子役に泣かされつつも助けられた「縞模様のパジャマの少年」ハーマン監督
2009年8月7日 12:00

[映画.com ニュース] 第2次世界大戦下のドイツ、ユダヤ人強制収容所の柵越しに友情を育む無垢な少年たちの悲劇を描いた同名小説を「ブラス!」「リトル・ヴォイス」で知られるイギリスのマーク・ハーマン監督が映画化した「縞模様のパジャマの少年」。本作の日本公開を前に、ハーマン監督が電話インタビューに応じた。
ドイツ人のブルーノ、ユダヤ人のシュムエルという2人の少年の目線から、20世紀最大の犯罪の1つである「ホロコースト」の側面を描く本作。最初に原作を読み終えたとき、ハーマン監督は「こりゃ、映画化は無理だなと思った」とか。「読み終えたときに強烈なインパクトを感じたんだ。自分の前作がロマンチックコメディ(コリン・ファース主演『スプリング・ガーデンの恋』日本未公開)だったから、次回作にはもっとパワフルなストーリーがいいと考えていて、頭では無理と理解しつつも、心では『これは是非やりたい』と思っていた。それに、前作を撮り終えたときに自分の中での仕事に対する考え方が変わってしまい、自分にもっと大きな挑戦を課さなければいけないと思っていたから、抑えきれなかったんだろうね。結局、自分で映画化権を買って、シナリオも書いてしまったんだ(笑)」
その後、製作してくれるスタジオ(ミラマックス)を見つけて、何とかクランクインまでこぎ着けたハーマン監督。撮影中は子役俳優の扱いに泣かされつつも、助けられたこともあったようだ。「子供を使って映画を撮るということは、大人を使うよりいろいろ制約があって、すごく難しい。『1日の撮影は何時間まで』『家庭教師をつけないといけない』等々、大人よりも撮影のスケジュールを組むのが大変(笑)。実際、2人一緒のスケジュールを組めないときは、1人で芝居をしてもらって後で編集でつないでいるわけだけど、そういうときにも普段と変わらずに演技が出来る子供たちに感動したよ(笑)。フェンス越しで話しているシーンも2人別撮りのショットがあるけど、気づかないでしょう?」
子供が主人公の映画にしては、毒を含んだ痛烈なラストが話題の本作。映画化に際して、ハーマン監督はスタジオと自分に「絶対にラストは変更しない」というルールを課して製作に臨んだという。「これだけ大きな題材を、2年も3年もかけて作るわけで、自分の信念を貫くため、ラストだけは頑なに守り通したんだ。ハリウッドのエンディングに慣れている観客には相当ショックかもしれないけど、それでこそ原作が持つメッセージがより明確に伝わると思う」
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