落下の解剖学のレビュー・感想・評価
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リアルは悲しい
今年は唸らせられる映画多いな、という中、一番考えさせる、そして一番時間を忘れて集中した作品だった。フィクションや妄想入っていた哀れなるものたちやボー、に比べて本当にリアルな家族像だったからか。イライラする展開はあれど、見入ってしまった。
夫婦喧嘩のくだり、私にはただひたすら夫の言ってることがめちゃくちゃで、病んでいる証明にしかならないと思ったんだけど、これは見る立場によってちがうんだろうか。
祖国を捨てさせ自分の故郷の山奥に連れてきた妻に対して、言葉も英語で時間も家事も夜の営みも全部君に合わせている、自分に自由がない、ってなんだそりゃ。酷い言いがかりも甚だしい。まあそれも煽りで小説のネタ?と思えば理解はできるけど。。でもこれが男女逆転してたら、ありがちなただの主婦のヒステリーって言われちゃうやつよね。
見ながら、本当に何かやった可能性もなくはないなと思いつつも、どうしても妻側に肩入れしてしまうのは自分が女だからなのか。検事や夫の主治医のセリフとか、本当に腹立たしいけど、まあ検事は暴くのが仕事だからあんなものか。実際に裁判傍聴しても嫌な気分になるのかな。
息子の覚悟が痛々しくて泣ける。
ダニエルくんが練習してるピアノ曲も、不安と焦りと哀しさを冗長させてとても印象に残った。
アルベニスのスペイン組曲、伝説(Asturias)
ショパンのプレリュード 四番e minor
どちらも昔触りだけ練習したことがある曲だけど、最早悲しい気分でしか聴けない😭
作家夫婦の物語り
作家夫婦に起きた不幸の出来事を、丁寧に描いた映画でした。
自宅3階から男性が転落し死亡する事件が起こり、その妻が犯人と疑われ裁判となる映画で、息子も証人として登場します。
裁判の中で夫婦の関係性が、明らかになります。
妻役のサンドラ・ヒュラーが、夫の人間性を庇い続けている所に物語りの深みを感じました。
息子役のミロ君と飼い犬が微笑ましいです。
弁護士役のスワン・アルローが無駄に男前でした。
後半少しワンシーンの尺が長かったです
落下→夫婦→家族with犬の解剖学へ
アカデミー賞脚本賞受賞も納得の出来!
実に巧妙に描かれている事件を掘り下げていく(解剖していく)と
夫婦→家族with犬の複雑に絡んだ問題に行きつき
何が事実で真実なのか!?がよくわからなくなるんですね。
どうとでも取れてしまう事件の真相。
パンフレット記載の監督談話によると、
「回想シーンは使わないと決めていた」とのこと。
後半で息子ダニエルが回想しているのは一体何なのか!?
そう、ダニエルの心象風景であり事実とは異なるということなのだと。
鑑賞後に、この事件の真相はあれこれ自分で考えている時間が豊潤に感じられ
これぞ映画の楽しみだと思いました。
それにしても主演のザンドラ・ヒュラーの演技が凄すぎる!
特に旦那との会話シーンは表情含め必見です。
それから、犬の演技もすごいです。もう驚きましたね。
上映時間が2時間半くらいですが、全く長いとは感じませんでした。
最後まで一気に鑑賞できてしまう、やはり脚本が秀逸ということなのだろうと
実感しました。
ストーリー 5 演技 7 芸術 5 エンタ 5 総合 5 長い❗️...
ストーリー 5
演技 7
芸術 5
エンタ 5
総合 5
長い❗️2時間も要らない。長尺セリフと子供・犬の演技を評価。個人的にこの嫁はんは、かなり傲慢なヤツに感じた。
第96回アカデミー賞でも作品賞、監督賞、脚本賞、主演女優賞、編集賞...
