ミッシングのレビュー・感想・評価
全487件中、201~220件目を表示
父親は他人‥そこの芝居が行き過ぎていなくて好感
評判の高い吉田恵輔の作品を初めて観たのだがほとんどの監督作で脚本も書いており本人曰く「監督より作家としての気持ちのほうが大きい」とのことで、現場ではイメージしていたとおりの芝居だとすでに一回観た映画をもう一度観ているようで面白くないのだというから困ったものである。失踪したわが子を探す母親の話なのだがそのミステリー部分は本筋ではない。事件をとりまくてんやわんや報道するマスコミやSNSでの誹謗中傷、夫や親族との関係などが主題で「心をなくしてしまった」現代人への問題提起。特に視聴率至上主義のテレビ報道や「やらせ」は使い古されたテーマではあるが「心ある」テレビマンでさえもついついやってしまうという脚本上のちょっとした工夫が大きくうなずかされて面白かった。石原さとみは想像したよりエキセントリックではなく弟役の森優作、TV記者の中村倫也、そして何より夫役の青木宗高がとても自然な演技で偽りがなく良かった。でもやはり事件の行方は気になる。このエンディングはどうなんだろう?
現実がそうであるように
現実に起きている凄惨な事件がそうであるように、この事件にも色んな要素が絡んできます。
売らんかな主義のマスメディア、誹謗中傷が大好きなインターネットやSNS、母親という属性にのしかかる圧。
作品内では言及されていませんでしたが、森優作くんが演じている弟くんは発達特性のある人をイメージしているように思われました。
姪の面倒を放って先輩に誘われるがままにカジノに出かけてしまうのは、衝動性優位のADHDの人の行動を連想しました。
いろんな要素が詰まっています。現実に起きた事件は、映画のように「テーマは〇〇」とかはないです。
色んな要素が絡まって、人間は信じられないような行動を起こしてしまう。
優しい人や、分別のある人でもみんなおかしくなってしまうことはある。
なので、感想はずばり「ズシーンとくるよ」の一言で終わってしまいます。
考えることがたくさんありすぎる映画ともいえます。
一つ言えるのは、わたしたちは現実に起きている事件にどう向き合っているか、この映画を見た後でふり返ってほしいということです。
マスメディアの人たちも、誹謗中傷をするネット住民も、「物語」を消費するだけ消費して飽きたら忘れてしまう大衆も、すべて「わたし」だと感じました。
椅子から立ち上がるのに時間がかかった。
自分は独身なので、父にも母側の気持ちにも寄り添えず。ディレクターにも感情移入はできず、強いて言うなら弟だけど、後半までは弟が犯人との疑いも拭えず。
旦那が優し過ぎるし、母親も負い目はあるのに感情を出し過ぎるし、ディレクターも悪人になりきれてないし、弟は自殺するんじゃないかってくらい追い詰められてるのに、普通に生活しているし。
現実的すぎるよ、映画なんだからそんなに現実求めなくていいじゃん、旦那はもっとブチギレようよ。記者も局を辞めちゃう同僚にキレようよ。スーパーで絡まれた弟は、不良のガキどもに殴りかかってメチャクチャになろうよ、はっさく畑で、市場で、セメント工場でみんな暴れようよ。
誰が犯人なんよ、みゆちゃんは死体で見つかるんでしょ?生きてて監禁されてる状況で見つかるの?さぁ、ここから後半どうなんのよ、ねえ、ねえって。
この無責任さが、ネット中傷してる奴等と変わらないんだよなって。エンドロールが流れて、劇場の照明がつく手前まで、衝撃的な最期に期待をしてしまった。
そんな、人の心を失った自分。
これがこのタイトルの所為なのかなと。
「リアルが面白いんだよ」
警察が記者に言った台詞。
今回刺ささった言葉はここ。
家族がいたら、もっと違う感想が出るんだろうと思う。やはり吉田恵輔、今回もいい作品でした。
わたしたちは心を失くしてしまったのか
人間という安い生き物
石原さとみの熱量は評判どおりでした
昔、ありましたよね
失踪したお子さんを探すお母さんのニュース映像思い出した。
当時もそうだったけど、この作品鑑賞中もずっと傍観者でいましたね。
自分には子供がいないので起こりうることのない設定だからかな。
当事者でないということはそういう事なんだと思うけど。
それに対してSNSで誹謗中傷するとかいたずらで嘘情報を教えるとかいう心理は理解できないな…
夫婦の関係、姉と弟の関係、マスコミとの関係…それぞれの狂った状態が滑稽に見えたシーンもあったり、とにかくすごい熱量のそれでいて静かなイメージの作品でした。
石原さとみはもちろんですが、脇のキャストがとても良かったです。
中村倫也、青木崇高のお二人は安定の存在感。
そして森優作さん!今回こんなに重要な役でたくさん写ってましたがハマリ役でした。彼の黒目の大きさに注目して欲しいです!
