落下の解剖学のレビュー・感想・評価
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巧みな演出とキャスティング
ミステリーではないので、盛り上がりやドンデンを期待すると残念に終わるかも。
夫婦の内面を殆ど描いていないのと、サンドラが悪そうに見えない。よくこんな女優さん探して来ましたね。そしてあの坊主検事のあの憎たらしさでサンドラに肩入れしたくなるように誘導された。で、弁護士とのいい感じの仲の違和感や、どんどん後出しでサンドラ不利になる上で、「おや?」という感情が湧き上がる。で、序盤は証言がぐらぐらのダニエルが不憫で感情移入するようにできていて巧みでした。最初はサンドラがダニエルをハグしてましたが、ラストは逆にハグされてましたね。成長したということか。
最後は勝訴しても何も得るものが無く、むしろ失った物の方が多い裁判の虚しさがすごくリアルだった。裁判後のシークエンスにヒントがあるのかも。もう一回見て自分なりの考えを固めたくなった。
描きたかったものは…
数々の賞を受賞、ノミネートで期待値が高かった作品。ミステリーかサスペンスか…むむ、気をつけて、これはフランス映画!
いつもならその言葉にならない感情を映像ににじませるフランス作品を楽しむが、これはちょっと違う。最初の5分で英語なんだ…と思ったが個人的に、最初のシーンで音にストレスを感じ、その後も噛み合わない会話や議論にモヤモヤ、イライラ、ストレスを感じるシーンが多かった。落とし所はどこになるのか…と考えながら見るようになり、まさかとは思ったけど…やはり最後までストレスは解消されず。裁判の運び方や、激しい夫婦の口論も含めてネチッこい議論にストレスが募る。裁判さえ感情的に進められる感じが、複雑と言うより、不快とさえ感じる話の運び。夫婦のことはその夫婦にしか分からない、ってことならばここまでストレス与える話にする必要はないのでは。その個々の感情と価値観をぶつけ合う議論の流れを堪能する作品なのか?
最愛の息子を傷つけるかたちとなり、旦那を亡くし、自分の過去の不貞も暴露されつつ強くあろうとする主人公は立派。作品はともかく、複雑な心情を演じきった主演女優の演技はお見事だった。長かった、そして疲れた。
真実の真実は?
やはり証拠不十分で予想通りの結末でしたね。しかしそれだけならつまらんが検察側と弁護士側の息詰まる攻防がお見事でした。
この映画の場合、検察側が敵になるんだか嫌な感じの検察じゃ無かったなあ。
真実はハッキリしない終わり方だったが見応えあり。
終わった後に残ったものは?
無実の証明って難しい。
非常に客観的に、出来事を淡々と映し出している。大きな出来事が次々と起こるというわけではなく、法廷での大逆転劇が起こるわけでもない。現実って確かにこうやよね。
個人的には、傍観者とはいえ主人公たちの様子を見ているとどうしても主人公に感情移入してしまう。特に車で主人公が泣き崩れるシーンには胸が痛くなった。
真相はどうなのかはわからないが、一つの出来事をきっかけにこんなにいとも簡単にすべてが変わってしまうのか。何かをきっかけに全てが変わってしまうという点については自分にも無関係ではないと思う。単純にこうなりました!よかったよかったとはいえないなんともやりきれない後味が残る。
2時間32分あるので、普段あまり映画を観ない人には結構きつい映画かもしれない。(前述のとおりドラマチックな展開もないので)
他のかたはどう感じたのか鑑賞後話してみたくなる映画やった。
余韻と、余白
登場人物の背景とか心情を全部語らず、絶妙な匙加減でチョイ出しして観客に想像・考察の余地を残し、鑑賞後は議論したくなるような作品でした。
ミステリー要素もありつつ、夫婦や家族の普遍的な問題が、ストーリーが進むにつれ炙り出されてゆく。いろいろ考えさせられましたね。
スッキリしないモヤモヤ感はありますが、主演の女優さんの演技に圧倒されました。フランス語、勉強したくなりました。
