ベネチアで「十三人の刺客」プレミア 三池崇史監督、役所広司らに拍手喝采
2010年9月10日 21:33
上映に先立つ記者会見には、三池監督と主演の役所広司、山田孝之の3人が出席した。三池監督は、「今、日本の映画界では本格的な時代劇を作ることが忘れられているからこそ挑戦したかった。親の世代が作り上げたものを、次世代の自分たちがどう受け止め表現するかというのは自然な欲求だった」と挨拶。俳優陣は、「大きなケガはなかったが、毎日ナマ傷が絶えなかった。自分の役柄は13人ものサムライが命を預けようと決めるリーダー。そんな男に見えればいいと思いながらやった」(役所)、「さまざまな苦労があったが、いつか時代劇をやってみたいと思っていたので挑戦できて、いい経験になった」(山田)と熱っぽく語った。
前日のプレス向け試写もすこぶる評判が良かったが、メイン会場では上映中ところどころで喝采や笑いが起こり、終映後は熱狂的なスタンディング・オベーションが場内を包んだ。三池監督といえば、海外の批評家や観客には、血みどろの暴力的な描写に満ちた一筋縄ではいかない作品を作る監督というイメージが強い。そんななか、今回の男気あふれる本格時代劇は三池監督のイメージにさらなる広がりを持たせたようだ。
ベネチアでの三池作品としては、前日に「ゼブラーマン」が招待上映された他、9日は「十三人の刺客」に続いて「ゼブラーマン ゼブラシティの逆襲」もミッドナイト上映された。特集上映などの特別な機会を除いて、1人の監督が3作品を携え映画祭に参加するのは破格の扱いで、三池監督自身も「感謝していると同時に、ディレクター、マルコ・ミューラーのカラーの強さにこちらも驚かされた」とコメントした。
今年の審査員長であるクエンティン・タランティーノは、三池監督の「スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ」にもカメオ出演を果たした、三池ファンとして知られている。それだけに、三池監督が渾身の力を込めた本格時代劇が、賞の結果にどう影響するか見ものだ。(佐藤久理子)