イノセンツのレビュー・感想・評価
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静かなるサイキックウォー
不思議な能力に目覚めた子供達が、その能力に魅入られ飲み込まれた少年の暴走を止めるため
奮闘する話。(大分意訳。)
劇伴はほとんどなく、静かに、しかし確実に、終盤に向かって状況は悪い方に進行していく。
子供達の演技は素晴らしく、劇中唯一の嘘である超能力をエンジンに
グイグイとストーリーが展開していく。
ネタバレ
個人的には、下のような構造かな、と勝手に思った。
女の子:テレパス
インド少年:サイキッカー
姉:能力増幅機能持ち
妹:最初能力なし、覚醒後:テレパス
※4人以外にも能力者は存在する。
(能力者は互いにテレパシーで意思疎通可能。 テレパスも多少のサイキック能力あり、という前提。)
・当初、妹は覚醒しておらず能力がなかったため、3人とテレパシーで繋がることが出来なかった。
・インド少年が森でブチ切れてサイキック能力を使用した際、姉の増幅機能が作用し倒木を粉砕した。
・女の子は姉と意識を共有でき、遠隔地のビジョンを目前の人物に投影して見ることが出来るほどの強力なテレパスだったが、
単体ではサイキッカー相手に対抗手段が無く、排除された。
・妹はギブス破壊時にテレパスに覚醒。
・妹覚醒後、姉と意識を共有し、増幅機能の利用(かつ他の能力者(ベランダから覗いていた子達)と連携)することで、
インド少年の精神を破壊し、暴走を止めた。
・妹はテレパスとして姉と繋がることで、今後共に幸せに暮らしていけるはず。
大分願望込みですが、
こんな理解はどうでしょうか?
愛猫家は観ない方がいいですよ。
ジュニアサイキッカーの物語
はじめは子供特有の無邪気な残酷さを繊細に描いた映画なのかなと思い見てた。
前半から目を背けたくなる描写があり、ヒリつく緊張感が全体を覆う。
やがてひとりの少年がその能力を誤った方向へ使いはじめると、その惨さと恐ろしさにスクリーンを直視するのも難しくなる。
大きな音で驚かすだけのホラーや失笑してしまうようなJホラーよりも、ある意味では怖い…。
しかし、終盤にかけてハリウッド映画のようなサイキッカーたちの対決が始まってしまい、これまでの張り詰めたトーンとのギャップに思わず笑ってしまう。もったいない。
人の痛みが分からない人間が過剰な力を持ってしまう事へのアンチテーゼ…というのも無理があるような気がするし。とにかく最後がもったいないなぁ。
純粋な悪。
雰囲気は良かったですが地味なサイキックスリラー
レビュー評価が良いのと知り合いがお勧めしてたので見てきました。
北欧発のサイキックスリラーという触れ込みですが心理描写が多く派手なアクションは皆無でした。
罪悪感のない少年少女たちが徐々に未知の能力に目覚めていく過程にかなり時間をかけて描いています。
後半はその能力を制御できない少年が様々な理由で暴走して行きさてどうなるか・・・、という展開でサイキック物としてはかなり地味ですが雰囲気はあり見て飽きなくて良かったです。
団地が舞台で大友克洋「童夢」と「AKIRA」の影響がかなり大きいのがわかります。ラストもそのままでした。
おススメ度は普通のちょい上というところでしょうか。
「童夢」を劇場アニメで実現してほしいです。
特殊な能力を持つ子供の喧嘩かな、、
北欧チルドレンの隠れた超能力。
ノルウェー・デンマーク・フィンランド・スウェーデンの合作映画。予告編は観てなかったので、勝手にハードル上げて着席。
主人公は夏休みに引っ越してきた、女子小学生のイーダちゃん。結構優しい両親と喋れない自閉症の姉アナとの4人家族。夏休み中なので同級生と友達になれない彼女は、友達作りに近所のグラウンドに行く。そこで出会った男の子ベンジャミンが、面白いものを見せてくれるって
、2人で森に遊びに。うそ!こいつ超能力者かよっ!?しょぼいけど。
えっ?猫ちゃんにどうしてそんな事しちゃうのよ。こいつ、結構悪い奴なのかなって思っていると、それから始まる超能力スリラー。ベンは、物体を動かせる、他人の考えが分かる、他人を動かすことができる。へぇ〜って思ってると、女子のアイシャにも超能力が!