真実とは、裁判判定とは、
裁判の判断は
サンドラ無実判決
でも、
息子の話がなければ。。。
映画の終わりにぶさかわ犬が
サンドラと寄り添る姿を見て
無実かな~と感じたり。
裁判が終わっても、
すぐに、息子に会いに行かない性格とかは、怪やし~感じもするし。
真実は、サンドラしか分からないのですが、
それを鑑賞相手と話し合うのが楽しい映画なのです。
様々な現代テーマが潜むヒューマンサスペンス
長回しの口論シーンは思わず見入ってしまいました。
ドキュメンタリーかと思ったくらいです。
家庭内の役割分担や子供のこと、
夫婦揃って作家だということ(夫は色々と
やっていたようですが)、言葉の壁やLGBTQなど
色んなテーマが絡んでいます。
邦題からサイエンス要素が強いのかと
思い込んでいましたが、ほんの少しだけです。
最後の最後に事件の確信を突くのか、なんて
思っていましたがこの映画はそれを伝えたいわけでは
ないのだと、場内が明るくなってから自分に
言い聞かせました。
良質な作品です。
152分いっきみ。
脚本がうまいのか長尺いっきみ。主人公だけでなく父や子供や弁護人など様々なひとたちのたちばや心情がわかりやすく描かれるから話に入りやすい。証言全てが真実とは限らないから闇の中感はあるが見応えたっぷりな作品だった。
それでも彼女の心の奥底に積もる雪解けは程遠いだろうと感じた!
雨、そして雨。レイン&レイン。
ほんのちょっぴり御日様射してきて~ウレピ-(*´ω`*)
でも洗濯物がぁ 乾かへんやないかぃ・・・
あ、そうだ! そんな気分が凹む時は 映画を観よう!
という言い訳の流れで、
今日は「落下の解剖学」観に行きますた。
このタイトル、きっと難しそう そう思った貴方、 正解です。
まんまと パルム・ドール受賞、アカデミー賞ノミネ-トの文字に踊らされましたね。大丈夫、私もその一人。
原題からすると 翻訳は”転倒の解剖学”、転倒なんですね。
でもワザワザ ”落下”に変えてます。その時点で少しネタバレなんですね~キット。
正直な気持ち 想定してた内容とは異なってましたわ。(。´・ω・)?
もっと深い雪山の山荘サスペンスなんかと思ってたが・・・違った。
人の見えない深層心理に迫る ダレトクでもない裁判の話でしたゎ。
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とある人里離れた雪積もるフランス山荘に住む夫婦と息子、3人家族に起こる心の葛藤と引き起こされる悲劇。
ある日、夫(サミュエル)が家の屋根裏窓から落ちて死亡。果たして事故か?自殺か?他殺か?
それを巡って、妻(サンドラ)に疑いをかける検察側と、無実無根を訴える妻側。それの裁判の行方をゆっくりと話展開してゆきます。
一番心揺れ動くのは 夫婦の息子(ダニエル)、事故で視覚障害になった事で学校にも行きづらく、家でも両親の些細な喧嘩(言い合い)に堪えている。彼の唯一の味方盲導犬役(スヌープ)だけであった。
果たして、彼女(母)は無実なのか。
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まぁ良くもこんな 無味無臭な夫婦に良く起こる 些細な出来事を
穿って話立てして展開広げたなと感じました。
凄く静かに、そして山荘に漂う空気感がそのまま 場内に流れているのを感じます。裁判所での息子の最後の証言に 息を飲みます。
それは きっちりとした感情の裏付けがあり、紛れもない証だったであろうと感じました。
映画中に出てくる、”俺にも時間が欲しいんだよ~”・・・夫の訴え。共感した方も多いのでは。この一見不平等と思える訴えが 総てを現わしていそうです。
映画館で映画を良く鑑賞されるアナタは、パートナ-や家族に”また映画かぁ~”って言われてませんかw。
ちょっとネ、映画観て自己嫌悪になったりしそうです。
昨今、子育ては夫婦でとか推進派が多い中 本当にそうなるとどうなるの?
