三浦友和&塙監督、ある夫婦の愛のあり方を全身全霊で体現
2011年2月25日 18:19

[映画.com ニュース] 1999年12月、多額の借金を背負った男が、末期ガンの妻をワゴン車に乗せ、約9カ月間にわたり日本各地を放浪した後、保護責任者遺棄致死の罪で逮捕された。塙幸成監督の新作「死にゆく妻との旅路」(2月26日公開)は、月刊誌「新潮45」に掲載された清水久典氏の手記を映画化。俳優・三浦友和が逃げるように故郷を離れ、職を探しながら妻を看病する夫・久典を、女優・石田ゆり子が病に侵されながらも全身全霊で夫を愛し続ける11歳年下の妻・ひとみを演じている。メガホンをとった塙監督と、主演の三浦に話を聞いた。
塙監督は、撮影前と後に、清水氏とじっくり話をする機会を得たという。「もともと会社を経営されていた方ですから、豪快な男性を想像していたのですが、実際の久典さんは非常に繊細な神経の持ち主でした。完成した映画を二度ご覧になっていて、見るたびに当時を思い出してつらかったと感想を漏らしていましたね。自身の経験にとても近い形で描かれているとおっしゃっていたので、私としては安心しました」
乾いた肌に無精ひげをはやし、徐々に疲弊していく久典に扮した三浦は「オリジナル脚本なら自分で好きなように人物像を作ることができますが、今回はことあるごとに“久典さんだったらどう感じるだろう?”という疑問に立ち返りました」と話す。「彼は浮気もしたし、借金も作って、模範的な夫ではなかったんですよね。旅に出る前は、決して愛妻家でもなかった気がします。ただ、ふたりで9カ月車中生活を送るうちに変わっていったと思うんですよ。“最後まで一緒にいたい”というひとみさんの願いを完遂した、その自身の変化を彼は分かっていたのか、必然的にそうなったのか、そういったことを撮影中はずっと考えていました」
塙監督が「久典さん夫婦が旅した道のりを、なるべく同じようにたどっていきたいと思い、ハードスケジュールを敢行しました」と明かすように、映画は石川、富山、福井、鳥取、兵庫、静岡、山梨を車で移動しながら撮影された。三浦は、「どんどん日焼けして、最後の方は真っ黒になりましたね」と笑いつつ、「ひとみさんが亡くなる直前まで、約3カ月近く車を止めていたという氷見漁港でのロケは、やはり胸に迫るものがありました。漁港って、朝は活気がありますが、昼にはすっかり静まり返るんですよ。その静けさのなかで“ここでふたりだけで生きていたんだな”という事実が重くのしかかってきました」と振り返った。
「ふたりでいることが、なぜ、罪になるのですか?」という印象的なキャッチコピーがついた本作。塙監督は「結末だけ見るととても悲しいけれど、愛し合って結婚したはずの夫婦が、歳月を経て見失った愛を再び取り戻すという、希望が描かれた話でもあるのです」と話し、「久典さんのとった行動の善悪ではなく、こういう夫婦が本当にいたんだということを感じとってほしいですね」と呼びかけた。
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