哀れなるものたちのレビュー・感想・評価
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これはもう傑作としか言いようがありませんね
少しばかりの不安を携えて観てまいりました。
結果は大満足、退屈する暇なぞ微塵もなく満喫いたしました。久方ぶりの傑作でございましたね。
言うなれば、『本当は残酷なおとぎ話』みたいなことでした。美しくてグロテスクで、温かくて冷酷な、哀しくもユーモラス、つまり、あらゆる要素を編み込みながら決して破綻することなく息を呑むような見事な織物を仕上げたようなことでした。
広角レンズを多用したりモノクロとカラーを使いこなす手練れは美術をも駆使し、その映像は飽きることがなく、いつまでも浸っていたくなります。
とりわけ、船旅での海のうねりと空の色彩は眼福の極みです。
俳優陣の力量もふくめ、総合芸術たる映画ならではの嬉しい体験でございました。
これだから映画はやめられませんね。
無双のエマ・ストーン
予告編を見てひょっとしたら苦手かも知れないと思ったのですが、予想以上に楽しめました。
とりあえず本作の考察はこれから様々なメディアに溢れる事でしょうから省略しますが、まずは圧倒的な世界観の作り込みや、主演エマ・ストーンの存在感だけでも見る価値があるように思えました。
テーマはまた(まだ)フェミニズムかと思わせながらも昨年見た『バービー』と同様に、更にその先を行くような結末で面白かったです。
でも、どちらも知的エンタメの部類なので観客(大衆)には伝わり辛いかも知れません。
個人的には単純に世界観の個人的な嗜好として『バービー』よりも本作の方が好きです。
作品の印象としては(1900年代が舞台でしたが)個人的には昔のSF小説を読んだ時の楽しさを思い出しました。例えば日本の作家で言うと小松左京ではなく、星新一のショートショートを(一話ではなく)一冊全部読み終えた直ぐ後の頭の中のような、混沌としながらも脳ミソが喜んでいる感覚が甦りました。
しかし本作を見て、アカデミー賞にはまるで興味が無い私でも今回の主演女優賞だけはちょっと気になります。
何の為に生まれて、何をして生きるのか
見た目は大人、頭脳は子ども。逆コナンの主人公が、欲を知り、溺れ、理解するまでの様を描いた人生ロードムービー。客層はカップル、老夫婦の男女2人組が8割を占めていたが、グロいと思っちゃうほど性描写がキツイので気まずくなること間違いなし。ここまで真正面からぶつけてくる映画は中々ないため魅力的だと思う一方で、テーマが若い人向けだからR15+くらいに留めて欲しかったなぁとも思ったり。
それでも、劇中ずっと目が離せなかったのはアカデミーノミネートも納得の絵ヂカラ。絵の具で描かれたような背景と魚眼レンズで捉えられた街並み。その作り込まれた世界観にはずっと酔っていたくなる。生まれた時は希望に満ち溢れ、次第に現実を知り、世界に絶望して、そして新たな希望を抱く。エマ・ストーンの体当たりな怪演と共に、この映画に込められたメッセージは一生忘れられない。
少しでも体調が悪かったら見るのやめた方がいいよ。めちゃくちゃいい映画なんだけど、そんな状態だったら悪化するから。自分みたいに。
生≒性への渇望
モノトーンとカラー、ゴシック調の中世と幻想が混じり合ったような世界観。場面のどこを切り取っても絵画のような作品。
観た後明確には説明出来ない、でも何となく心がスっと整うような感覚がしました。私が女性だったからでしょうか。
一見すると稚拙で奇っ怪で大袈裟で奔放な彼女の言動の中に、残虐で、滑稽で、でも愛らしく、変化と向上心にひたむきな、人の生への渇望が覗き「あー人間って、なんて…」と思う作品です。
最後の「ヤギ」だけは不要な気がしましたが笑
オススメです。
フェミニズム的傑作
矢鱈に魚眼レンズで撮影したり、衣装もセットもなんなら背景も奇妙に美しい映画ながら、そのメッセージは明確かつ現代的。つまり人間の、特に女性の解放とは?!ってこと。新たなフェミニズム的傑作。
そのルックに引きずられがちだが、メッセージはセリフにビックリするほどストレートに込められてるから…
エマ・ストーンがあり得ないくらいに体当たりの芝居を魅せてるし、マーク・ラファロは嬉々としてクソ野郎を演じてるが、ウィレム・デフォーの慈愛に満ちた父親造形には参った。
まぁ女性の解放があんなに性的なもの一辺倒なのか?とは思うが、終盤はかなり知的なものにも振られて行くから良しとする?そういう意味では「アルジャーノンに花束を」的でもあるな。
ベラがもし男性だったら
ベラが男性だったら、つまり大人の男性の肉体に男の胎児の脳を移植していたらどうだろう? ベラのような行動をしても、そんな男もまあいるよねと、あまり違和感は抱かなかったかもしれない。それは女性は簡単に身体を許すべきでないという、女性への偏見があるからなのだろうか? あるいは、男性と違って、いったん妊娠すると1年近く次の子を作れないため、より慎重に相手を選ぶべき、あるいはそういう女性が代々子孫を残す可能性が高いという生物的合理性によるものなのか? 男女は社会的に平等であるべきだと思うが、生物学的にはやはり異なるものであるから生物学的に合理的な行動は男女で異なってしかるべきだと思う。