ちょっと未来はこうなる事も有りそうな・・・。
夫も部長、妻も課長とか。晩婚で子供が出来たら同じような事が勃発しそうな展開を垣間見た次第。
最後に裁判で無罪判決を受けた彼女が、”勝ったら何かご褒美が貰えるのかと。”
この言葉の意味。 きっと心の何処かに愛される思いを描いていたんでしょう。そう成らなくて、犬の傍で寝る淋しい彼女。いたたまれない思い。
あと少し、ほんの少しだけでも夫に対して丁寧に向き合って心の会話が出来ていたら、きっともっと夫婦の絆は切れずに繋がっていたと思います。
久し振りのフランス映画、寝そうで寝ないで観て下さい!
コレわっと、思った方は劇場へ。
愛の欠落
タイトルはオットー・プレミンジャー監督『ANATOMY OF A MURDER(邦題;或る殺人)』からの引用だろう。ジェームス・スチュアート扮する弁護士が、女房を寝とった酒場の主人を殺した軍人の無罪を勝ち取るお話だ。売れっ子作家の女房サンドラが同じく作家の旦那サミュエルを殺したのか、はたまた単なる自殺だったのか、を問うリーガルミステリーという点は共通している。さらにいうと、容疑者が真っ黒にも関わらずそれとは逆の判決が下るというオチもおんなじだ。
しかし、2023年のパルムドールに輝いた本作の場合、事実はどうだったのかが最後まではっきりとはわからない。単なるミステリーとは明らかに異なった余韻を漂わせて終幕するのである。劇中ちゃんと回想シーンが出てくるじゃないか、とおっしゃる方がいるのかもしれないが、監督のジュスティーネ・トリエに言わせるとあれは事実に基づいた回想ではなく、登場人物たちの(曖昧な)記憶らしい。女流作家サンドラ(サンドラ・ヒュラー)の弁護士がこんな台詞を言うのだ。「事実はどうでもいい、周りがどう思うのかが重要なのだ」
この監督の映画を観るのは今回初なのだが、トリエの近作のシナリオは、ほとんど同じ映画監督でトリエのパートナーでもあるアルチュール・アラリとの共同執筆で仕上げているらしい。まさに本が書けずに鬱になっていた(らしい)旦那のサミュエルとサンドラの夫婦とほぼ同じ関係にあるのである。因みに本作の役名とそれを演じる役者の芸名もほぼ同一で、虚構と現実(イメージと事実)を曖昧にぼかす演出効果を狙っているのだろう。
この後、サミュエルが落下した時についた血痕分析、フランス人とドイツ人の経済格差婚問題、サンドラの性癖(バイセクシャル)、ひいては事件が起きていた時に夫が大音量でかけていたインストルメンタルに男尊女卑の意図が隠されているとかいう事件には直接関係ないジェンダー問題まで飛び出し、そのたびに陪審員並びに観客は、やっぱ有罪じゃね、いや自殺だろ、などと監督トリエのイメージ操作によりコロコロと意見を変えさせられていることに気がつくのである。
自分には優しかった父ちゃんの無念は痛いほどわかるのだけれど、問題は起こった事実よりも目の見えない僕にとって今何が必要かってことなんだ。アルベニスのスペイン組曲アストゥリアスを力奏し革命を起こす気満々だったダニエルだが、いつの間にかショパンの葬儀曲に使われたプレリュード第4番を割って入ったサンドラに弾かされてしまうのだ。お父さんの自殺を素直に認めなさいと。初めから誰がこの家のBOSSかってことを最もよく理解していたのは、本作で堂々のパルムドッグ賞に輝いたボーダーコリーのスヌープ(本名メッシ)だったというわけなのだ。
モヤっとしました
ここ最近不作続きでした。「DUNE」のリバイバル、「ボーはおそれている」、「君たちはどう生きるか」どれも残念な出来で、私の感覚が一般的な評価と大幅にズレてしまっているみたいです。とは言え今後も感じたままを恐れずにレビューしていこうと思います。
で今作もパルムドール等で高評価を受けた話題作という事で、今作こそ私ののぼせ上がった頭をガツンと目覚めさせてくれるのではないかと期待して鑑賞しました。結果、裁判の場面は中々に引き込まれるものがありましたが、裁判の勝ち方も明確な勝訴ポイントが示される事も無く何となく勝った感じでしたし、真相が明らかになる事も無くモヤっとしたままで終着してしまい消化不良でした。「必ずもう一捻りあるはず!」と期待しておりましたが、敢えなくエンドロールが始まってしまいました。
