劇場公開日 2023年11月23日

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「加瀬亮さんが良かった」首 ボブさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0加瀬亮さんが良かった

2023年11月29日
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北野ワールド全開の歴史スペクタクル。こんなにもやりたい放題な作品が撮れる映画作家は世界でも稀だ。「アウトレイジ・ビヨンド」までは作品の質が高くて何度も見返すほどの傑作ぞろい。でもその後の「龍三と・・」と「アウトレイジ最終章」は作品として“緩くなって”しまい物足りないし、寂しかった。そしてお蔵入りの危機を越えてようやく公開された本作。予想以上に大作なのに驚く。キャストはめずらしくメジャー級を揃えて豪華。なかでも加瀬亮さんの怪演はすごかった。アウトレイジでの石原役の拡大版とも言えるが、演技に余裕と重厚さが増し、とてつもなく狡猾で残虐な信長を演じきった。その加瀬さんが登場しているシーンまでは引き締まった展開でのめり込んで観たが、そのあとから“緩くなって”しまう。それでも嫌悪感満載のおもしろさだった。いくつかのシーンは黒澤さんの「乱」を彷彿させられオマージュの意味合いもあるのだろうか。映像はいつものように美しい。それに北野監督も語っていたけど独自の歴史的観点が斬新でおもしろい。「戦国武将なんてのは悪いヤツばっかりだよ」の言葉どおりとんでもなく悪い奴らしか登場しない笑。彼らは簡単にじゃんじゃん人を殺していくがなんともおもっていない。そこが妙にリアルで怖い。先祖はあんな時代を経て自分はいまこうして生きているのだろうか、などと考えてしまう。次作はコメディーらしい、期待して待っとります。

ボブ