碁盤斬りのレビュー・感想・評価
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タイトルが秀逸
白石和彌監督初の時代劇。持ち味のケレン味は控えめにして、自然光や蝋燭の灯で濃淡をつけた画面に、流麗な音楽を乗せて、意外なほどかっちりした本格時代劇に仕上げている。
物語は、古典落語の人情噺に、仇討ちを組み合わせたとのことだが、仇討ちパートの方が強い印象を残す。元ネタの50両紛失の嫌疑云々の描写は少し薄めに感じた。
それにしても、ネタバレになるが、タイトルが秀逸。仇討ち話を付け加えたことで、斬ったのは碁盤イコール自らのアイデンティティであり、だからこそあのラストシーンになった、という説得力を与えている。
草彅剛は、髷姿もやつれた姿も似合っていた。ただし、話し方は優しくて現代調。敵役の斎藤工も現代調。國村隼、奥野瑛太がはまっていたが、何より嬉しかったのは久々の小泉今日子。主人公が娘を引き取りに来た際のセリフには、ぐっときた。
劇場はシニア層で結構入っていた。若い人でも見やすいと思うが、今だったら、コンプラ上、人身売買の問題ありと見えるかもしれない。
江戸にいるかのような空気感
江戸の暗闇を体現出来るような映像美。時代劇を観て初めて自分もそこにいたかのような感覚を持てる空気感を感じられました。草彅剛さんは言うまでもなくそこには居なく、柳田格之進でした。小泉今日子さんも素敵でしたが、もう少し辛酸をなめ尽くした妖艶な方の立ち振舞いでのお芝居も見たかったです。吉原へ走る空の色も本当に美しく、もっと細かく映像をみたいので何度かリピートするつもりです。
草薙の狂気の演技が光った。 藩を追われて,貧乏に暮らす武士とその娘...
草薙の狂気の演技が光った。
藩を追われて,貧乏に暮らす武士とその娘。その理由は後からわかるストーリーだ。
後半で妻の死の理由がわかり仇討ちを決心した後の草薙の演技は引き込まれた。
ただ、正直、碁が全くわからないため,入り込めない部分もあった。そして、娘を吉原に売ったお金で仇討ちして奥さんが喜ぶかなぁと疑問。嫌疑をかけられて武士として面目が立たないというが、娘と天秤にかけるかなぁ。
間に合わなかったら遊女なわけだ。ちょっと微妙な気持ちになった。
《ネタバレ》設定にしたがネタバレはしない。 情報少な目で観た方が楽...
《ネタバレ》設定にしたがネタバレはしない。
情報少な目で観た方が楽しめると感じたから。
監督の白石和彌らしさが、少しずつ 少しずつ出て来て 途中から人間が生きて行く上での厳しさと非情さがジワリ ジワリと出てくる。
最初の方は良い人しか出てこない。なので「悪人はまだ出ないのか」と後の期待値が上がる。
先程も書いたが 事前情報が無い方が、私的には良かったかも知れない。映画ドットコムの簡単な解説と、劇場での予告編を見ただけだったが、、、
だから元になった古典落語の演目「柳田格之進」はYouTubeなんかで聴けるが映画鑑賞後が良いと思う。他人の感想なんかは後で知るのが良いだろうと思う。
物語の展開は現代人の自分には理解しづらく、納得出来ない行動をとる人物が出てくるので「線引きが分からない」と不思議な感覚になった。「分からない」よりは「間違った判断では?」と思った。しかしそれが「武士の一分」なのか。
しかし「その決意と行動」のせいで最後の方に行くにつれてどんどん緊迫して行く。
『たそがれ清兵衛』(2002)、『隠し剣 鬼の爪』(2004)、『武士の一分』(2006)を、また観たくなった。
驚愕!! 時代劇の主人公でこれだけ〝自分大好き〟で他者への人情味が薄っぺらい人は初めて!
時代劇って、ジャンルとしてはほぼ人情ものだと思ってました。水戸黄門をはじめ、殿様系、奉行所系、捕物帖系、必殺系…。人情ものですから、当然、主人公は他者の情感に敏感で、思い遣る気持ちも強い。
ところが、この物語の主人公は、自分本位にもほどがある!と言いたくなるくらい、自分第一なのです。
・清廉潔白!?