母親が無罪を勝ち取って帰宅した際に、息子から「ママは何故パパを殺しちゃったの?」的は発言があり、息子による謎解きが展開されて・・・みたいのを観たかったなぁ。
【落下する映画】
夫が落下した真相、事が“解剖”されていくことで表出する妻の真相に、妻自身も落下していく。陪審員の目線で裁判の行方に見入る没入感で、見ているこちらも映画の深みに落ちていく。
◆概要
2023年・第76回カンヌ国際映画祭コンペティション部門パルムドール受賞(女性監督では史上3作目)作品。第96回アカデミー賞作品賞、監督賞、脚本賞、主演女優賞、編集賞の5部門ノミネート。
【脚本】
ジュスティーヌ・トリエ
アルチュール・アラリ(トリエ監督の私生活のパートナーで、戦後約30年目に生還した小野田旧陸軍少尉をめぐる実話「ONODA 一万夜を越えて」を監督した人物でもある)
【監督】
ジュスティーヌ・トリエ(本作が長編4作目)
【出演】
「ありがとう、トニー・エルドマン」ザンドラ・ヒュラー
【公開】2024年2月23日
【上映時間】152分
【製作費】€6,200,000(約10億円)
【英題】「Anatomy of a Fall」
◆ストーリー
人里離れた雪山の山荘で、視覚障がいをもつ11歳の少年が血を流して倒れていた父親を発見し、悲鳴を聞いた母親が救助を要請するが、父親はすでに息絶えていた。当初は転落死と思われたが、その死には不審な点も多く、前日に夫婦ゲンカをしていたことなどから、妻であるベストセラー作家のサンドラに夫殺しの疑いがかけられていく。息子に対して必死に自らの無罪を主張するサンドラだったが、事件の真相が明らかになっていくなかで、仲むつまじいと思われていた家族像とは裏腹の、夫婦のあいだに隠された秘密や嘘が露わになっていく。
◆
◆以下ネタバレ
◆
◆落下
ボールが階段を落下していき、スヌープがそれを咥えて去っていく冒頭。まさに本作での“落下”を象徴づけるものであり、またスヌープがキーである事もここに記される。サミュエルはまさに落下して死亡。サンドラも、夫婦の不仲はもちろん、バイセクシャルや不倫まで公の面前で暴かれる。夜の車内で泣きじゃくる(苦笑いから大泣きするザンドラ・ヒュラーの演技力!)彼女もまた、学生から取材を受けるほど人気のあった冒頭からは地に堕ちるほどに転落していた。本作で印象的なズームインが2つ。一つは、散歩中のサンドラとダニエルが見た、検察による落下検証。一つは、サミュエルとの口論が法廷で暴かれたサンドラをダニエル越しに捉えた映像。どちらも“落下”で共通するシーンのズームインに、撮影手法からこだわる本作の本気度が伝わってくる。
◆解剖
監督は「映画を⾒ている観客も、⼦供や陪審員と同じく、視覚という要素が⽋落した状況に置かれることになる。だから裁判で、何が⽋けているのかという錯乱状態の後に、すべてがつながっていく」と語っている。ダニエルが初めて証言台に立つシーンでは、家のテープの感触を間違えた事を、検察側は悪意を探るように尋問し、弁護側はサンドラの不利にならぬよう解釈する。このシーンのダニエルが象徴的で、見ているこちらも右に左に首を振りながら、検察と弁護の解釈を行き来する感覚に。監督の言葉の通り、見ているこちらもいつの間にかダニエルや陪審員と同じ目線に立っているのが面白い。精神科医の証言も夫婦の口論の録音データすら、検察の陳述でサンドラに非があるように思えて、弁護の陳述でその逆に思えてくる。ダニエルがついにたどり着いた“状況証拠”にも、“過度に主観的だ”と検察は一蹴。“解剖”がなされていく法廷の場は、“証言”が“証拠”になり得ない。そんな特有のもどかしさ、審理の難しさに終始見入る感覚だった。
◆ラスト