スチームパンク味の「フランケンシュタイン」
この監督はお初です。だからどんな映画を撮る監督かは何も知らない状態での鑑賞です。
何といってもR18です。もう成人映画の扱いですね。
兎に角、映画館で男性器を見たのは初めてですよ。ダメな方は見るのをやめましょう。と言って見ないのは大変勿体無いほど中々の傑作でした。但し人を選ぶ類いの映画ですけどね。
映画全体から溢れ出る変な感じは懐かしいというか久しぶりに感じたものだ。
ちょっと古い時代のようで異世界感があり、御伽噺のような感じと言えば理解しやすいかな。
そう、あのテリー・ギリアム監督作品の雰囲気が漂っている。
フランケンシュタインへのリブート作品かもしれないな、生まれ変わった脳が0歳児の大人の女性の成長物語をスチームパンクで味付けした感じだ。
天才外科医(解剖学者)が偶然拾った投身自殺した妊婦を実験のため脳死した妊婦に胎児の脳を移植する。彼の屋敷内には豚顔のニワトリ、アヒル顔の犬などを合体させていたが、初めて人間を使った実験をしたのが、主人公のベラ(妖怪人間ベムの仲間のベラ似)です。
産まれたばかりだけど、身体は大人なので当然破壊力抜群の駄々っ子ぶり。ある時、駆け落ちという名の外世界探訪と自分探しに出かけて・・・。
色々経験を積み、世間を知るには結局、風俗かよ!とツッコミたくなりますが。そらそうだよなー。
しかし、経験を積んで人間(大人)らしさを得て戻ってからもひと騒動あります。
エマ・ストーンが頑張ってます。
ガンガン濡れ場もこなしてます。
主演女優賞取れるとイイな。
生々しく清々しい
あまり前情報入れずに見ましたが、とても面白かった!
気味の悪い、でも美しい世界観も良かったし、ベラが見せる変化・色んな表情に見入ってしまった。
どの登場人物も魅力的で、それぞれ「哀れなるもの」なのかなと感じた。
ウィレム・デフォー、好きです!
また「女はイノセンス/男は醜悪」系映画ですか
去年『バービー』でも思ったことだけど、この手のいわゆる"フェミニズム映画"に出てくる女性ってみんな善玉で、一方的に搾取したり束縛したり型にはめようとする悪玉はいつも男性な気がします。でもそれって本来、性別に依存する問題じゃないと思うんです。
もちろん、男性が女性に強いてきた事例の方が多いのは事実だと思うんですけど、やはりあそこまで悪玉が男性に偏ると、どうしても「男はみんなろくでなし」のように受け止めてしまいます。
この極端な構図は、20年前なら「これくらい言わないと分かんないもんな!」と僕も思えたと思います。だけど、例えば去年『TAR/ター』では「結局お前おじさんと一緒やないか」というケイト・ブランシェットを見せられました。搾取構造は性別に起因するものではないと思うのです。
また、一昨年『ドント・ウォーリー・ダーリン』では「女は家にいろ」という男の理想をホラーとして描いていましたが、進んで専業主婦になる女性もいれば搾取構造を支える女性もいました。「男vs女」という単純な構図から脱却した時代になったのだと思いました。
だからこそ『バービー』での「男ってこういうところあるよね」という挑発的な描かれ方や、今作における「男にしか出現しない独占欲とプライド」には「未だに個人の問題を性別に起因しているような描き方をするのか」と辛い気持ちになりました。
女性版アルジャーノンか
「アルジャーノンに花束を」がもし女性主人公だったら、と想像した。
奇妙で毒も多いけれど社会的な課題がしっかり描かれていて、魅力的で目が離せない映像と音楽。チャーリーとチョコレート工場が好きだった人はきっと好きになる映画だと思う。
胸焼けするダークファンタジー
色々なテーマが次々に浮いては、ある時は不気味な音楽やファンタジックな背景に、またある時はエマの景気のいい脱ぎっぷりにケムにまかれて、最終的に綺麗なのか投げっぱなしなのかよく分からない着地を披露。
序盤のベラに魅力を全く感じなかったので、彼女に惚れ込む男性陣にも感情移入できず、どうにも話に入り込みにくかったのですが、これって狙ってやってたのかなぁ…
最初から最後までインパクト絶大な展開が続く、「なんかすごい」としか表現出来ない怪作でした。
エマ・ストーンの体当たりの演技で良しとしよう
何とも不思議な映画です。
綺麗な色使いや景色など映像は観ていて楽しくなります。
内容はR18になっているとおりです。
そこまで激しくしないといけないものかと思いますが
エマ・ストーンの体当たりの演技で良しとしましょう。
人間が進歩・成長していくためには
乗り越えていかなければならないことが多くあります。
主人公のベラは言葉通り体当たりで進歩・成長していきました。
それを見守る天才外科医ゴッドがまさに父親のようでした。
エマ・ストーンはこの演技でアカデミー賞を獲らないとツラいですね。
倫理がぶっ飛んでる 常軌を逸している その枠に収めること自体が烏滸...