ご自身の信念としては大層立派ですが、藩(役所)の中間管理職としては、処罰対象者の更生の道を残すとか、組織として贈賄の根を断つ工夫努力をして再発防止に努めるとかの対処をしていないのはいささか人としての度量が狭いのではないか。ケースバイケースの対応をせずに、自分の価値観に基づく公正さ(正義)に溺れすぎな気がする。
あのラストからすると、斎藤工の言い分にも相当な真実があり、主人公も思い当たることが多々あった、ということだと思うが、左門の協力を得ればいいのに追い返して、ひとりでやろうとするのがどうにも、自分の納得感が優先で本当に追われた人たちのためなのか…
*囲碁はやったことがないので何も知らないのですが、打ち方(棋風?)に汚いとか公正でないという概念があるのでしょうか?目に砂をかけるとか、素手の戦いに武器を持ち込む、みたいな不正が、囲碁の盤上の戦いにおいて存在するという部分の意味がよく理解できませんでした。
・汚名を着せられたのが恥で切腹!?
いやいや、あの場にいたのは他ならぬあなたなのだから、トイレ(厠)に落としたのではないか、途中の廊下や庭に落としていないか、などと記憶を辿って、屋敷内をみんなで捜索するよう進言すればすぐに見つかったのに。やるべきことをひとつも試さないで、武士の名誉を守るとかなんとか。自分の美学に殉じるといえば聞こえは良いけど、やってないという確信が有るのだったら、両替屋の中に犯人、もしくは勘違いした人がいるということなので、両替屋の人たちへの信頼や人情に訴えるという発想がそもそもないということになる。ましてや、汚名を着せられたまま切腹した「恥ずかしい侍の娘」になってしまう娘の立場への配慮も全くないではないか。
・もし、出てきたらお前と主人の首をもらう!?
これってカスハラじゃないですか。
顧客を疑った担当者に苦情を言うのは分かるが、店側に責任があった場合、辞表を書け!分かっているとおもうが、お前の責任者も一緒に辞表を出すんだからな。約束だからな!とあの状況で強要するのはいくら(無実なのに)万引きを疑われた顧客の立場だとしても行き過ぎじゃないですか?というか、時代劇の主人公としては器が小さくないですか。
旧来の時代劇における人情味あふれた主人公であれば、一度は疑われても、相手側が本当に悪辣な連中でない場合には、ちゃんと逃げ道を用意して過ちを正すチャンス(更生機会)を与えてくれます。
・武士の本懐達成と娘の身売りを天秤にかけちゃうんだ!!
囲碁や将棋その他なんでもいいのですが、ある種のゲームにおいて、それなりの達人領域に至った人物であれば、リスクと目的達成の可能性を考えることについてかなりの経験値があるはず。娘の負うリスクに見合うほどの勝算がまったくない旅にそのタイミングで出ますか!?
(未解決の)50両について何らかの落とし前をつけるまでの時間の猶予なら、娘を巻き込むのではなく、あれだけ中身の濃い対局を重ねてきた両替屋の主人(國村さん)に頼めばいいではないか。番頭や周囲の人間の疑いに惑わされないくらい、お互いの人物を分かり合えているのではないか。囲碁が重要なテーマのドラマにしては囲碁の対戦を通じて生じる直感的な信頼関係やそこから生じる葛藤などの描写があまりに薄い。
首ふたつと碁盤を天秤にかけて釣り合わせることになった展開がどうにも空々しくて、これだけの俳優陣の映画なのに、と悲しくなりました。
【あまりにビックリしたので追記】
他の皆さまのレビューは、いつも自分が投稿してから拝読するのですが、この映画に関しての感想がこれほど乖離していることにビックリ!
あまりの違いに、「大丈夫か、自分?」と問いかけるケースがなんだか今年は多い気がする。
今年の自分、本当に大丈夫なのか?
俳優・草彅剛
本当に、最初から最後まで
ザ俳優=草彅剛さんでしたね。
テレビでミッドナイト・スワンを
観てこの映画を拝見したので
そう思ったかも知れませんが...
カメレオン俳優見たいになられて
きましたね。素晴らしかったです。
星が3の理由は主演の
草彅さんは大変に
良かったのですが、
作品そのもの自体が
中途半端な感じがしました。
もう少し父親と娘の間の芯になる
話があっても良かったのではと
思いました。
白石監督の独特の世界観を
最小限に抑えに抑えたのなら、
草彅さんと清原さんとのシーンを
もう2、3広げて欲しかったです。
落語好きなので、何度か『柳田格之進』はきいたことはあるのですが、ど...
