浅野忠信の魅力の源は、その声にあり。「インビジブル・ウェーブ」
2007年5月25日 12:00
「地球で最後のふたり」(04)の浅野忠信、ペンエーグ・ラッタナルアーン監督、脚本のプラープダー・ユン、そして撮影のクリストファー・ドイルが再びコラボレートしたフィルム・ノワール調のロードムービー「インビジブル・ウェーブ」。本作のPRのため来日したラッタナルアーン監督と脚本のプラープダー・ユンに話を聞いた。
本作は浅野忠信扮する、ある罪を犯した料理人が、香港、マカオからプーケットまでの南アジアを流浪するシンプルなストーリー。ラッタナルアーン監督は本作を撮るにあたって、クリント・イーストウッドが撮るような作品を意識したのだとか。「近頃の映画はトリックに凝っているような作品ばかりだから、『許されざる者』『ミリオンダラー・ベイビー』といった作品でイーストウッドが撮ったような会話を中心に据えたストレートな古典的映画を撮った方が、かえって新鮮だと思ったんだ」
その古典的な映画の雰囲気作りに貢献したのが、ウォン・カーウァイ作品で知られる名カメラマンのクリストファー・ドイルだ。「クリスは僕らがスクリプトを書いている段階から関わっていたんだ。カメラマンでこんなに早くから入るのは珍しいよね(笑)。僕らの第1稿を読んだ彼は、興奮してすぐにロケハンに行ったんだ。その後、彼から新たにアイデアが出てきてそれを加えた第2稿を作ったんだけど、今度は内容が多すぎるということになり、結局第3稿は第1稿に近い形になったんだよね(笑)」(ユン)。「クリスとは2回目だし、特に話すこともなく、お互いに感覚で、相手のイメージしていることが分かり合えた。むしろ、前回の『地球で最後のふたり』の時の方が綿密に話し合ったよ」(ラッタナルアーン監督)。
そして、クリストファー・ドイルとともに、今回2度目のコラボレーションとなった主演の浅野忠信については「とても信頼できる俳優で、人間としても素晴らしい。ただ、彼の魅力の秘密は、そのルックスではなく、声にあるような気がします。彼の声そのものと、彼の台詞の喋り方がとても心地いいんですよ。これはとても稀な資質で、彼の最大の魅力なんじゃないかな」と語ってくれた。
「インビジブル・ウェーブ」は5月26日ロードショー。