首のレビュー・感想・評価
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素晴らしい歴史映画、人間ドラマ
パワハラ上司の信長に耐えかねた武将たちが本能寺の乱を起こす話だが、そこに様々な要素が入り乱れているのが実に面白い。
ヤクザの幹部のような大名たち。その頂点にいるハイパーパワハラ上司の信長。その家臣たちが愛憎の情と欲望の打算でそれぞれ動いていく。
そして大名たちに率いられる軍、雇われ傭兵の忍者、被支配民である農民など各階層の人々をとても上手く描いている。軍はヤクザ幹部である大名に率いられたならず者の集団であり、忍者は傭兵のスペシャリストであり、農民はボロを着た汚い馬鹿である。
この無秩序の中で、各勢力の人々がどいつもこいつも自分勝手に行動し、理不尽な暴力で人がバサバサ死んでいく。
農民はあっさり焼き討ちにあって殺されたと思えば落ち武者狩りを行い、忍者は大名を暗殺したと思えば逆に大軍に襲われ里ごと皆殺しにされ、偉そうな大名も権力を失えばたちまち奴隷や農民に殺される。
我々のいる秩序に守られた文明社会とは全く異なる暴力と理不尽がまかり通る地獄の世界を淡々とコミカルに描いている。
そしてそんな地獄の主役はもちろん大名である戦国武将たちであるが、彼らが愛憎(男色含む)と欲望によってどのように謀反に至ったのか、複雑な人間社会を見事描いていると思う。
また歴史考証的にもなかなか良くできていて、当時の人々の常識が我々とは異なることをよく理解した上で歴史的な事実や社会のあり方や戦国武将をエッセンスとしてうまく抽出してストーリーに当てはめてる点も素晴らしかった。
荒木村重謀反の経緯や茶臼山の光秀饗応役事件や中国攻めや中国大返しなどを上手くストーリーに当てはめてたし、信長のパワハラ具合や領地の割り振りなどを見るとそりゃ謀反起こすよなと思ったし、この裏切り裏切りの果ての勝者である秀吉もやがて信長と同じように狂った挙げ句弟の秀長を殺すんだよなあと思うと不思議と腑に落ちるところがあった。
やたら女性中心だったり、やたら「民・民」いったりするNHKの大河ドラマよりこちらの方が戦国時代をうまく表現していると思う。
唯一残念のは光秀の凋落が描かれてないこと。
天下を取るために謀反を起こしたにも関わらずなぜ秀吉にあっさり破れたのか全く描かれていない。諸侯の協力を得られなかったことや秀吉に裏切られたことを知った瞬間やその秀吉が信じられないほど早く戻ってきたことなどを5分でいいから光秀視点で描いてほしかった。
それができてれば★5だったが、そこだけ残念なので4.5にしました。
インパクトはあるものの・・・
カンヌ映画祭上映で話題になっていたし、久しぶりのタケシ作品ということ、さらにインパクトのある予告編をみて興味が高まった作品だった。
【物語】
天下統一を目指す織田信長(加瀬亮)が打倒毛利、武田軍に邁進する中、家臣荒木村重(遠藤憲一)が謀反を起こす。信長軍は簡単に村重の城を攻め落すが、村重を捉え損ね、村重は姿を消す。明智光秀(西島秀俊) は村重の捜索を命じられ、捕えるが元々村重と深い仲にあった光秀は信長に差し出さずに村重を密かに匿う。
一方、天下取りを密かに狙う羽柴秀吉(ビートたけし)は、信長、光秀、家康らの動きをつぶさに探りながら、常に自分が天下を取るためにどう動くのが有利かだけを考え、弟の羽柴秀長(大森南朋)、黒田官兵衛(浅野忠信)らと策を練っていた。
【感想】
従来の戦国ものと比較して、より利己的な武将達によるより生臭い戦国の世をインパクトのある映像で描こうというのが狙いだったのだと思う。その象徴が“首”であり、いとも簡単に首をはねるシーンがこれでもかと出て来る。「敵の首を取ったもの勝ち」が強調される。
既に数えきれないほど作られた戦国時代ものをそういう「ある視点を強調して作る」のが悪いとは思わない。が、致命的に脚本が弱い。随所のシーンでリアリティーが感じられない。中でも違和感を覚えたのは信長像。信長の傲慢さは世の中のイメージどおりなのだが、それをデフォルメして、あそこまで描いてしまうと、天下統一寸前まで行く前に、家臣が離反しないのが不自然。信長が後世に名を残す武将になったのは、暴君という一面とは別に、それでも家臣が着いて行くリーダーとしての魅力・統率力があったはずだ。あるいはどんなに人間的に酷くても絶対逆らえない天才的な権力支配の仕組みを作っていたことを描かれていれば良いが、それも無い。本作を観る限りは、田舎大名時代に家臣達に殺されないわけがないと思ってしまう。
劇中でもひどい仕打ちを受けながら、光秀はすぐに怒らないのだが、信長の横暴さしか描かないから「なんで?」でしかない。寵愛を受ける信長の側近(いやペット?)の存在も全く持って不自然にしか映らない。
また別のところでは、黒田官兵衛が優秀な参謀という位置づけになっているのだが、その知略の描写が半端で「なるほど、切れ者!」とならない。
さらに俺が一番気に入らないのはこんなところまで“流行り”のLBGTを持ち込んでいる。あたかも戦国武将=all男色くらいの勢いだ。そんな設定にする必要性が全く分からない。
ということで、信長役の加瀬亮初め、随所に役者の熱演は観られるものの、それが無駄になっている。
カンヌの観客の中に一体どれだけ本当に称賛の拍手をした人がいたか・・・
BL戦国時代
90年代から度々、秀吉の映画を撮ろうと思う言っていたビートたけし
これが、あの時言っていた映画かと
