替わってしまった男女を主人公に、セックスもジェンダーも超えた恋の形をユーモラスにつづった奇想天外なラブストーリー。 39歳の小説家・辺見たかしと24歳の美容師・横澤サトミは、街で衝突して一緒に階段から転げ落ちたことをきっかけに、体が入れ替わってしまう。お互いになりきってそれぞれの生活を送り始める2人だったが、たかしの妻・由莉奈には別の男の影があり、レズビアンのサトミは同棲中の真紀から男の恋人ができたことを理由に別れを告げられる。たかしとサトミはお互いの人生を好転させるため、周囲の人々を巻き込みながら奮闘を続けるが……。 小説家たかしを小出恵介、たかしと体が入れ替わってしまう美容師サトミをグラビアアイドルの風吹ケイ、たかしの妻・由莉奈を新藤まなみ、たかしとサトミを見守るゲイのバー店主を田中幸太朗が演じた。
文豪・谷崎潤一郎が同性愛や不倫に溺れる男女の破滅的な情愛を赤裸々につづった長編小説「卍」を、現代に舞台を置き換えて登場人物の性別を逆にするなど大胆なアレンジを加えて映画化。 画家になる夢を諦めきれず、サラリーマンを辞めて美術学校に通う園田。家庭では弁護士の妻・弥生が生計を支えていた。そんな中、園田は学校で見かけた美しい青年・光を目で追うようになり、デッサンのモデルとして自宅に招く。園田と光は自然に体を重ね、その後も逢瀬を繰り返していく。弥生からの誘いを断って光との情事に溺れる園田だったが、光には香織という婚約者がいることが発覚し……。 「クロガラス0」の中﨑絵梨奈が弥生役を体当たりで演じ、「ヘタな二人の恋の話」の鈴木志遠、「モダンかアナーキー」の門間航が共演。監督・脚本は「家政夫のミタゾノ」「孤独のグルメ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭。
奔放な美少女に翻弄される男の姿をつづった谷崎潤一郎の長編小説「痴人の愛」を、現代に舞台を置き換えて主人公ふたりの性別を逆転させるなど大胆なアレンジを加えて映画化。 教師のなおみは、捨て猫のように道端に座り込んでいた青年ゆずるを放っておくことができず、広い家に引っ越して一緒に暮らし始める。ゆずるとの間に体の関係はなく、なおみは彼の成長を見守るだけのはずだった。しかし、ゆずるの自由奔放な行動に振り回されるうちに、その蠱惑的な魅力の虜になっていき……。 2022年の映画「鍵」でも谷崎作品のヒロインを務めた桝田幸希が主人公なおみ、「ロストサマー」「ブルーイマジン」の林裕太がゆずるを演じ、「青春ジャック 止められるか、俺たちを2」の碧木愛莉、「きのう生まれたわけじゃない」の守屋文雄が共演。「家政夫のミタゾノ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭が監督・脚本を担当。