倫理がぶっ飛んでる
常軌を逸している
その枠に収めること自体が烏滸がましいような…
でも、そこには100%の圧倒的で純粋な優しさと愛があって、素敵な映画だと思えた。
最初から最後まで倫理はぶっ飛んでるけど
衝撃! 色々な意味で
映画賞でも話題の本作だが、エマ・ストーンが数いるハリウッド女優の中でもお気に入りなので、それだけで楽しみにしていた。
【物語】
ゴッドウィン・バクスター(ウィレム・デフォー)は外科医。医学の探求のためには子供をも実験台に使う外科医の父親に育てられ、バクスター自身も何よりも探求を優先する医者となった。結果、天才的な技術と知識を修得したのだった。
バクスターは遺体を引き取り、自宅で解剖して医学探求することが日常だった。あるとき街で美しく若い女性の自殺に遭遇する。遺体を前にしたバクスターは命を失いながらもほとんど損傷していない新鮮な肉体に興奮して持ち帰る。 臨月と思える女性のお腹を見てベクスターあることを思いつく。胎児を取り出し、胎児の脳を女性の脳として移植する。その上で蘇生を試み、奇跡的に成功する。
ベクスターは生き返った女性をベラ(エマ・ストーン)と名付ける。ベラは大人の体でありながら、新生児の脳というアンバランスな人間だったが、言語・歩行・知識等を急速に習得して行った。 バクスターは彼女の成長を研究材料として医学生に日々記録させていた。
あるとき、バクスター邸を訪れた放蕩(ほうとう)者の弁護士ダンカン(マーク・ラファロ)は美しいベラに魅せられ、一緒に世界を旅して周ろうと誘う。それまで家の外へ出ることを許されていなかったベラには「世界を自分の目で見たい」という強い欲求が生まれており、バクスターの下から出て行ってしまう。
ベラは、旅の中で常識や偏見の無い少女の目線で、人間の欲求、社会的格差、差別、利己等、人・社会が抱える課題・問題を貪欲に学んでいく。
【感想】
いろいろビックりなのだが、一番はエマ・ストーン。
「大胆なシーン」という記事の見出しは目にしていたが、ここまではとは想像していなかった。どんなかは観て確かめて欲しい。
作品の内容的には観方によっては相当深いものなんだと思う。
思考の浅い俺にも感じられたことは、常識や先入観の無い子供の目線で大人社会に入っていった時に見える大人社会の滑稽さ、矛盾、課題といったところ。
まず性を人間の根源的欲求として捉えているかと思う。確かに動物は種を残し、増やすことこそが最大のミッションだと考えればそうかも知れない。
ベラは性を仕事にして生活に必要な金を稼ぐことに何の罪悪感も嫌悪感も無い。「それが何か?」って感じだ。 それも作者が強く言いたいことだったのか? 良く分からないが。
人の身勝手さや社会格差も浮き彫りにされる。
そう思って観れば、様々なシーンに様々な問題提起がありそう。そういう(シーン1つ1つに作者の意図を探す)見方がお好きな方は答え探しをしながら観るのも良いかも。
俺はそういう見方は得意じゃないので、具体例をあまり挙げられないけど。
そしてラストにはぞっとするような怖さも。
原題はPoor thing
今回の邦題は的確なんだと思う。改めて調べてみるとpoorの意味は「貧しい」が最初に浮かぶが「可哀そうな」という意味があるし、thing には「人」の意味で使うこともあるらしい、知らなかった。
「一番哀れな人はて誰?」というのが、観客への問いかけなのかな?