とにかく、ベンが感情をコントロールできなくて次から次へと犯罪を犯していく。何だか不思議なのが、自分が犯してるのに、毎回反省してる感じ。この能力、危険。反省しすぎて、自分を誰かに殺させるんじゃないかと思ったくらいだった。そのうち、イーダとアナにも超能力が。特にアナの症状の変化で泣けた〜。
予想をこえた展開で、ずっと不安でハラハラドキドキ。凄く楽しかったです。
ただ、最後は中途半端だったのが残念でした。もしかして団地の子供達、皆んな超能力あるのかな?だったらなぜ大人には分からないの?
〝体感型〟サイキックスリラー
主人公はあの悦ちゃんと同じ。
率直な感想
ドキュメントタッチな人物描写、場面設定は良。◯
脚本家出身の監督ということで納得。
ESP.PK能力描写が何気に地味△ 。監督が特撮とい
うものをよく知り得ていない印象。自分が特撮映画
の観過ぎで感覚麻痺なのか?それとも予算がない?
小道具をもう少し工夫して別のものにすれば、現代
のエフェクトではもっと効果的でインパクトのある
画が撮れたのではと勝手に感じてしまい映画に没入
出来ず。まぁそれが、北欧映画らしいといえばらし
いかも。
子役の俳優陣は自然な素晴らしい演技。◎
特にイーダ役のラーケル・レノーラ・フレットゥム
は秀逸。
総合的には
本作監督の社会的弱者の視点に立って見るという観
点から製作が始まり、意図が最終的に大友先生の童
夢へのオマージュと合致したというところか。
その昔、童夢を初読した時の衝撃とその視点、画の
構成、物語の斬新さにはゆうにおよばず、内容的、
またビジュアル的にも物足りない印象を受けた。
現代ではもっと大胆に創れたと思うが、仕方がない
のであろう。
童夢を知らない人たちには絶賛の作品。
⭐️2.0
子供によるサイキックスリラー
鑑賞後に大友克洋さんの童夢を参考にされているとのこと、記事で読みました。といっても童夢、未見なのですが。
あまり馴染みのない北欧の映画、かつ、北欧のホラーという口コミでしたが、主人公の女の子は意地悪で冒頭は非常に感情移入しづらい、というか、積極的にNGなのですが。
お話は大型団地に住む4人の子供たちによるサイキック・スリラー。
子役の4人の演技は素晴らしく、段々と物語に引き込まれました。特に,自閉症のお姉ちゃんは脱帽です。
最後は超能力対決です。まさか、クローネンバーグのスキャナーズ?と思いましたが、流石にそんなことはなく、静かに幕を閉じました。
移民家族いじめ?
久し振りに心底怖い映画で上映中に声を出しそうになったり体がびくっと動いた。
セリーヌ・シアマ監督の「トムボーイ」と同じ季節。多くの家族は夏休みで不在。色んな理由で休暇に行かない家族、新たに引っ越してきた家族の子ども達の出会いから始まる。でも映画の方向性は真逆。
アナ、イーダ、アイシャの3人の女の子役それぞれの演技は本当に素晴らしかった。とりわけイーダはつねってやりたいほどの憎らしさをうまく演じていた。そして男の子ベン。孤独で無垢でとても可愛らしい(と見えた)。
金髪頭の年上サッカー少年にコケにされたのがきっかけなんだろうか。悔しさ、怒り、寂しさ。家にはお父さん不在でお母さんはちょっと変な感じだ。そのベンがトリガーになったのか、イーダの姉で言葉を発しないアナと移民の子のアイーシャは意志疎通がすでにできていた。アナは話せるようにもなった。両親が感動して喜んだほどに!