第96回アカデミー賞でも作品賞、監督賞、脚本賞、主演女優賞、編集賞の5部門にノミネートされ、脚本賞を受賞したとあり、どうしても観たいと思っていましたが、フランス語の作品と聞いて、諦めましたw 今回、一時帰国の機内で日本語字幕で見て正解でした。
星はビミョーでしたし、話が膨らむ割にオチはアッサリしていて、拍子抜けした人も多かったでしょうが、究極の夫婦喧嘩という感じがして、結婚って難しいんだなぁと思いました。
夫婦ってあんなに思ってること全部言ったら終わるよね…とため息つきながらも、ハラハラしながら観てました。
私も今思うことをちゃんと言える英語力がないからこそ、誤解されないように丁寧に伝えようとしてますが、なかなか思ってること全部言えるわけじゃないから、コミュニケーションにストレスを感じる時もありますし、相手にしてもらえなかったことも、何度もあります。
あの奥さん、めちゃくちゃ頭良くてフランス語もドイツ語も話せて羨ましくなりましたが、あんなふうに我慢しながら、妥協しながらコミュニケーション取ってるなら、そりゃストレスも溜まるわなぁ…www
子供の前で言いたいこと言えないから、やっぱり愛の形が歪んでしまう切なさも感じました。
それにしても、あのワンちゃん、焦点合わない演技、薬を吐き出す演技、いかにも苦しそうな演技は素晴らしかったですね。
この映画は推理ドラマではなく、裁判映画である。
パルムドールを受賞したので、鑑賞しました。
芸能人・政治家・ビジネスマン・創作者で成功する為には、女性であっても
「男性的な 考え方(脳) と 生き方 をしないと、成功しない」とつくずく思い知らされました。
最後の少年の記憶は、あくまで記憶であって、物証性は無く、実裁判では参考程度のもでしかなく、証拠能力はない。
しかし その発言が、すべてを解決させる唯一の決定打になった事は明らかである。
僕らが画面で観た光景は、
少年の頭の中ではなく、裁判官が想像した光景なので、
少年が1年間迷った末に"選んだ結末"であり、
裁判官の温情の後ろ盾に成った最大であり、唯一のモノだったと思う。
推理映画なら、大どんでん返し結末 なのだが、裁判映画故、"温情結果"で結んだ。
検事は、裁判の被告である女性作家を遮及しなければならない立場でありながら、
最初から グウタラな自国生まれの男性作家を軽視しているとしかおもえない挙動が多々あり、
自4につながりそうに誘導しがちな言動は。。。裁判映画として、作為的な行動なのか?
1人の脚本家が相対する心情を1つの脚本の中で書き込んだ矛盾から生まれたモノなのか?
脚本家の技量の為なのか?
これが、創作ではなく、事実を元にした映画なら、議事録に書かれている冪 発言は、
事実の言葉を"そのまま"引用したのでしょう。
そこらへんが、フィクション映画故の限界。
僕は裁判結果とは真逆な真相があったと、断定しています。
この映画を観たら。。。何か 似たような映画は思い出せないが、、、
「12人の優しい日本人」が頭に浮かんだ。
真相はご想像にお任せします
観劇後モヤっとした気持ちで帰りたく無い人にはオススメ出来ないし、家庭内の隠されたゴタゴタを浮き彫りにされていくのがキモという作品であるならばテーマとしてはありきたりな気がする。ただ、考察し甲斐があるシーンが多く、あれって何だったの?と話し合って楽しむ事ができる余韻の長い作品と言える。考察したところで結論は出ないけど、そこがこの作品のよさだと思う。
そして、夫婦で観に行くにはキツい作品
間違っても何かの記念日に行かないように!
以下はネタバレ程ではないですが、内容に触れますので注意
話しの締めくくりに裁判の結果は出るのだが、それで真相が分かったのかというとそうでは無く、状況証拠しか出してこない無能な検察のせいで、最終的にはある人物の証言が有罪無罪を大きく左右するし、その証言でさえ事実か証明する方法は無いことから今作のテーマは犯人探しでは無いんだろうなとは思った。
真犯人は二の次ということなら、この作品がテーマとする所が何だったのかといえば、いまいち掴めなかったのが正直なところ。明らかに息子ダニエルは母親に心を開いていないし、最後の家でのセリフはかなり意味深だったこと、最後の最後にワンちゃんがとった行動に何かあることは分かったが、結局なにが言いたかった作品なんだろうという疑問が感想の大部分を覆っているのが観た直後の今の気持ちである。
