宮崎駿監督、「コクリコ坂から」吾朗監督に「映画監督は2本目が大事」
2010年12月16日 00:01

[映画.com ニュース] スタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーが12月15日、東京・有楽町の東宝本社で最新作「コクリコ坂から」の製作報告会を行った。鈴木プロデューサーは、宮崎駿監督がメガホンをとる長男の宮崎吾朗監督に対し「映画監督は2本目が大事で、本当の評価が出る。1本目はビギナーズラックもあるんだ」とメッセージを伝えたことを明かした。
同作は、「なかよし」(講談社刊)で1980年1~8月号に連載されていた高橋千鶴・佐山哲郎(原作)の少女漫画が原作。映画では1963年の横浜を舞台に置き換え、下宿屋を経営する女系家族の長女・小松崎海が、高校の生徒会長と新聞部部長の青年2人に振り回されながら日常をおくる姿を描く。鈴木プロデューサーは、企画背景を「約15年前、信州にある宮さん(宮崎駿監督)の山小屋へ夏休みで行ったら、テレビも新聞もないなか、雑誌の『リボン』や『なかよし』があった」と説明。そして、「話すことが何もないから、『コクリコ坂から』のストーリーの続きがどうなるかを語り合った」そうで、翌年も同じことを続けたという。
そして昨年末、駿監督から「スタジオジブリ経営5カ年計画」という表を見せられたと明かす。そのなかで、最初の3年は若い人材の登用、最後の2年は超大作の製作を打ち明けられたそうで「その第1弾が『借りぐらしのアリエッティ』だった。今回は吾朗くんにしたいと話したら、『2本目が成果が問われる。ダメだったら解任の可能性もあるが、やらせよう』と言っていた。宮さんは、いまだに『ゲド戦記』を吾朗くんに撮らせたことについて、僕のことを許していないんですよ」と笑った。
製作については、「非常に順調に遅れています。現在は絵コンテ作成の最後の段階。67年生まれの吾朗くんにとっては時代劇を撮るようなもの。ただ、昔は良かったじゃダメ。今、この時代に撮る意味を見極めないといけない」。原作との違いについて、「見え方は違うかもしれないけれど、基本的には同じ。少女漫画は心象風景をつなげていくから、原作と映画で出来上がりに差が出るのは仕方がない」と話した。
駿監督はシナリオを手がけているが、「口も手も出さない」と宣言していたという。この日公開されたポスターは自ら書き下ろしたそうで、「吾朗くんが嫌がるかもしれないと思ったが、『この絵はとてもいいです』と言ったから、これを使おうと即決した」。シナリオについては、「宮さんは今回、禁じ手を使った。これまでカットバックはなかったが、今回はいっぱい出てくる。それがとても面白いと思った」と手ごたえをうかがわせた。
また、主題歌については手嶌葵が歌うことも発表された。
「コクリコ坂から」は、2011年夏に全国で公開。
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