大切なものを失って壊れてしまう母親の描写が印象的
石原さとみさんの演技力に魅了される作品。
そしてモノではなく、代わりのきかない「生身の人間」が
どこかに消えてしまった事実。
これと対峙する各々の人間性がそれぞれのタイミングで
あらわれていた。
その演技力はすべての役者さんにおいて素晴らしいと思った。
子育て、母親の在り方、父親、夫婦、子供との関わり、子供の世界と親の世界、
大人の事情、再婚、母親のストレス、空の巣症候群、喪失感、虚無感、罪悪感、自分を責める、大人の裏事情、家庭のありかた、事件、
トラウマ、姉弟、いじめ、精神的苦痛、世間の目、SNSの書き込み、事件の報道、
テレビの世界、情報共有とそのリスク、報道する側、取材される側の恩恵とリスク
信頼、信用、猜疑心、決めつけ、正義、ジャーナリズム、真実・・・・
こんなキーワードがテーマとして劇中に散りばめられていたような気がする。
どこを突いてもやるせなく、ゴールがなく、解決に至らない、自分自身も
映画を見終わったあとに、なぜか空虚感だけが残った。
自分も母親の端くれなので、大切な命が目の前からいなくなってしまったら
石原さとみさん演じる母親と同じように狼狽しボロボロになるのは想像がつく。
あの演技力の迫力がこの映画の象徴なんだろうなと思った。
でも、最後に何かが足りないと感じ、それはなんなんだろうとしばらく
家に帰ってからも考えた。
それは、そもそもこの映画の中心である、いなくなってしまった女の子、
「みう」ちゃんの肉声だと気付いた。
もちろん、一番はじめに、登場し、笑顔や元気に動く姿、そして、唇をブルブルさせて
いたずらっぽく、ふざけて周囲を微笑ましくするシーンはある。
回想シーンで、そのブルブルする音を、扇風機が回る音にリンクさせて、母親がつい思い出すという描写はとてもリアルで素晴らしいと思った。
でも、もっともっと、はしゃいでいる時の「声」があっていいと思った。
弟さんとふざけるシーンでの生の「笑い声」や、お誕生日を祝った去年の時の本人の
動く映像や「声」がもっとあってよかったんじゃないかな。
だって、みんなが必死で探している大切な存在そのものなんだから。
一番、忘れてはならない存在なんだけど・・・。
それが、とても小さくなってしまっていたことに気付きました。
石原さとみさんの狂気と野性と慟哭がみちみちていて、おおげさすぎとか...
結局?
