「ソラニン」三木監督がビリーに感情移入した理由
2010年4月6日 11:27

[映画.com ニュース] 浅野いにおの人気コミックを宮崎あおいと若手注目株の高良健吾を主演に実写映画化した「ソラニン」(公開中)の三木孝浩監督が、人気原作の映像化に向けてのコンセプトやディテールへのこだわり、青春恋愛映画を撮るにあたってのモチベーションについて語った。
本作は、OL2年目で会社を辞めた芽衣子(宮崎)と音楽への夢をあきらめきれないフリーターの種田(高良)を中心に、不透明な未来に不安を抱えながら夢と現実の狭間で葛藤する若者たちの心情をリアルに切り取った青春恋愛映画。浅野作品のファンという三木監督は、「ぜひやりたいと思いました。ミュージックビデオの仕事をしていたので共感する点が多かったですし、浅野さんの醸し出す空気感が大好きなので」と、原作への想いを抱きながら、「世界観を壊さないことは大前提でしたが、ビジュアルを似せるだけでなく、あの世代特有のわかりづらい裏表のある世界、夢を持ち続ける自分とどこか冷静な自分の心の揺れ動く感じを踏襲しないと『ソラニン』にはならないと思いました」と映像化に向けてのコンセプトを明かした。
とはいえ、本作には音楽を知っている人間にとって、かなりのプレッシャーになり得る要素がある。タイトルにもなっている劇中曲「ソラニン」だ。「原作を読んでいると(自分にとっての)理想的な曲が流れますよね。皆さんそれぞれの耳元でいい音が鳴っていると思うと、それを具体化するハードルは高かったですね」。それでも、ライブシーンには、原作ファンもうなるであろう興奮と感動が用意されている。「仕事柄よくライブハウスに行きますが、なぜだかわからないのに涙が出るほど感動することがあります。そういう場所ならではのミラクルとディテールを出そうと思いました。映画を撮っていたというより、ライブを撮影している感じでしたね」
また、三木監督自身は、桐谷健太演じるビリーに感情移入した。「実はビリーって、ネガティブマインドが多くて、自分の気持ちを出し切っていないところがあると思うんです。僕自身、10代、20代にやり残したことだらけなので共感しますね(笑)」。しかし、そうした背景が、三木監督を青春映画へと向かわせている。「青春恋愛映画を撮りたい欲求って、当時、自分がかなえられなかった感情や足りなかった思い出などを映し出したいからだと思うんです。10代って理想的な妄想(もうそう)をしますよね。僕の場合、それがやけに映画的なのかなと。もしも、充実していた青春時代を送っていたら、いまこの仕事をしていないと思います(笑)」
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