薬物事件から復帰の豊田利晃監督、4年ぶり新作「蘇りの血」がついに完成
2009年9月11日 12:00
[映画.com ニュース] 豊田利晃監督の最新作「蘇りの血」の完成披露試写会が9月10日、渋谷・ユーロスペースで開催され、豊田監督が上映後に舞台挨拶を行った。本作は豊田監督にとって、小泉今日子主演の「空中庭園」以来4年ぶりの新作で、05年に覚せい剤取締法違反の罪で起訴後、復帰第1作となる。
「蘇りの血」は歌舞伎の演目にもなっている説話「小栗判官」をモチーフにした、寓話色の強い異色ヒューマンドラマ。豊田監督自身が昨年春に紀州・熊野を旅し、そこで小栗判官が不治の病を治したという蘇生の湯に出会ったことから誕生した作品で、08年7月にわずか10日間で撮影された。主演には元BLANKEY JET CITYのドラマーで俳優としても活動する中村達也が起用された他、草刈正雄の娘である草刈麻有、「空中庭園」にも出演した板尾創路ら個性的なキャストが顔を揃えている。
久しぶりに公の場に登場した豊田監督は緊張した面持ちながら、「ちょっと不思議な映画を作ってしまいましたが、自分自身、とても気に入っています」と自信のコメント。事件に関する具体的な発言はなかったものの、「この4年間に経験したことが反映されていると思います」と語った他、作品のテーマに関して「エコロジーじゃない自然の怖さと人間の根源的な部分の融合を描いた」とし、「この作品から力を感じてもらえればうれしいです」とアピール。
また、主演を務める中村については「人間離れしたドラミングから伝わる生命力が、この映画にぴったりだと思った」と起用理由を説明し、オーディションで選んだという草刈に関しては「目が特徴的だった」と振り返っていた。
「蘇りの血」は12月公開。