高野豆腐店の春

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劇場公開日:

解説

広島県尾道で昔ながらの豆腐屋を営む職人気質の父と頑固な娘の心温まる愛情を描いた、藤竜也、麻生久美子共演によるドラマ。

尾道の町に店を構える高野(たかの)豆腐店。愚直な父、高野辰雄と明るくて気立てのいい娘の春は地道にコツコツと豆腐を作り続ける毎日を送っている。陽が昇る前に厨房に入り、こだわりの大豆を使った豆腐を作る父と娘。2人を取り巻く昔ながらの仲間たちとの和やかな時間。そんな日常にそれぞれの新しい出会いが訪れる。

父・辰雄役を藤、娘・春役を麻生、独り身の老婦人ふみえ役を中村久美がそれぞれ演じる。監督は「村の写真集」「しあわせのかおり」につづき、藤と3度目のタッグとなる三原光尋。

2023年製作/120分/G/日本
配給:東京テアトル
劇場公開日:2023年8月18日

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(C)2023「高野豆腐店の春」製作委員会

映画レビュー

4.0愛すべき豆腐屋の親子と廃れいくコミュニティへのノスタルジー

2023年8月18日
PCから投稿

泣ける

笑える

「高野豆腐店」と書いて読み方は"こうや豆腐店"ではなく"たかの豆腐店"。尾道で昔ながらの製法で豆腐を作り、細々と豆腐店を営んでいる親子の日常から始まる映画は、出戻りの一人娘を嫁がせたいような、そうでもないような父親と娘の、互いになかなか本音を言い出せない関係を描いて、かつて観た小津安二郎作品を思い起こさせる。

こんなベタな話が今の時代に成立するのかと思っていたら、監督と脚本を兼任する三原光尋の丁寧なストーリーテリング、そして、父親を演じる藤竜也の感情過多にならない好演と、娘役の麻生久美子のいつも通り安定感のある演技によって、見事に成立している。親子を取り巻く近所の人々が若干煩わしく感じる瞬間はあるものの、今、日本のあちこちで廃れていくコミュニティへのノスタルジーが画面いっぱいに溢れて、あたたかい気持ちになれるのだ。そして、これを観た後は、どこの街にもある、個人経営の豆腐屋を覗いてみたくなるのだ。店の奥では、巨大スーパーの襲来にもめげず、豆腐やガンモや油揚げを作っている頑固な主人が来店を待っているかもしれないから。

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清藤秀人

4.0四季折々の豆腐屋の話ではなかった

2024年12月23日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

実の親子ではないけれども、実の親子か、それ以上の親子のような関係を見事に描き切ったという点では、別作品(前作)『しあわせのかおり 幸福的馨香』と少しの遜色もない一本でした。本作は。

本作の題名からは「四季おりおりのお豆腐屋さんのお仕事映画」みたいな印象を受けていたのですけれども。

しかし、お豆腐屋さんのお仕事映画という線でもなく、良い意味で、大いに期待を裏切られて、下町のお豆腐屋さんにまつわる温かなヒューマンドラマの(というほど重たいものでもなく、さりとてヒューマンコメディというほど軽いものでもない)一本でした。

秀作としての評価が惜しくない一本だともいえると、評論子は思います。

いかにも『しあわせのかおり 幸福的馨香』をものした三浦光尋監督らしい作品だったとも思いました。

(追記)
<映画のことば>
ありゃあ、まあ、本当に不幸な出来事じゃったけど。
じゃからって、ねぇ。
不幸せになっちゃあいかんですよ。
生き抜いて「ああ、いい人生じゃった」と、笑って振り返れるよう、幸せにならんとじゃあ。

親子げんかをして、春に家出されてしまったことを、常連客にも言えなかった辰雄でしたけれども。

しかし、ふみえには本当のことを打ち明けたのですね。

もともとは、病院の待合室で落とした手袋を拾ってもらっただけの関係。

「合縁奇縁」という言葉もありますけれども。
そういう人間関係を築けることは素晴らしいことでもありますし、人との縁の「妙」というものを、改めて感じるようにも思われました。
評論子には。

(追記)
自分の他は娘がひとりというときに、自分の予後が知れたら、世の父親のおおかたは、たぶん同じことをするんじゃあないでしょうか。
「思い残すこと」は、そのことを措いて他には考えられないでしょうから。
ひょっとすると、評論子が密かにリサーチしている「良いお父さんが登場する映画 ザ・ベスト」に、今作で新たな一本が加わったのかも知れません。
本作を観終わって。

(追記)
メインテーマではないのですけれども。
本作にも被爆の影が見え隠れしています。
令和6年の今、戦後80年近くの歳月が経過しても、今なお、広島は「あの日」を忘れていない(「忘れられていない」あるいは「忘れることができない」と言い直すべきでしょうか)

決して原爆ドームだけではなく、思わぬところに「ヒロシマ」が伏在していることにも思いが至りました。

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talkie

4.0ほのぼのとしたいい映画

2024年1月1日
PCから投稿
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プライア

5.0春はすぐそこに。

2023年12月4日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

見てる時の年齢や精神状態にもよるだろうが、泣けた。目新しい話ではないんだけど、何でもないようなところでも涙が流れた。三原監督作品は初めて。
今年見た中では上位の作品かもしれない。

娘(家族)の心配、老い、後継問題など生きていると悩みはつきない。でも新しい出会いもあり人生って一喜一憂する。
人情を描いた作品は、最近では「向田理髪店」「こんにちは、母さん」などを見たが、地域で商店を営み仲間たちとワイワイやっている姿が共通している。少し羨ましく思う。
藤竜也演じる父が、最後の方で娘に、「これからは生きにくいかもしれないが」というようなセリフを言っていたが、妙に刺さった。

尾道と言えば大林宣彦監督を思い出す世代なのだが、この映画でも尾道の街並み、アーケード街、フェリーにバイクも乗っかっていたり。。様々な景色をスクリーンで堪能した。いつか訪れてみたい。

肝心の豆腐だが、見てる最中食べたくなった。
豆腐作りのプライドや愛情がこもっていたと思う。
毎日父娘で豆乳をコップに1杯ずつ飲むところが好きだったな。

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ふわり