前述したように、裁判の過程で表面上は見えていなかった夫婦の不仲が暴かれるというところが面白いと言うだけのことであれば、それはそれでふーんで終わりにも出来るが、パルムドール受賞作との事なので、他にもっと深い意味があるのに見落としている様な気がしてならない。
とにかく裁判が長いのでなかなか集中力を持続させるのが難しい作品だったが、一部痛々しかったですがワンちゃんの演技が凄く良くてかわいかったので長時間の観劇に耐えられたところがある。また、マスコミや傍聴席への嫌悪、ひいてはメタ的にストーリーを消費する我々観客への批判的姿勢を感じるシーンが度々差し込まれていたところも監督の主張が出ているのかなと感じた。
解説動画などみてまた星の数は変わるかも知れませんが、とびきり良かったわけでも酷評するほど悪い内容でもなかったので、直後の評価は⭐︎3です。
夫婦がライバル関係であることの難しさ
作家として成功している妻、作家になりたいがなれていない夫。そう考えると妻が夫を殺すのはないなあ。殺す理由がない。仮に衝動的に怒りがこみ上げたとしても、人が人を殺すことはそう簡単なことではない。あの激しいやり取りを見ても妻が夫を殺す?ないなあ。逆ならばあり得るけど。
小説の題材にと夫婦のやり取りをこっそり録音する夫。あの大喧嘩も予め夫が予想していたものかもしれない。だから妻に不満をぶちまける。妻の反応、反論、その後の妻との激しいバトルも創作のヒント、題材にもなると考えていた可能性もある。間違いなく夫は行き詰まっていた。いや、壊れていた。大音量の音楽、プライドもかなぐり捨てた妻への挑発。毎日の生活に追われ、余裕のない生き方を強いられる夫にとって妻は妬ましい存在だったに違いない。しかも不倫までしていたんだから赦せないだろうなあ。子供に障害を負わせてしまったことへの負い目、自分の地元に妻を住まわせている負い目だってある。妻は自分を訪ねてきた学生とのやり取りの最中に大音量の音楽で邪魔をされても不快な表情を一つも見せていないんだよなあ。
視覚障害のある少年は冷静に父と母を見(感じ取っていた)、そして父の死について判断したと思う。
解剖学してない
タイトルに騙された。
もっと殺人なのか?事故なのか?このことの証明が全く出来てない。フランスらしい緩い裁判にしか感じなかった。アメリカの裁判ものではどんでん返しやサプライズがあるのだが、この作品は曖昧な結幕で事故か殺人かを問う話ではなかった。
夫婦喧嘩はUSBメモリに記録しておくとよいという話
落下の解剖学
神戸市内にある映画館「シネ・リーブル神戸」にて鑑賞 2024年3月5日(火)
パンフレット入手
交通事故が原因で視覚に障害のある11歳 ダニエル(ミロ・マシャド・グラネール)がピアノ演奏するシーンが印象的です。
残念なことにパンフレット内に説明がないため、以下の2曲を解説します。
1エンリケ・グラナドス作曲 スペイン舞曲集Op.37-5 アンダルーサ
グラナドスはスペイン生まれの作曲家。アンダルーサは代表曲のひとつ。スペインのフラメンコダンスのような情熱的メロディー
ピアノ曲ですが、クラシックギターで演奏されることが多い。
2.エンニオ・モリコーネ作曲 映画「ニューシネマパラダイス」(1988年)で使用された曲
美しく、優しいメロディー ピアノ曲に編曲されたものをダニエルは演奏している。
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本編
ドイツ人のベストセラー作家サンドラ(サンドラ・ヒュラー)は自宅で学生からインタビューを受けていた。屋根裏部屋のリフォームをしていた夫のサミュエル(サミュエル・タイス)が大音量で音楽をかけ始める。サンドラは取材を中断し、また別の機会を、と学生を帰らせる。
サミュエルが生まれ育ったフランスの人里離れた雪山に佇む山荘。
サンドラは、教師の仕事をしながら作家を目指す夫サミュエル、11歳の息子ダニエル、愛犬スヌープの家族3人と1匹で暮らしている。
事件が発覚したのは、ダニエルがスヌープの散歩から戻ってきたとき。山荘近くの雪の上で頭から血を流し、横たわる父親に気づいていたのだ。ダニエルの叫び声を聞いたサンドラが駆けつけると、すでにサミュエルの息は止まっていた。