いずれにしても、「ピュアな目で世の中を眺めたら」を作品にするのに、ベラ誕生の設定を考え付いた作者は凄い。凡人にはとても思いつかない発想。
摩訶不思議
ブラックファンタジー風の序盤はユニバーサルホラー的でもあり、白黒・カラーの混在、魚眼に近い超広角レンズによる歪んだ映像、陰影を廃した70年代風のライティングなど斬新な感覚に満ちています。
中盤以降は何を言いたいんだかサッパリわかりませんが、話の奇抜性がカバーしています。
原作なのか、脚本なのか、演出なのか必然性のないストーリー展開を、監督独特の感性で行き当たりばったりに演出した妙味が出色です。
とにかく何だかわからないけど、何となく珍しい物を観た、という感想です。
故にボロクソにけなす人も多いでしょうね。
良くも悪くもオスカー好みではあるでしょう。
ウィレム・デフォーが最高!
普通に考えればホラーになる設定なのに、ファンタジーとして成立しているのがスゴい。
まぁ、エログロ多めだけど。
1番のツボは、やはりウィレム・デフォー🤣。
ちょっと楳図かずおっぽい映画だね。
この映画が賞レース総ナメしている事に驚き!!
言語化するのがもったいないくらいの芸術作品
グロテスクながら幻想的な世界観で「生」を表現していた。
身ごもっていた胎児の脳を移植された女性が、赤子から大人へと成長する過程を描いてる。ただ大人になっただけではなく、アイデンティティや深い思想をもった女性になる過程。
トム・ソーヤーの冒険のように、国から国へと様々な場所を冒険し、様々な人間と出会い学ぶ主人公。新たな世界と出会い、感動したり、快楽に溺れたり、悲しんだり、怒ったり、、、みずみずしい主人公の反応に目を離せなくなる。
老婦人とハリーという異なる思想をもった人達と対話をして影響をうけ、貧富の差の現実や暴力、その他にも風俗店での違和感や社会主義者の女の子との出会いなどを受けて、より自分で考えて自分がなにがしたくてなにをできるのか真剣に思想する女性へ。
恋をする、まだ見ぬ世界への好奇心から奔放な男と付き合う、男がメンヘラ化、風俗店で働いてみる、優しい男との愛に落ち着く、+支配的な男との関わりも…!
と言った具合の、主人公の経験が結構女性あるあるな気がする…!
少なくともこれは、人間として成長していく話でありながら、女性による女性のための話だなぁと思った!
お気に入りは、リスボンのシーン。街は花々に彩られていて美しく、主人公が食や音楽やセックス、見知らなかった新たな世界を貪る様は、「初めて知る生の喜び」という感じがした。
ダンスのシーンが特に好き。野性的で、音楽全てを表現するようなダンス。もう1回みたい。
下からのアングルでリスボンの美しい世界を映すので、自分も一緒に子どもになって世界を見ているような気持ちになった。たぶん彼女が強く感じとった音や視覚情報が強調されるように映されていると思うんだけど、(怒鳴り声や赤子の泣き声など)それも相まって主人公と一心同体のような気持ちで世界を見ることができた。
上を見あげたときに、空を走っている電車が目に入ったときなんて、主人公と一緒に「わぁ〜」と声をあげそうになった!
全編にわたって、重要な要素やメッセージが分かりやすく言語化されているので、芸術的な世界観ながら難解ではないのがよかった。
音楽や映像が本当に良くて、エンドロールの最後まで目が離せなかった!
あとはジョークや笑えるところが、「イギリス!!」って感じの皮肉多めなジョークで私は大好きだった笑
黒ヤギさん移植が痛烈でいっちばん笑った笑
色んな要素が入っていて、立場や視点によって多様な感想がでてくる、本当に魅力的な作品でした!
彼女とララランドのノリで行ったらダメですよ!
auマンデー『哀れなるものたち』
出演者見るとアメコミ好きには、グウェンにグリーンゴブリンにハルクの共演なんですが・・・
奇々怪界な雰囲気漂う予告に、エマ・ストーンが凄い事になってる感が気になってた作品
アカデミー賞でも作品賞、監督賞、主演女優賞ノミネートされてます。
いやぁ、、、昭和親父的には、フランケンシュタインの花嫁の新解釈なのか?って思ってしまう感じで、変な空間に連れ込まれた141分は、観る人選ぶし・・・
エマさん全てを曝け出す女優魂にただただ唖然とします。
こりゃアカデミー賞獲るでしょう!
彼女や奥さんと、ララランドの彼女をイメージして行くとヤバいので要注意!!
結局男目線なのかしらね
《哀れなるものたち》
ゴッドによる超絶バッドな実験から生まれたベラの再生物語。テーマパークの様な美術とサウンドが圧倒的なショータイム♪暗黒の男からの抑圧開放ストーリーだけど要所要所で"メイドバイ男"臭がぷんぷん。描かれる"女性の自立"が"こんな感じでしょ"って男がちゃちゃっと作った感じがしてならない。。ラストのアレって主従逆転しただけで構造は男性社会。。これって女性達は求めてるのかしらね、等と。。
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