音楽家ならでは着眼点で描く「譜めくりの女」、監督に聞く
2008年4月17日 12:00

[映画.com ニュース] 楽器奏者に静かに寄り添い、演奏の進行に合わせて的確に楽譜のページを手繰っていく“譜めくり”。幼い頃にピアニストの夢を絶たれた少女と、彼女が譜めくりとしてアシスタントすることになった女性ピアニストとの間の愛憎を、静謐な中に緊張感たっぷりに描く「譜めくりの女」が間もなく公開される。
本作のドゥニ・デルクール監督は、ビオラ奏者でもあり、現在はフランスの国立音楽院で教授職の肩書も持つれっきとした音楽家。“譜めくり”を主人公にするのは音楽家らしい着眼点といえるが、監督は「最初は2人の女性の物語を書きたくて、そこに復讐劇を絡めたくなった。その時点で、主人公を譜めくりにすれば、上手くストーリーが運ぶと思いついたんだ」と語る。「譜めくりが主人公ということで、とてもオリジナリティあふれるものだと思われるけど、僕のような音楽家にとって、譜めくりは日常的な存在。特に目新しいものじゃないんだ」
神経質であがり症のピアニスト、アリアーヌ(カトリーヌ・フロ)の譜めくりを担当することになったメラニー(デボラ・フランソワ)だが、実はアリアーヌこそがメラニーのピアニストへの夢を絶った原因。メラニーは譜めくりという立場を利用し、復讐を遂げようとする。一方のアリアーヌは、そうとは気付かずにメラニーに頼りきりになっていく。
演奏家の補助役である譜めくりが、いつしか演奏家をも左右する存在になっていくという構図は、監督自身が演奏家として体験したこと? 「実を言うと、僕も自分の先生の譜めくりをやった経験があるんだけど、早くページをめくり過ぎたり、非常に下手な譜めくりだった。あの体験は今でもトラウマだよ(笑)。ただ、演奏家というのは非常に集中して演奏に臨む。だから、実際は譜めくりのタイミングがちょっと早かったり遅かったりしても、それによって演奏が左右されることはないと思う。映画はあくまでフィクションだからね」
とはいえ、これまで譜めくりという存在を気にかけていなかった人にとっては、いろんな意味で譜めくりを見る目が変わるかもしれない1本だ。4月19日公開。
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