落語好きなので、何度か『柳田格之進』はきいたことはあるのですが、どなたの噺にも柴田は出てくることはなかったと思います。
映画では柴田のパートが結構な尺を使って描かれていて、より感動を誘うものになっていました。
時代劇ものは滅多に観ないですが、やはり観客の年齢層は高めで、隣のおじさんは鼻ズルズルいわしてはりました。
そして後ろの方では何回も電話受けて話すオジ。落語会でもこういう人いますよねw
もう一人の主役國村準さんの魅力を堪能
草彅剛さんは大河で品のある徳川慶喜役の好演が大変印象に残っており、今回は娘と貧しくも仲睦まじく静かに過ごす柔らか格之進役も大変良かったです。
そして何よりも國村準さんがもう一人の主人公のように人間味が溢れる演技をされていてそれがドラマとして魅力を増し、2人が碁盤を挟み勝負の中で会話するようなやり取りに愛おしさを感じた。
囲碁の前では身分と年齢は関係ない、碁盤に現れる真っ直ぐな格之進の心に源兵衛が惹かれて人生観も変わっていく様が前半の核となっていた。
しかし、後半は柳田家に起こった悲劇の真相や金銭に纏わるイザコザにより、武士と商人との生き方や責任の考え方が違うことで…。もどかしかったです。
個人的にはお絹役の清原さんの透明感や父を想う純真さがハマり役でした。そして与吉役の大志くん、私はずっとずーーーと貴方の頼りなさに呆れて許せなかったよもうっ!!お絹ちゃんとは釣り合わない!!
クライマックスもあんな事があったのに急展開な柳田家と萬屋家となり橋折感が拭えなかった。それでも久しぶりに良い時代劇を鑑賞し満足度は高かったです。
楽しめました
映像と音が美しく、風情と江戸時代が感じられ最後まで真剣に観てられる映画でした。
感情に合わせた音の使い方が、最高でした。
俳優の方達皆さんの演技がはまっていて見応えがありました。
若手の清原果耶さんや中川大志さんもベテランの方達に見劣りせずにお芝居をされていて素晴らしかったです。
今後も益々、演技の重みをきちんと理解されながら成長し良いお芝居をされていくお2人に感じました。
清原果耶さんの凛とした佇まいが、あの若さで表現できてしまうのは、生まれ持った才能なんだろうなとしか言葉しか見当たらないくらい、素晴らしいさを感じてしまいました。
きょんきょんの演技も良かった。
沢山の方に観ていただきたい映画です!
信念に基づき真っ直ぐに突き進み、周りを巻き込む人
公開まもないのに、2,3組しかお客がいない。田舎だからしょうがないが、少し残念。
時代劇や歴史物は苦手だが、苦手な私でも楽しめる内容だった。
源兵衛は柳田がお金を盗ったとは、1ミリも思っていないのに、お絹が遊郭に身売りして工面した50両を、源兵衛の息子に渡してしまうというのは、盗んでもいないのに、なぜ?と火に油をそそぐような、余計なトラブルを起こす人だなと思った。
他にもいろいろとモヤモヤする場面はあったが、ハラハラドキドキ、エンタメ映画として最後まで楽しめた。
●蝋燭の火や桜、囲碁の撮り方に工夫があり、映画のこういうところが好き。
●清原果耶さん素敵だし、キョンキョン、國村準もいい味だしていて、好きになった。
時代劇っていいね
久しぶりに落ち着いて映画を見た気がする。ところどころ、「ん?」と思うシーンがあったけれど、まー気にしない。現代人の感覚からすると、どーしてそうなるの?と言いたくなるのだけれど。そこが映画が映画たるところなのだろう。
ラストは藩主の掛け軸を手に入れてお詫び行脚に出かけるけれど、なぜ?こんな別れ方を?