無罪を勝ち取るも、“ただ終わっただけ”と虚無感にさいなまれるサンドラ。テレビ番組で“妻が殺していた方が面白い”と言ったように、世間は好奇の目でおそらくその後も彼女を囲む(真実を突くダニエルの証言時にこそ傍観者が皆無、つまり世間の目が向かないというシーンが虚しい)。最後にダニエルがこぼした言葉は“ママが帰ってくるのが怖かった”。父の自害を証言しても、無実の判決が下っても、あの一連の裁判でダニエルもやはり母への疑念を心の奥底に宿した、そんな映画表現だった。ただしサンドラ自身にも心から信頼できるパートナーができたわけで、ダニエルとの長いハグも真の親子のそれに思える。最後にサンドラに寄り添ってきたのはスヌープ(薬で瞬きが止まったあの演技がすごい!)。冒頭で落下したボールを咥えて階段を登る、つまりスヌープはそのボールの落下を止めて元に戻したわけで、本作を通じてもサンドラを救ったキーマン(キードッグ?笑)そのものでもあった。あえて最後まで事の真相こそ明かされていない本作だが、無垢な存在であるスヌープがサンドラに最後に寄り添ったという表現は、本作が彼女に下したあたたかい真の判決、そう解釈してもいいように思えた。
◆関連作品
〇「愛欲のセラピー」('19)
トリエ監督作品で、ザンドラ・ヒュラーも出演。プライムビデオレンタル可。
◆評価(2024年2月23日現在)
Filmarks:★×3.8
Yahoo!検索:★×3.4
映画.com:★×3.6
微妙
法廷物としても家族物としても人間の負の側面についても微妙で物足りなかった
法廷物として、真実が明らかにならないまま終わるのはいいのだが、それで何がどうなったかというと主人公の性根がかなり終わっているという事実と、そんな母親がダニエルとこれからも生活していくという未来だ
見ていてなんの喜びもカタルシスもない
ついでに言うと主人公がこれまでの行いを反省するような描写も無かったので、きっと母親はこれからも精神的安定を言い訳にどっかの男や女と盛り、ダニエルの勉強も見ずに生きていくのだろう(主人公はダニエルの面倒を見ることを自身の時間が削られる行為としか認識していなかった)
この映画で盛り上がったのは法廷で明かされる夫婦喧嘩のシーンで、主人公の性格が前述の通りまあまあ終わっていることが分かるシーンなのだが、それを見てダニエルがどう感じたのか、何を考えて最後の証言に至ったのかが描写が不足しておりイマイチ感情移入できなかった
そこがあやふやなのがいいんだろと言われればそうなのかもしれないが、旦那の死の真相も明かされないまま何から何まで真実は藪の中とされると流石に文句の一つも言いたくなる
こんなことならダニエルを主人公に据えて母親のイメージと実態に苦悩する姿をもっと見せてほしかった
法廷物としてなら「それでも僕はやってない」とか「十二人の怒れる男」の方がよっぽど面白い
何が描きたいのか全く分からなかった映画だったが、他の人がレビューで書いていた「旦那から妻への復讐物」として考えれば色々筋が通るのでこれからはそう考えようと思った
死人に…無し。
冒頭から大音量の音楽が不快な感じ
を受けた
何か嫌~な思いがたちこめる
ここは意味があるのか
わからないけど。
…夫が突然の転落死
事故か自殺かあるいは妻による殺人か
そこから主人公の行動が重要な
ポイントとなる
彼女が質問に答えているところは
なぜかウトウト。
あまり引き込まれない
裁判が始まってからやっと
裁判の行方は彼女が殺したみたいな
展開だったが…
…わたしは殺していない。
と言い切る
ほぼ彼女の心情と言い分を
聞いているだけで
彼の言い分としては残された録画のみ
(ここで彼の不満が爆発している)
そして息子が記憶の中の
父の言葉を思い出す
見えかたが変わる
彼女が殺したのか殺してないのか
自分には分からないけど
息子の証言で判決が決まった
息子としては大好きな父親を亡くし
ショックで辛かっだろうし
その上、母親を失うのはもっと
辛いものがある
彼女も
夫を追い込んでしまったことは
裁判に勝っても気持ちは晴れない
裁判では決着がついたけど
犯人捜しではなかった
もう少しおもしろい展開を
期待していた
この感覚は、そう、HUNTER×HUNTERを読んでる気分!
