旅するローマ教皇

劇場公開日:

旅するローマ教皇

解説・あらすじ

「ローマ環状線、めぐりゆく人生たち」「海は燃えている イタリア最南端の小さな島」などのドキュメンタリー作品で国際的に高く評価される名匠ジャンフランコ・ロージが、ローマ教皇フランシスコに迫ったドキュメンタリー。

2013年のイタリア・ランペドゥーサ島から2022年のマルタ共和国まで、37回の旅で53カ国を訪れたローマ教皇に密着。難民問題と紛争に苦しむ中東やアフリカ、そしてアメリカでは平和について語り、イスラム教を国教とするアラブ首長国連邦や、被爆国である日本も訪問、さらにカトリック教会で起きた性的虐待について謝罪する姿も記録する。

さまざまな問題に耳を傾け、出会い、語る教皇らしい姿のみならず、明るく飾らない人間性も映し出していく。

2022年製作/83分/G/イタリア
原題または英題:In viaggio
配給:ビターズ・エンド
劇場公開日:2023年10月6日

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(C)2022 21Uno Film srl Stemal Entertainment srl

映画レビュー

2.0随分率直な人柄に共感しました

2025年5月10日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

知的

驚く

斬新

ドキュメンタリーではあるけれど、先日亡くなったローマ教皇のフランシスコさんの旅に密着するだけで、ナレーションなど付け加えているものは何も無い。

それなので、各地で精力的に発信する開明的なローマ教皇であったことは、今さらながら強く感じた。
また、随分率直な人柄で、それを反映して必要な謝罪を厭わない姿勢や他宗教と融和するとても共感した。

しかし一方で、ナレーションなどて説明がないので、宗教的な表現や言葉の深みは、私のように全く信心がない人には理解が難しかったです。

映画「教皇選挙」は今も沢山の人が観に行っているようだけれど、こっちの映画の観客はすくなかったですね。

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ねこたま

4.0「正しい戦争」はない

2025年5月5日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

ナレーションは一切ない。
文字データも、冒頭で概略が示される以外は、訪れた地名のみ。
BGMも最小限。基本、現地の音と声。

「一緒に旅にでましょう」っていうポスターのコピーは、軽薄至極で鳥肌が立つ。

教皇フランシスコ(アルゼンチン出身、初のイエズス会出身、在位2013~25)の旅は、そんな軽薄なものではない。

イスラムとの対話、正教との対話、そして虐待への謝罪、等々。
タフな旅である。
ときには、マスコミの取材にキレたりする。
(これも、のちに謝罪)

* * *

「旅する教皇」と言われたのは、彼が初めてではない。
初めてそう呼ばれたのはおそらく、パウロ6世(イタリア出身、在位1963~78)。
教皇として初めて五大陸を巡り、教会改革も推進した。

つづくヨハネ・パウロ1世(イタリア出身、1978年8~9月)は在位が短かった(改革派だったが故の暗殺、とする説がある)が、

その後継のヨハネ・パウロ2世(ポーランド出身、在位1978~2005)は、パウロ6世をはるかにしのぐスケールで世界を訪問して「空飛ぶ教皇」と呼ばれ、
そもそもポーランド出身ということもあり、冷戦終結とその後の世界で重要な役割を果たした。

ただ、その次のベネディクト16世(ドイツ出身、在位2005~13)が保守派だったことが、
フランシスコの「旅」を際立たせているのかもしれない。

* * *

教皇フランシスコが一貫して訴えたのは、
人間の尊厳、共存、寛容、平和。
「すべての戦争は正しくない。正しい戦争はない」
――まさしくその通りだと思う。

彼に権威はあっても、権力はなかったかもしれない。
しかし、理想を語り続けた。
語り続けることは、重要。

ただ、
語るだけ、という空疎なものに終わらせないためには何が必要か、
カトリック(なかんずくイエズス会)の過去の所業を振り返ると、さらなる省察が必要だろう。

* * *

ともあれ、
教皇フランシスコの冥福を祈ります。
そして新教皇として、
変な人が選ばれませんように。

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島田庵

4.0ガンジーを例に出して平和のスキーマを世界に提示したフランチェスコ

2025年4月26日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

泣ける

笑える

悲しい

戦争から、紛争から、憎しみから、孤立から、武器売買から、貧困から、難民から、グローバル化してしまった無関心から「私達を止めてください」。

フランチェスコはメキシコの刑務所に赴き投獄者の一人一人を抱きしめ、大きな台風被害を受けたフィリピンでは皆と同じ黄色の薄いビニールの簡易レインコートを着て皆のために祈る。カナダでは、先住民の子ども達を親や家族から離し寄宿学校生活を強制する植民地政策と同化政策、つまり先住民の言語と文化破壊にキリスト教が加担した過去を謝罪する。聖職者による性被害を受けた人々への説明で「証拠」という言葉を使ったこと、それは被害を受けた人々を更に傷つけた、被害の「証明書」を出せと言うのと同然だったと謝罪をする。

キリスト教が人々に流させた血はもっとある。それでもまず今、問題になっていること、フランチェスコが時代的にも事柄としても全く関わりようがなかったこともバチカンのトップとして謝罪する。その真摯な行動と謙虚さを世界中の政治家に学んで欲しい・・・と思うが、政治家だけでなく人間全部が社会が変わってしまった。社会と人間をこれ以上変化させないでほしい、「止めて下さい」と言えた最後の一人がフランチェスコだったのかも知れない。

タンゴの歌詞を例に出したり明るく楽しい笑いもあった。フランチェスコの言葉はゆっくりで優しく明瞭だ。パパがよく使う言葉で私も好きなのは、泣く(piangere)、夢見る (sognare)、そして耳を傾ける(ascoltare)。歩くのが不自由になってくる後半のフランチェスコを見るのはつらかった。「旅」をいつも複数形で表現していたフランチェスコは旅をやめない。

アーカイブ映像をほぼ時系列に並べたナレーション無しの映画。人が大好きで笑顔が可愛い、「宗教」の権威も線引きもとっぱらったフランチェスコ。人間全部の苦しみと悲しみを背負ったフランチェスコが私達の代わりに私達の為に「私達を止めてください」と神へ祈るシーンでこの映画は終わる。

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共感した! 4件)
talisman

5.0タイトルなし

2025年3月4日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

不思議なドラマ、ドキュメンタリーだと思う。世界中の悲惨さを追いかける教皇。でもカトリックの国々。教皇は結構後ろ姿から撮影される。かなりの年だと思うが、情熱に満ちている。帽子の白とか赤は?
性的虐待とかイスラム教との対立とか、教皇のメッセージの力は大きい。
キリスト教の先住民への植民地的犯罪も謝っている。何てインテリだろう。ヒロシマもあった。

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えみり