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検視の結果、死因は事故または第三者の殴打による頭部の外傷だと報告される。事故か自殺か他殺かー殺人ならば、状況から容疑者はサンドラしかいない。サンドラはかつて交流があった弁護士のヴァンサン(スワン・アルロー)に連絡を取り、山荘にやってきたヴァンサンにすべては自分が昼寝をしていた間の出来事だと説明する。
ヴァンサンは「サミュエルは窓から落下して物置の屋根に頭部をぶつけた」と申し立てることに決める。さらに窓枠の位置の高さから、事故ではなく「自殺」だと主張するしかないと説明する。サンドラは「息子の目の前で自殺するはずがない」と異を唱えるが、半年ほど前、夫が嘔吐した際、吐しゃ物に白い錠剤が混じっていたことを思い出す。
捜査が進み、検察はサンドラを起訴する決断を下す。起訴理由を聞いて驚き、サンドラに「なぜ僕に黙っていたのかと」詰め寄るヴァンサン。サミュエルの死の前日、夫婦が激しく口論し殴り合う音声が、サミュエルのUSBメモリに残されていたのだ。
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夫婦喧嘩の録音が再生される。サミュエルはサンドラを批判する。お前のせいで自分には執筆する時間がない。自分の小説の構想を奪われた。ダニエルが事故で失明しセックスレスになった時、お前は他の女性と不倫していた。話し合いにも応じてくれない。サンドラは激しく反論する。執筆時間は家事の合間にも作れる。小説のアイデアをもらうことも不倫もあなたの了承すみだった。書けないことを私のせいにしないで。激高しついに壁に投げつけ、サミュエルを殴打。リベラルな良識作家という外見をかなぐり捨てて、上から目線で夫を罵り、一切の妥協を受け入れようとしないサンドラの冷徹で強靭なエゴがサミュエルを圧倒する。
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だがそれは夫婦の謎に満ちた関係が暴露されるとっかかりのひとつにすぎないのである。
裁判が始まると証人や検事から次々と夫婦の秘密や嘘が暴露され、彼らを知る人物の数だけ真実が現れる。審理は混沌を極め、真相が全く見えない中、
一度は証言を終えた息子のダニエルが「もう一度証言したい」と申し出る。ダニエルは自殺ではと。
はたしてその結果 -サンドラは無罪となった。最後に抱き合うサンドラとダニエルがそこにいた。
監督:ジュスティーヌ・トリエ
いいですね、フランス映画
どんでん返し物では無い、って触れ込みだけを念頭に観賞。吉と出るか凶と出るか…退屈せず法廷劇を楽しめた。
判決後のくだりいるかなぁ。なんとか2時間に収めてほしいわ。エンタメだけが映画じゃないって再認識させられた。
主観から客観への見事な転換
この作品の夫殺害の容疑をかけられた作家を演じたのは、サンドラ・ヒュラー。
彼女は、「ありがとう、トニ・エルドマン」というドイツ映画で、女性コンサルタントの役柄だった。気丈な面とエクセントリックな面のギャップがとても印象的だった。
この作品でも、そのエクセントリックな面は健在だ。
ドイツ人だから、フランス語は苦手なため、ほとんど英語で会話する。実はバイセクチュアルで、同性同士の不倫経験あり。作家として目が出ない夫の原稿をアレンジして、ベストセラー作家に昇り詰める。
法廷で次から次へと不利な証言が飛び出しながら、彼女は自分を偽らず素直に表現する。「ありがとう、トニ・エルドマン」と同じキャラに感動。
圧巻は、法廷で披露された、殺害直前の夫婦喧嘩の録音テープ。
うまくいかない自分をいつも妻のせいにする夫。貴方がだめなのはいつも人のせいにするから、とののしる妻。夫婦なら身に覚えがある平行線の感覚。法廷は客観性を失い、自我のぶつかりあいに豹変する。
アカデミー賞脚本賞受賞は、この夫婦喧嘩の迫真のやりとりに負うところが大きいのではなかろうか。
主観から客観への見事な転換は、視覚障害の息子の証言。一番冷静だったのが10代の少年いう驚き。
真実のカギを握るのは、飼い犬とアスピリン。そして母への切なる思い。あとは観てのお楽しみ。
見て損のない法廷劇&ワンちゃんの演技!
予想以上に、どっしりとした法廷劇。容疑者の弁護をつとめる弁護士役の役者さんの美しさと、容疑者の息子の盲導犬役のワンちゃんの演技力からも目がはなせなかった!何が真実で何が嘘か。それは結局、誰にもわからない。本人以外にしか。しかしだからこそ、余韻の残る映画。とにかく、観たあと、誰かと語り合いたくなります。観てよかった!
