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豊田利晃監督、4年ぶりの復帰作「蘇りの血」

2009年11月13日 18:48

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緊張感たっぷりの豊田節は健在
緊張感たっぷりの豊田節は健在

[映画.com ニュース] デビュー作「ポルノスター」から、「青い春」「ナイン・ソウルズ」「空中庭園」に至るまで、一貫して都市生活者の破壊と再生、閉塞からの開放を描き続けてきた豊田利晃監督が、4年ぶりの新作「蘇りの血」を完成させた。前作「空中庭園」公開直前の05年9月に覚せい剤取締法違反の罪で起訴された豊田監督にとっては、本作が復帰第1作となる。

「ずっと岡山の森の中で暮らしていました。近所の温泉に入ったり、友人の音楽スタジオでドラムを叩いたりして、その辺の不良どもとつるんでいましたね。それと並行して、今回の主演・中村達也さんに誘ってもらって、彼のバンド『TWIN TAIL』のPV映像を撮ることになったんです。その中に『LOST』っていう11分の楽曲があるんですが、そのPVを作ったスタッフと、この『蘇りの血』も作ったんです」

同作は歌舞伎や浄瑠璃の演目にもなっている説話「小栗判官」をモチーフに、権力者の嫉妬により殺されてしまった男の“再生”と“復讐”を描く異色のファンタジードラマ。現代の都市の閉塞感をテーマに撮ってきた豊田監督としては初めての時代劇だ。

「これまで撮ってきた映画とは異なる、ある種の突破口になるような題材を常に探していたんです。そういうもののヒントが、渋谷や新宿といった街の真裏にあるようなもの、つまり原生林の森であったり、手つかずの自然や人間のエネルギーだと思うんです。それでも、これまでの作品とはコインのように表裏一体でつながっている感じがしますね」

映画の主なロケ地は青森・下北半島。「人工のものではない世界観を構築したかった」という。「時代劇なのに植林で撮っているような映画はいやだったんです。ただ、厳しい最果てのような自然の中で1度映画を撮ってしまうと、もっと厳しいところで撮りたくなる(笑)。クセになるというか、自然とのセッションみたいな感じで、心地よかったですね」

舞台は太古の大自然となったが、登場人物たちが激しく火花を散らし、見る者に緊張を強いる豊田節は本作でも健在だ。「無意識に出てしまうんでしょうね。そういった感覚は生来のもので、ヒリヒリするような緊張感がないと映画を撮っている感じがしないんですよ。やっぱりぬるい映画は嫌いなので、キツい、厳しいほうに行ってしまうんです」

蘇りの血」は、11月21日に開幕する第10回東京フィルメックスで上映後、12月19日から東京・渋谷のユーロスペースほかで公開。

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