予測が付くストーリー。表現したいことは分かるが、結末がはっきりせず、後味悪い。でも結末がはっきりせず終わりが見えないのは主人公らもだよな…となんとも言えない感じ…。
ただ、感情表現が上手で一生懸命で誰が見ても必死さが伝わる妻と、あまり表には出さず感情は内側に秘めているが本当は心の奥底で妻と同じように娘のことを考えている夫の関係性はとても素敵だなと思った。
自分好みの映画ではないけど、いいものだった。
何でもないようなことが幸せだ
ミッシングの意味
とてもつらい
うちにも6歳の娘がいるので、同じ立場だとしたら本当に発狂してしまうし、生きていけないかもしれない。『八日目の蝉』の被害者の立場でもある。つらいのは生死が不明なまま終わってしまったことだ。不明もつらいけど、亡くなっていてもなおつらい。
闇カジノなどちょっととってつけた感じがある。韓流アイドルのライブに行ってネットで責められるなどもありそうではあるけど、それ以上の何か本当にその体験をした人にしか分からない表現が見たい。石原さとみさんの発狂ぶりはすごい。
卸売り市場で組合みたいな人が援助金を渡してくれる。そんなに親切なのか。ポスター印刷はネットで格安の印刷があるから教えてあげたい。
子どもと触れ合っている場面がほぼないのでなんとも言えないけど、吉田監督は子どもいるのかな。観念的な存在みたいだ。
空虚感が半端なく…
評判通り、今までに見たことのない石原さとみさんの熱演。これからどうなっていくのか、先が気になり没頭して作品を見ることが出来ました。
ハッピーエンドで終幕を迎えて欲しかった展開でした。観終わって暫くは空虚感が半端なかったです。
わかっていたけど辛い作品
過酷な人生を生き続けること
脚本がすごい
演者がすごい
メディアやSNSとの関係が主人公たちが置かれた過酷な状況を浮き上がらせるが、メディア批判はメインテーマではない気がする
拉致被害者家族のことを想うと、過酷な日々を生き続けることが、リアリティを持って伝わってきた
メディアやファンが期待するものに応えてきた石原さとみの本当の演技力がわかったのが大収穫だった
苦しい。
今日は映画デーと決めて、3本連続で見るべく予定を組んでいた。2本目が本作。しかし鑑賞後、3本目(しかもよりにもよって関心領域を観るつもりだった)を観られるようなメンタルではなく、2本でやめて映画館を出た。
それくらい、心を削られる作品だった。
これを観たほとんどの人は、数年前のあの女児行方不明事件を思い出すのではなかろうか。我が子の行方が分からなくなり、なりふりかまわず必死に捜す母親や親族に、インターネット上で拡散される誹謗中傷。あの後味の悪い事件を思い出して苦しくなった。
また、自分にも美羽ちゃんと同じ年頃の子供がいるので、石原さとみと青木崇高に感情移入しすぎて10分に一回くらい涙がにじんだ。子供連れの親子を見かけるところなんて辛すぎて涙が流れるのをこらえきれなかった。泣きすぎて頭が痛い。
ほとんどの人間たちの無関心、不躾で無神経な関心、明確な悪意。どれにも削られる。そこここに善意も転がっているのに、そんなもの一瞬で消し飛ばしてしまうレベルの悪意が降ってくる。被害者であるはずの母親も、周囲への接し方などに同情しかねる部分もある。
とにかく人間のエゴ、人間の業とも言うべきものをこれでもかと次々に注ぎ込まれ、正直途中でもうこれ以上見たくない…と苦しくなった。
ところどころ終わりに向かいそうなシーンがあり、この辛さもやっと終わりかと思ったらまだ続いて、また苦しいシーンがあり、さらに削られる。2時間の作品だったが、詰め込み感はなく駆け足にも感じないのに非常に内容が濃く、3時間くらいに感じた。
娘がいたころのホームビデオ。あんなもの見せられたら。そして、エンドロール。あれはダメだ。苦しすぎる。嗚咽がこらえられなくてハンカチを口に押し付けていた。それまで必死に耐えているふうだった周囲の観客も、たまらず唸り声を上げていた。分かるよ、これは無理だ…と内心で肩を抱いていた。
疲れ切ってシアターを出た。
何時間も経つがまだ頭が痛い。それでも他の方々のレビューを読んでは思い出し泣きしている。これは今日1日私は使い物にならないだろう。
本当につらかった。でも心から観てよかったと思うし、観るべきだったと思うし、観てほしいと思う(ただし心身とも万全なときをおすすめする、不調なときに観たら立ち直れなくなりそうだ)。
全487件中、201~220件目を表示