犯罪ミステリーというより裁判ドキュメント
前者を期待して行ったのですが、後者でした。
予告がね、滅茶苦茶煽ってきてたんで。なんか予告が良すぎる映画ってやっぱり要注意ですね。
もともとドキュメンタリー出身の監督のようで。撮り方や演出などは独特ですごいですね。脚本も演出もよくできてますよ。素晴らしいです。
ただ私は基本的に「真剣に考えさせられる映画」を求めていないので。映画は息抜きなので。そういう意味では少し評価が下がりますが、それは作品のせいではないです。
滅茶苦茶良くできてます。映画としての品質は間違いないですが、息抜きにはならないです。
ちょっと疲れました。
違和感のある会話・音楽・犬・少年・ロケーション、、、
すごく巧いプロットだなあと思った。全てに必然性がある。英語とフランス語のチャンポンも。
最後まで観る人にクリアな真実を明かさない。そういうのが許せない人には無理な映画かも。いやいやそもそも真実って何? 所詮観客が見せられているものは、恣意的に切り取られたカットの集積体なのだから。想像の余地は無限大だ。
ある意味密室のような山荘。事故か自殺か殺人か。事実があるとすれば、そのうちの一つが必ず事実なのかな。どうなんでしょう。組み合わせもあるのかな。現実の世界の捜査はどうなんでしょう。どれほど理に適っているのか、弁護士の腕次第なのか、、、。
それにしても、主演女優さん、のりうつったみたいに完璧になりきっていて、ドキュメンタリーかと錯覚する場面も。
おそらく白眉は「録音されていた夫婦喧嘩」。ともかく全編通じてセリフの応酬が多く、演劇の舞台みたいだった。
暴かれる人間関係
最初退屈だなと思っていたらサスペンスは本筋ではなく、明らかになる事実がなかなか気持ちの良いものではない。夫婦間の関係性、仕事間格差…しかもそれが夫を殺したのは妻なのかどうかを決めるために裁判で明らかになっていく、、プライベートがどんどんバラされていくのは溜まったもんじゃないよ。あの夫婦喧嘩はもう辛すぎるもう勘弁してぇと夫の立場になりながら観てしまった笑。
妻ザンドラのグレーな感じと見せる弱さがうまい。
それと癖強検事も印象深いがあのイケオジ弁護士は何者なんだい!2人の舌戦は目が離せない。
息子も知りたくない事実の数々にこの後本当に幸せなのかと不安だけど、葛藤しながらも自分で決めた証言はとっても立派だと思った!
あのイケオジとワンコの名演だけで観る価値はある笑
それと、心象次第で決まる裁判ほど後味の悪いものは無いんだなと実感。
簡潔評価は、力作だが面白い作品ではない。
いかにもアカデミーが好みそうな作品で、一般の方には冗長かなと。自宅視聴なら、間違いなく再生速度アップ作品♪
まず短く良い点。
過剰演出や不思議描写は全くなく、事件を詳細に追って理屈の合う細かい点で裁判シーン等も描写している。 いい加減さが全くない力作♪
が、
私が映画評価の最重要視する点は、"時間を忘れさせてくれるパート"が、「その作品の何%をしめるか」という点。
ラストで大感動しても、前半ほとんどが睡魔に襲われた様な作品は、★評価が大きく下がる。
今作は作品時間中、見入ったのは約10%位しかない・・。
主には現場を図解解説しているシーンと、音声証拠シーン等くらい。
他の方もレビューしている、「スティーブン・キングは実際の殺人鬼か・」という台詞は唯一声を出して笑ったが♪
裁判シーンに見入ったと高評価してる方もいる様だが、私はかなり疑問も湧いた。 それは殺人容疑を掛けるには、最重要ポイントを2点も追求してないから。
1 動機
2 金銭損得
これらを争わず、状況証拠や二人の人間関係ばかりを追求し、説明しようとしている。
前日の喧嘩に争点がかなり向けられているが、夫婦喧嘩などあって当たり前。 私は子供時代に両親にもっと酷い夫婦喧嘩を何度も見せられた。 (まあ晩年にはしなくなったので、あの世ではお互いを気遣ってくれていると思うが♪)
特に口の悪い大阪のおばちゃんなら、夫に「あんたなんか死んだらええねん!」ぐらいの売り言葉を怒鳴る方も多々いるだろう。
が、実際に殺してしまう方はいない・・。
殺人までに至るには、耐えがたいDVを何度も受けたり、家計費を持ち出し自身の遊興費に使われ、借金まみれ等、もっと切実な動機があるはず。
次に今作は夫婦の金銭関係が一切描かれてない。(お互い作家だが、妻の方が多く作品を執筆しているというぐらい) すなわち、夫を殺した方が妻が経済的に得をするという説明もない。
本当の裁判なら、上記2点も争わなければおかしい。
さらに作品に感情移入出来る重要点、登場人物の魅力がほとんど描かれてない。 主演女優ノミネートになった、ザンドラ・ヒュラーは作品時間の8割ぐらい出ずっぱりで、そのシーン毎の感情はかなり巧く表現してるが、その人物の人となりが、ほとんど分からない・・。
これは彼女の演技でなく、脚本にそういう描写がないのだ。
(これは、「TAR/ター」や「哀れなるものたち」も酷似している。 逆に「ナイアド 〜その決意は海を越える〜」のアネット・ベニング やジョディ・フォスター は痛いぐらいに二人に性格が伝わっている)
と、マイナスに感じる点が多く、総じて自身平均点の★3.5の平凡評価に。
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