ベンからイーダを守るためにアナは行動した。その守り方はあれでよかったんだろうか?引っ越してきたばかりで友だちがいない一人ぼっちのイーダに話しかけて友だちになってくれたのはベンだった。
移民の母親達。夫不在で巨大な団地で子ども一人と住んでいる。仕事をしているのかどうかもわからない。孤独、辛い、心を病んでいたのかもしれない。そんな移民の母を持つ子ども達が結果的に犠牲になった。アナは妹を守った。ふた親揃っているアナもイーダも移民の子どもではない。
無垢な悪意が暴走するとき
こいつはやばい。へなちょこJホラーに慣れてしまった体では、ダークでヘビーな衝撃を受けきれない。
固唾を飲んで成り行きを見守るなんていつ以来だろう。
子供同士のありふれた会話だけなのに彼らの気持ちが手に取るようにわかる。子役の演技の上手さもあるし、彼らの気持ちを表す情景描写やショットの切り替えが絶妙。
テレパシーやサイコキネシスを使える少年少女は、何らかの身体的障害や精神的障害を持っている。そのうち1人は、境界線上にいると思うが。
主人公の少女イデアの姉は、自閉症で喋ることができない。この設定が抜群に生かされていて、最初のうちは、姉のアンナの行動にイライラしていた気持ちが、徐々にアンナの気持ちに寄り添っていくようにシナリオが組まれている。
強引な誘導もなく、あのラストへ持っていく手腕はホントに素晴らしい。クライマックスでは、彼らに全く気が付かなくて夏休みを楽しんでいる人々をバックに、池を挟んで対峙する彼らのショットは芸術的でもある。
超能力を手にしたことによって歪んだ全能感を感じてしまう少年は、過去の悲惨な連続殺人事件を彷彿とさせる。
少年少女の中に北欧で社会問題となっている移民を配置したのは、格差を放置する危険性への暗示かもしれない。
無垢な悪意が暴走する恐ろしさをこれでもかと、感じさせてくれる作品でございました。
かなり胸糞悪い映画
子どもの無自覚な残虐性に覚える恐怖
劇場予告は流れてなかったのですが、紹介サイトの内容がおもしろそうだったので鑑賞してきました。率直に言って、思ったよりはおもしろかったです。
ストーリーは、ノルウェーの郊外の団地に引っ越してきたイーダと自閉症の姉・アナが、近所に住むベンとアイシャと仲よくなるが、4人は遊びの中でそれぞれが特殊な能力に目覚め、その力をいろいろ試しているうちに、遊びの範疇を超えたことに使い始め、やがて子どもたちの間に敵意や恐怖が生まれていくというもの。
物語の舞台は郊外の団地で、夏休みを迎えた子どもたちの明るく元気な様子が描かれるはずなのに、冒頭から不満そうな表情の子どもや無機質な団地の様子を描き、不穏な雰囲気を醸し出します。そんな中、偶然出会ったイーダとベンがすぐにうちとけ、ベンがちょっとした超能力を披露し、それをたわいもない遊びとして楽しむ、ほのぼのとした様子が描かれます。その力の特殊性や意味に気づかない無邪気な様子と二人の関係性が、終盤との対比で効いてきます。
初めは能力を試すように遊んでいた4人でしたが、しだいに好奇心とともに能力が高まり、一時の感情に任せて後先考えずに濫用したことで、たがが外れ一線を超えてしまいます。子どもたちの無自覚な残虐性と無邪気な悪意がエグく、暴走していく過程にゾクゾクします。自身を振り返ってみても、子どもの頃に何の理由もなく生き物の命を絶ったことが確かにありました。今なら絶対にしないのに、あの時はちょっとした好奇心で、なんの罪悪感もなく行っていたことが思い出されます。本作の残酷描写も、子どもたちが顔色ひとつ変えずに淡々と行っているように描かれ、恐ろしさが増しているように感じます。
また、子どもたち同士の超能力を使った攻防の描き方もよかったです。荒唐無稽で大仰なサイキックバトルにしてしまうとアクションエンタメと化してしまいますが、あえて地味な演出に抑え、それでも能力のある子たちにはちゃんとそれとわかるような描き方をしています。そんな静かなバトルが人知れず行われて、大人が気づかぬうちにけりがついているというのもよかったです。おかげで、最後まで一貫しておどろおどろしい雰囲気を持続させていました。
ただ、できればアイシャとの関係を経たアナにもう少し大きな変化があるとよかったかなと思います。それでも、イーダのアナへの接し方が変化したことはよかったです。この姉妹にはこれからも仲よくしていってほしいです。また、3組の母子の関係性ももう少し丁寧に描かれると、母子関係に悩む子どもたちの姿がもっと浮き彫りになり、作品に深みが増したように思います。それにしても子役の4人が全員とても上手で驚きました。
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