「正視出来ない辛さがある」ミッシング asicaさんの映画レビュー(感想・評価)
正視出来ない辛さがある
子どもの行方不明事件のたびに思う。
親の辛さや苦しみは描き切れるものではないと。
「どんな些細な事でも構いません、ご協力お願い致します」
冒頭のこの言葉が心から搾り出されるものである事は、人の親であれば、大抵の人間が共感する。
マスコミの非人道的な取材は言われて久しい。
ネットの書き込み誹謗中傷も 今でも日常茶飯事で、ただ、
開示請求が出来ることが知られて 少しは収まったのであろうか。
記憶にあるのはキャンプ場で行方不明になった女の子の事件。
ペットのトリマーのお店を経営していた母親に対する誹謗中傷は目に余る物があった。
この作品の中のミスリードは弟の存在で、アパートの出入り口での応酬は見応えある。
石原さとみの演技は申し分ない。
青木崇高の懐の大きい夫役も実際リアルなのである。
妻が荒れ狂う程に逆に冷静になれるのはある話で、妻の狂気を重いと感じてしまう反面、それでもそこに実はおのれが救われているのだ。自分で気づいているいないに関わらず。
自分の母親に対し 母親(美保純)のわかり切った質問にイラつき甘えも含めて当たり散らすのも まるでうちの2番目の娘を見てるようだわ。
夫婦で 「私と温度が違う」って言うところ
急に号泣するところ
精神がグチャグチャになっていくところ
中村倫也演じるマスコミの良心と 上司の命令との板挟み
彼の車を追いかけ涙まみれで窓を叩く石原さとみの演技はもはや演技を超えて胸を打つ。
非常に辛くて見続ける気持ちを維持するのは容易ではなかった。
そしてモブの存在を強調するところ
これは いくつもあったのは もうちょい少なくてもいいんじゃないかとは思う。
弟が職を失い それでも 姉に 吐露する場面は 痛い。
そして 周りの人間が当事者ではない事の対比。
小学生が一人で登下校する日本は もういつまでも続かないだろう。
うちの8歳は もう一人で遊びに行く事もないし送迎なしでの登下校もない。
目を離す時間はほぼないのだ。
そうでもしなくては 行方不明にならず死なず性被害を受けずに成長させることは難しいと感じるのである。
私は孫たちみんなに空手か合気道を習って欲しいとさえ思っているのである。
それが 考えすぎとかノイローゼとか言われる時代は過ぎてると思ってる!!!
(でも誰も習ってくれない)