マイケル・ムーア、波乱の初来日 「昔の日本に戻って」と熱弁
2009年11月30日 16:59

[映画.com ニュース] 「ボウリング・フォー・コロンバイン」でアカデミー賞、「華氏911」でカンヌ映画祭パルムドールを受賞した米ドキュメンタリー作家のマイケル・ムーア監督が11月30日、最新作「キャピタリズム/マネーは踊る」(12月5日公開)の会見を東京・中央区の東京証券取引所で行った。
同作は、「ボウリング・フォー・コロンバイン」で銃制度、「華氏911」で9・11テロ以降のブッシュ政権、「シッコ」で医療制度のあり方を糾弾し、アメリカが抱える問題を浮き彫りにしてきたムーア監督が、ウォール街にアポなし突撃取材を敢行し、現在の世界恐慌を引き起こした米国の「資本主義」の裏側を告発するドキュメンタリー。東証で映画の会見が開かれるのは史上初で、ムーア監督は「ニューヨークの取引所には立ち入り禁止。今日はここで会見だと聞いて冗談かと思ったけれど、すんなり入れたことに驚いている」と挨拶した。
今回が初来日のムーア監督は、「バゲッジロストにあって、機内でパジャマにしていたシャツしかなかった」とラフな格好で登場。「僕はこういう体型だから、お相撲さんが行くお店で服を買った。変な服装だけど……いつもと変わらないかな(笑)」とおどけてみせた。利用した航空会社については、「Jで始まってLで終わる会社。ANAじゃないほうの」とチクリ。さらに税関で指紋を取られたことに触れ、「理由もなく指紋は押せないと行ったら別室に連れていかれた。拒めば強制退去になって、どちらにしろ取られるというから仕方なく押してきた。アメリカに外国人が入国する時はそうするかららしいけど、それは正しくないと思う」と、波乱万丈の来日体験を語った。

「日本にはずっと尊敬の念を抱いている」というムーア監督は、米国同様に経済不況に陥っている日本へのメッセージを求められると、「日本でも犯罪率や失業率が上がってきたのは、これまで築き上げてきた社会的なセーフティネットを、過去数十年続いた保守的な政府が切り崩してきているから。僕はアメリカを愛しているけれど、アメリカを真似る必要はない。日本は日本のままでいてほしい」と熱弁。「ジョージ・W・ブッシュの政策を、アメリカでエルビス(・プレスリー)の真似をしていた日本の首相や、イギリスのトニー・ブレア、イタリア、スペイン、デンマークといった国々がサポートしたことで、ブッシュの戦争が正当化されてしまった。ある意味、こうした国々の首相たちも責任を問われるべきだと思う」と話は止まらず、「日本を非難しているわけじゃない。謙虚なお願いとして、新しい首相の下で道を踏み外さず、昔の日本に戻ってもらいたいと思っているんだ」と訴えた。
また、会見の最後には自身も株取引をしているという小倉優子が花束贈呈ゲストとして来場。ムーア監督は「株は儲かっている?」「新しい首相は好き?」「お母さんから10億円もらったことある?」など、鳩山由紀夫首相の献金問題をもジョークにした質問を連発し、ゆうこりんにも“アポなし突撃取材”を敢行していた。
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