予告段階ではクレイジー信長をいかに殺す映画なんだろうなと予想はしていたが、所々ギャグを入れており、その反面残虐描写を挾む作りに
加瀬亮がアウトレイジの流れのぶっ飛びキャラ(まるでブラック企業の社長)で、まず地上波では放送できない
良識派とみられている明智光秀役の西島秀俊も決して良識派ではなく、荒木村重役の遠藤憲一とこってりシーンを熱演
たけし、大森南朋、浅野忠信の三人組がひたすらボケまくり、小林薫も家康をひたすら影武者コントで笑わせる
キム兄とアマレス兄弟が結構出番が多い(中村獅童も含む)
終わり方に北野武監督のメッセージが含まれており、結局人間なんてしょーもない生き物なんだと自分は受け取る
色々詰め込み過ぎちゃった感がある
死の匂い
素直に傑作だと思います。ファーストシーンから素晴らしい。ラストまでずっと素晴らしいかったです。
ファーストシーン、こんな画、日本映画でしばらく観たことなかったと思いました。
もうその時点で胸ぐら掴まれて、あとはもうひたすら心地よく映画の中を引き摺り回された感じで、本当に気持ちいいぐらいどっぷり作品に浸かってからの引き放し方まで、心から楽しめました。
首には終始「死」が充満してます。匂ってきそうなぐらい凄惨な死体がたくさん映ります。あまりにも簡単に人が死んでいくので、次第に笑えてくる。で、ふと気づく。人の生き死にを観て笑ってる自分が一番恐ろしい、ということ。
心底ゾッとする素晴らしい映画でした。
男色の戦国史
昔の武士に男色家が多かったのは歴史的にも明らかのようだ。というか昔からゲイやバイセクシャルの人は多かったということ。子どものときに不思議に思っていた森蘭丸の立ち位置が織田信長の衆道だったと知ったときは驚いた(あくまで諸説ある話だが)。
本能寺の変あたりの時代を描いた物語はたくさん作られていて、今さらどうなの?と思っていたが、こんな描き方があるのかと驚かされるものだった。男色の戦国史と言える内容。でもこれが意外と史実に近かったりしてなんて感じてしまう。
でも男色を楽しんでいる武士もいれば、上下関係で仕方なくという武士もいる。殿の言うことは絶対という感覚だから、ハラスメントなんて感じる余裕もない。すべてはお殿様に気に入られて出世するために我慢する。どうしてもと耐えられなくなった者が謀反を起こしたりする。現代の男社会にもこの感覚が残っているから、信長の暴挙に耐え忍ぶ家来たちの姿が滑稽なはずなのに見ていて苦しくなってしまう。
武勲を上げた証拠となる「首」というタイトルを付した本作。なり上がろうとする武士たちの上昇志向の話というよりも、武士たちの性愛と嫉妬の物語として面白かった。「アナログ」のときにも思ったが、北野武のストーリーテラーとしての才能に驚くばかりだ。
猜疑心と滑稽さと狂気が満載
人の命が盤上の駒のよう
本当にいい意味で人の命があっけなく散っていく様をまじまじと実感していく物語で
王将さえ守れば何をしても良いと言うのがわかっていたが、そうだよなと改めて思い知る映画だった。
将棋の盤面であれば確かにそうだけど実際の人であれば別だろうと信じたいがこうまで無碍に散っていくと人とはコマなんだなと諦めも早かった。
淡々と過ぎる中で男色的な面が結構多くて
そういうのが苦手な人は受け付けづらいのかもしれないけど
ハニートラップよろしく目上の人の色を熟知して出世を求める事は
現代としても腑に落ちる感性もそこにある
面白かった以上に諸行無常の念があるが
あんなにコマ扱いしていた軽い命の人物の首が並んで覚えていることになんだか嬉しくてなんともいえない感情になりました
面白い
す〜べて遊びだわ!
首 構想30年って。。。
今年最大に期待して観に行きましたが見事に裏切られた感じです。まずタケシの秀吉役に年齢から来るものか、全くリアリティーがなかった。老け過ぎ。監督兼任なので誰も文句を言えないのか、演技も全くダメ。観終わって誰が主役なのかも分かりませんでした。
構想30年って。。。
首と言うより首無しw
とにかく頭を落とすシーンが多い
ギネスでも狙ったのか?w
ま、タイトルなんでそれは良いとして
男色シーンも北野映画には多いけど、ついにそれをメインにした感じだったw
アウトレイジでも良い役者さん多かったけど、今回も役者さんでは中村獅童、キム兄、岸部さんあたりが良かった!
獅童さん良かったなぁ!あの汚らしさが本当にリアルだった
キム兄スゴイ!その存在のおかげで演技やセリフがバラバラな役者陣を上手く繋いで中和している感じがした
飄々としながらタケシの言いたいボヤキを違和感なくセリフとして言わせられる役者は他にはいないのでは
利休の岸部さんは最高に合ってたw
単体の映画として見たいくらい
秀吉は自分は役者やるつもりじゃ無かったって言ってたらしいケド、もうテンポ感悪くなるの分かっててやってる感じやね
滑舌も悪いし演技もする気無いのかな
まあ、アイコンとして出てると思えば後半は気にならなくなって来たけど
他にもセリフが聞き取りづらい人が多かったかなあ
信長加瀬さんの振り切り演技はアウトレイジの時と同じだったかなぁ…嫌いじゃないけど
その他、美術、撮影、VFXなど邦画も凄くなりましたね
やっぱり面白かった
たけしのエンタメでしたけど
直接的にもグロいが精神的にもグロい
戦国アウトレイジBL風味
個人的には好きだけど全然おすすめできない
正直、面白くない
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