ヒッチコックの映画術

劇場公開日:

ヒッチコックの映画術

解説

「サスペンス映画の神様」と称され映画史に多大な影響を残した巨匠アルフレッド・ヒッチコックの映画づくりの裏側をひも解いたドキュメンタリー。

ヒッチコック本人がナビゲートするスタイルで、膨大なフィルモグラフィと過去の発言を再考察し、驚きと遊び心に満ちた映画づくりの秘密を紹介。「白い恐怖」「めまい」「北北西に進路を取れ」「サイコ」といった代表作の名シーンを解説するほか、現在日本では視聴が困難な「快楽の園」「ダウンヒル」など初期作品の本編フッテージも使用しながら、ヒッチコックの演出テクニックを視覚的に解き明かしていく。

「ストーリー・オブ・フィルム 111の映画旅行」のマーク・カズンズが監督・脚本を手がけた。

2022年製作/120分/G/イギリス
原題または英題:My Name Is Alfred Hitchcock
配給:シンカ
劇場公開日:2023年9月29日

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(C)Hitchcock Ltd 2022

映画レビュー

3.5「ヒッチコック/トリュフォー」を補完する、映像作家志望者向けの副教材として

2023年9月29日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:試写会

知的

アルフレッド・ヒッチコックの映画術を学ぶドキュメンタリーとしては、本作の先輩格にして素晴らしい出来の「ヒッチコック/トリュフォー」がある。こちらは、1962年にフランソワ・トリュフォー(長編デビュー作「大人は判ってくれない」を監督してから3年後)がヒッチコックに延べ50時間ものインタビューを行い66年に書籍化された「映画術 ヒッチコック/トリュフォー」を題材に、インタビュー時の写真と音声テープのほか、マーティン・スコセッシ、デヴィッド・フィンチャー、黒沢清ら10人超の監督がヒッチコック映画の魅力を語るパートも交えて2015年に製作。トリュフォーに質問されヒッチコックが自作について説明するやり取りが興味深いうえに、巨匠を敬愛する監督らのコメントを要所ではさむ編集テンポも快調で、本編80分があっという間に過ぎる。

一方、本作「ヒッチコックの映画術」は、1922年の初監督作「第十三番」から100周年にあたる2022年に企画された英国発のドキュメンタリーで、メガホンを託されたのは「ストーリー・オブ・フィルム 111の映画旅行」のマーク・カズンズ。19世紀末~2000年代の120年の映画史をまとめた著書「The Story of Film」や、これを基にした計15時間のドキュメンタリーシリーズ「ストーリー・オブ・フィルム」を監督するなど、映画史の膨大な情報を整理し要約する能力に長けた職人だ。

代表作だけでなく初期作品などの本編映像もふんだんに使用し、「逃避」「欲望」「孤独」「時間」「充実」「高さ」という6章構成で、テーマ別にヒッチコックの意図や編み出した技法を解き明かしていく。“ヒッチコック自身が語る”体で作られているが、実際には物真似が得意な英国出身俳優アリステア・マクゴーワンがナレーションを務めた。ただ残念ながらぼそぼそした語りが単調で眠気を誘ううえ、ヒッチコックのあえぐような息継ぎまで模写した音が個人的には耳障りだった(そこまで完コピしなくてもいいのに…)。ヒッチコックの写真も同じものが何度も映し出され、120分が余計に長く感じられてしまう。

とはいえ、鑑賞済みのヒッチコック作品でも、視点や構図、背景などについての意図や仕掛け、込められた象徴性などを聞いてなるほどと気づかれることも多く、とくに映像作家志望の若い層には大いに参考になりそうだ。単にヒッチコック映画が好きという向きにも、より深く作品を味わううえで得るものが多いだろう。時間があればまず「ヒッチコック/トリュフォー」を配信などで鑑賞し、それを補完する位置づけで本作を観るとバランスがよいように思う。

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高森 郁哉

3.5不思議な陶酔的語り口を持ったドキュメンタリー

2023年9月28日
PCから投稿

ヒッチコックとは尽きることのない壮麗なワールドであり、一度ハマると抜けられなくなる沼でもある。本作はその魅力を紐解くドキュメンタリーながら、ヒッチコック自身のナレーション(という体)で観客を導く不思議な語り口を持った作品だ。その作品群を探求する上での視点も切れ味が鋭く、まずは「逃避」や「欲望」という不可欠なテーマ性について贅沢に映像をモンタージュさせて一つの特色を浮き彫りにし、「時間」の項ではいかに映像をタイムマシンの如く駆使して時を自在に操ったのかを提示。「高さ」の項では主人公や物語を見下ろすカメラの位置の高さについても触れてみせる。そのほか扉の開閉に関する言及にも「なるほど」と頷くことしきり。とはいえ、ヒッチコックならではのゆっくり口調が陶酔的な時間を紡ぎ、なおかつ各作に関する細かな解説はなくどんどんモンタージュが展開されていくので、入門編というよりは、中・上級者のほうが楽しめるかも。

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牛津厚信

3.5ヒッチコックの6章‼️

2024年11月3日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

楽しい

興奮

幸せ

ヒッチコック監督のドキュメンタリーとしては傑作だった「ヒッチコック/トリュフォー」をはじめとして、何作か鑑賞はしてるんですが、今回はヒッチコック自身の語りによる進行(もちろん本人じゃありませんが)で、全体を「逃避」「欲望」「孤独」「時間」「充実」「高さ」という、ヒッチコック作品を語る上で重要な6章に分けて描かれます‼️ナレーションと過去作の映像だけで、家族やスタッフの方、俳優さんたちの出演がないのがチョット物足りないですね‼️内容は今までにドキュメンタリーや書籍などで語り尽くされた事ばかりなので、新味はありませんが、私みたいなヒッチコック監督を敬愛する者にとっては無条件に支持‼️

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活動写真愛好家

3.0ヒッチコック作品のカタログ的

2024年10月30日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

ヒッチコックの映画の作り方の謎を知られると思い
興味津々で観ました。
ヒッチコック作品の名シーンがいっぱい観られて楽しかった。
けどそれ止まりですね。
あまり深くは考察しないで
名作のオンパレードを観られるだけになってしまったような。
ヒッチコック作品のカタログ的には良い映画でした。

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tom