劇場公開日 2023年7月28日

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「童夢と混同してはいけない。」イノセンツ 蛇足軒妖瀬布さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5童夢と混同してはいけない。

2023年7月31日
PCから投稿

演出、描写の技術が高い。

ジャック・オーディアール作品や
「トップボーイ サマーハウス」「アテナ」等の団地を舞台にした作品を、
考えるための補助線にした方が、
理解しやすいかもしれない。

「童夢」と混同してはいけない。
派手なサイキックウォーズにしない。
コントロールできない能力に目覚める子供達の作品も、
もうたくさんだろう。

と言わんばかりの、
117分は最後まで引きつける。

セリフも少なく、
子供たちの表情と、
あくまでも個性の延長、
大人たちは気づかない意味も問う。

イーダ、アナ、アイシャ、ベン、
それぞれを社会学的に、
あるいは医療的にカテゴライズするくだらない文言はあるだろう。(もちろんカテゴライズする事が大事な状況もあるだろうし、カテゴライズしない事への過信も良くない。)

病名をつけて、
カテゴライズして、
解決した風にみせて、
知らないふりでやり過ごす等々。

子どもたちは自分たちの、
感覚と力で解決する。

解決したのは、、、
イーダを救ったのは、、、

本作は、
ホラーでもサスペンスでもなく力のある人間ドラマだった。

やっぱり言葉にすると、
作品の良さ、
子どもたちの素晴らしさが、
半減してしまう。

倍速、早送りは苦手な方、

こどもたちの小さな気持ちが感じられる方、

各シーンの荒々しくて、
ガラスのように痛々しくて、
それでいて豊かで、
あらすじやプロットには、
現れない見落としてはイケナイ細部を、
じっくり味わいたい方にはおすすめ。

蛇足軒妖瀬布