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柳町光男監督、10年ぶりの新作「カミュなんて知らない」

2005年12月27日 12:00

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日本映画界の鬼才、復活
日本映画界の鬼才、復活
79年「十九歳の地図」、82年「さらば愛しき大地」、85年「火まつり」と映画界において常にセンセーショナルな衝撃作を手がけてきた柳町光男監督が、95年のドキュメンタリー「旅するパオジャンフー」以来、約10年ぶりにメガホンを取った「カミュなんて知らない」。新作の公開を間近に控えた柳町監督に話を聞いた。
カミュなんて知らない」は、3年間の早稲田大学での客員教授生活を経た柳町監督が、自身の経験を基に、大学のキャンパスを舞台にして作り上げた若者の群像劇。本作の製作のきっかけを「大学に通ううちに、キャンパスというところがとても映画的な場所だと思えてきたんですよ。広場やチャペル、そしていたる所にある階段、回廊、ラウンジなど、空間的にとても面白い。そういった場所で、今の若者の「一瞬の生=生き様」をとらえられれば、映画として形になると思ったんですよ」と話す柳町監督。
だが、柳町監督といえば、やはり「さらば、愛しき大地」での麻薬と妻殺しや「火まつり」の一家皆殺しといったリアリティ溢れる重厚かつ骨太な作風が有名。今回も後半に柳町監督ならではの強烈かつ重厚なシーンが出てくる。「人間の矛盾、社会的矛盾っていうのが、殺人事件というものには集約されているんだよね。(あの殺人のシーンを撮るときは)ロケ地のせいもあってか、血が騒ぐっていうか、あの場所に行った瞬間に記憶が呼び起こされるように、悩むことなくパっパっとカット割りが出来ましたよ。最初は後半のあのシーンが映画の決め所になるとは思わなかったけど、現場に行って『こっちが勝負になっちゃうかなあ』って思ったのも事実。それでもいいやと思って撮りました」
今回、実に10年ぶりの劇場公開作品となった柳町監督だが、これからについては「やっぱり女性映画だね。僕は完全に女性を主人公にした映画は、まだ作ってないんですよ。あとは死者と生者が交わるような、幽霊をテーマにした作品。『映画は見せ物』ということにとらわれないで、ひたすら映画的な映画を撮りたいね」
本作は今年の第18回東京国際映画祭で「日本映画・ある視点作品賞」を受賞し、第58回カンヌ国際映画祭(監督週間)、そして第43回ニューヨーク映画祭に出品され、06年にはニューヨークを始めとするアメリカの7大都市での上映も決定している。日本では06年1月14日より東京・渋谷のユーロスペースにて公開され、1月28日には柳町監督が映画演出について語る6時間に及ぶワークショップも開催される予定。

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