清廉潔白で生きてきた格之進、もう2度囲碁は打てないのだろうな。
武士の誇りと人情と
江戸庶民の暮らしぶりを丁寧に描いていて、落ち着いた色合いの映像も美しいです。草彅さんの演技は意外と良かったし、清原果耶さんがとても良かったです。
でもストーリーが適当過ぎます。盗みの疑いをかけられて、生き恥を晒す訳にはゆかぬ、切腹じゃ〰〰って、藩を追われた時は死ななかったんだし、相手が奉行所に訴え出たわけでもないし、ここは突っぱねればいいのでは?と思いました。
『金を渡したりしたら盗んだ事を認める事になるんじゃないの!』 と言うお絹さんに賛成。
囲碁は石で囲った面積の広い方が勝ち。
相手の石を隙間なく囲ってしまえば相手の石を取る(殺す)事も出来る。
清貧で清廉潔白、静かな心でお互いに囲い合う過程を楽しむ格之進が、妻を殺された事情を聞いてから復讐心に燃え、相手の石を殺しに掛かる荒ぶれた碁を打つ様になる。
正直で頑固者の格之進が約束の刻限を過ぎた事を許され娘を助け出した時、人を許す優しさを覚えたんだと思う。
かつて自分が殿様に直訴した為に藩を追われて苦労している者たちに、殿様の大事な巻物をごっちゃんして金に換えて訪ねに行く。
頑固なまでに間違ったことを許さなかった格之進に人情と言う奥深さが備わって行く所が見所でした。
その変化を草薙剛さんは非常に良く演技されていたと思いました。
四角張った武士の懺悔
丁寧に作り上げた上品な時代劇でした。
出演者の皆様好演されており、國村隼・小泉今日子さんがよかったです。
囲碁のシーンが多いので、その知識が有る方が楽しめます。
映画である様に、江戸時代に老若男女が囲碁に親しんでいたのでしょうね。
50両の紛失や年の瀬や身売りなど、古典落語を元にしたシナリオでした。
落語の登場人物は変人や粗忽者が多く、落語家が「説明やツッコミ」を交えて演じるので、強引なストーリー展開でも良いのですが、この映画にはありません。
主人公の柳田格之進の人となりをわかってもらえる様な、演出がもう少し多ければよかったと思います。
年末の廓の大門前のシーンを、登場人物を増やし膨らませてほしかったです。
源兵衛と弥吉の互いを庇い合うシーンが好きです。
題名バレしていたのは、お愛嬌です。
武士とはこうありたいもの
囲碁をテーマにしていたので、江戸文化に興味がない故、鑑賞するか、悩みましたが、予告と評価が良かったので鑑賞しました。
でも題名は「武士の本分」等にして、時代劇を前面に出し、囲碁は副題に入れ込む程度にした方が、興行的にも良かった気がします。
作品的には、松竹でなくとも"松竹クオリティ"で製作された時代劇なので、考証等にはまったく問題はない。
武士は"己の顔"のみを重んじる為に、家族の事を、ないがしろに軽視しており、実娘はどうでも良いような行動が、現代人としては、気になった。
原作(落語)が、そうなっているのなら、仕方がないが、その辺は今ふうに、娘の安否を最大限に心配する父親として、改編した方が良かったかもしれない。
蝋燭(ろうそく)自体は映るし、多少の炎効果も映るが、暗いところでの 繊細な揺らぎと影の影響がまるで表現されていない事から
屋内シーンは、それなりの照明をつけての撮影を行い、その後にCG補正をしていると思われます。
よって、微妙な蝋燭効果が上手く出ていないので、作品に重みを削ってしまいまっています。
数カットで良いから、その辺の魅せる遊びカットを入れて欲しかった。
また風の音や風を表現する映像も 間として、入れ込む必要性がある場面もあった。
そういった、自然を感じさせる風情こそが、江戸時代劇だと思います。
細かな効果音にも、突き抜けがなかった。
最後は、袴に裃(かみしも)を着たまま、軽装で歩いていたので、結局は士官できたのでしょう。
美形で、物静かな草薙さんは、武士としての一文をじゅうぶん魅せてくれました。 <主演賞>
確かに、空気を読まない"きまじめな役人"は、いかがなものかと、考えさせられました。
でも、下級役人・侍は それでよいと思う。
全ての人が、温情を考えるのではなく、温情は頭だけが 判断すべき事。
これが重要です。
同じジャニーズの木村拓哉さんが同じように寝取られた「武士の一分(2006)」と共に観ると良いと思う。
そして、自然を感じる時代劇として「その木戸を通って(1993年:市川崑監督)]を鑑賞する事をお勧めします。
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