一つの事件にフォーカスして150分描かれる。
法廷シーンはかなりのセリフ量かつ、長時間であるが、そこに夢中になれるかが、大きな分かれ目となる。
まるで、漫画であるのに大量の文字で心理戦と駆け引きが描かれるHUNTER×HUNTERを読んでいるような感覚でなった。
自分は大好きであるので、一言一句漏らさず聞こうと集中して観ることができた。
その心理戦もさることながら、夫婦関係、セクシャリティ、障がい、親子愛など、さまざまな要素が組み込まれながら、観客自身が陪審員のように揺れ動きながら体験できるのが新鮮であった。
法定内のカメラワークも覗き込む視点で、惹き込まれる。
裁判というものは、論理的でありながら、人が判断する以上、感情に左右されるものだと痛感する。(少なくともこの作品では)
真実はどうかはわからないが、いささかキャラクターが立ちすぎているがために、意外性というものは少なく感じた。
とはいえ、さすがの俳優陣の演技で、評価されるのも納得の一作。
にしても、邦題が直訳でも日本語的にハテナで、どれくらい観たいと思えるのか。こういうときにお得意の意訳を使ったほうがいい。
脚本は監督とパートナーの共同執筆
カンヌ映画祭パルムドール受賞のフランス映画。
夫が転落して死亡したことを妻が関与しているかを問う裁判。
フランス映画らしく起伏が激しくなく進んでいく。
最後は裁判で結果が出るけど本当に真相なのか。
観終わった後でも真相は分からない。
実際の裁判も真相なんて分からないものが多いかも。
主演の女優が素晴らしい演技なのがこの映画を際立たせる。
この夫婦の子どもが一番の被害者。
判断を迫られるのはツラいと思う。
監督は女性で脚本を監督とそのパートナーとの共同執筆。
この二人も映画の夫婦と同じかも。
人の本性なんて簡単には分からない
不審な墜落死を巡るミステリーだが、誰が犯人かを推理する話ではなく、殺人の嫌疑をかけられた妻が、本当に夫を殺したのかどうかが物語の焦点となる。
「やったことを証明するよりも、やっていないことを証明する方が難しい」と言われるが、裁判における妻側の弁護は、当然、難航することになる。
決定的な証拠がないため、検察側も憶測でしか妻を追求できない中で、夫が死亡する前日に、彼が録音していた夫婦喧嘩の音声により、妻と夫の真の関係性が明らかになる過程は圧巻である。
夫婦喧嘩のやり取りだけを聞けば、自分が小説を書けないことを妻のせいにする夫の言い分よりも、それが言いがかりであることを論破する妻の主張の方が筋が通っているのだが、妻が夫に暴力を振るったことや腕のあざの原因を法廷で偽証したこと、あるいは、彼女が過去に女性と浮気をしていたことなどが明るみに出て、それまで間延びしていた感のあった法廷劇が、俄然、面白くなる。
そうした、妻にとって不利な状況を覆すのは、新たに追加された息子の証言なのだが、彼には、勘違いだったと証言を修正した過去があるし、「真実が分からないなら、自分で真実を選ぶしかない」みたいなアドバイスも受けていたので、彼が本当のことを言っているのかどうかは、最後まで分からない。
そもそも、彼の視覚に障害があるという設定が、ミステリーとしての面白さにほとんど活かされていないのは、物足りないとしか言いようがない。
ラストで、実は息子は真実を知っており、裁判での判決とは異なる結末が示されるのかもしれないと期待したのだが、結局、そうした「ドンデン返し」はなく、その分、深い余韻を味わうことになる。
どこか釈然としないモヤモヤは残るものの、変にウケを狙わないところには、作り手の誠実さが感じられて、決して落胆させられるエンディングではなかった。
終わってみれば、小説家として成功した妻を妬んだ夫の惨めさと、そんな夫の原案を基に小説を書いて成功してしまった妻の神経の図太さばかりが印象に残るのだが、そうした妻の本性が白日の下にさらされたのだから、ある意味、夫の復讐は達成されたのかもしれない。
裁判に勝っても素直に喜べない妻の姿を見ると、そう思えるのである。
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