パスト ライブス 再会のレビュー・感想・評価
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映画の中の時間は早く進むが映画館の中の時間はゆっくり進む
1組の男女の3つの時代の姿が描かれます。
(小学生時代、20代前半、30代半ば 特段何も起きずに淡々と話が進みます)
映画の中の時間は早く進みますが、映画館のなかの時間はゆっくり進みました。
(まあ、主観的なものです。)
アカデミー賞(作品賞)にノミネートされて評価が高いのですが理由は何なんでしょうか?
よくわかりませんでした。
前世とか輪廻転生とか東洋的な趣が西欧の方にウケたんでしょうかね・・・
秀逸なラストシーンに心震えます
例によって「えっ、これでアカデミー賞の作品賞と脚本賞のノミネート映画?」って驚きが真っ先に過る。「バービー」やら「オッペンハイマー」と同じ土俵で競うなんてあり得ないレベルとも。誰が見たって一目で見て分かる極端に違う製作費からして、同じ鑑賞料金だなんて理不尽なレベル。だって何にも起きないのですよ本当に、と物足りないとも確かに思う。
しかし、これらは米国での評価及び賞レースでの俎上の騒ぎによって私達はこうして鑑賞しているからこその反応。期待満々、ラブ・ストーリーの傑作誕生なんて煽られれば、そんなリアクションもむべなるかな。もしベルリンやら米国で評判にならなければ決して日本での公開はスルーだったでしょう。
そんな小さなラブストーリーとして最初に接すれば、なんとピュアで、なんと余白の多い斬新な佳作だろうと思うハズ。どうやら監督自らの体験を反映させたと思われる、だからなんのドラマもないのですよ。二転三転のドラマなんて普通は映画の中だけなのですよ、創作しないとボーイ・ミーツ・ガールなんて無理なんですよ。正真正銘何にも起こらなかった実話をそのまんま精緻に描いた、奇跡のような作品なのです。
その結果、24年間の思いが凝縮した現代のパートに、もっと正確に言えば男へソンが女ノラのアパートを出、ウーバー・タクシーが来るまで、濃紺のシャッターの前で佇む2人の2分間こそが本作の総てと言っても過言ではないでしょう。アパートの階段降りて、左側に歩く2人を横移動のカメラが追う、そしてノラ1人が今度は右移動でアパートに戻ると、夫アーサーがなんと階段の途中で座って待っている! アーサーが画面に入った瞬間に私の涙腺は一瞬にして崩壊しました。ちょっと近年稀なる秀逸なクライマックス・シーンです。
1973年のフランス映画「離愁」(フランス語: Le train)を思い出しました。ナチ占領下のフランスが舞台で、本作より遥かにドラマチックではあるけれど、全てはラストショットの一瞬に昇華するような作劇なのです。はあ、もう半世紀前ですか。「男と女」のジャン=ルイ・トランティニャンと「夕なぎ」のロミー・シュナイダーのトップスター同志の主演、ラストのシュナイダーの泣き崩れる一瞬が素晴らしい。話が逸れましたが、「離愁」オススメですよ。
この圧巻のラストのために、12歳のソウル時代、24歳の学生の頃には女は既に移住先のトロントからニューヨークにまで移り住んでいる。ここで2人が出会うわけではないのが凄い。ただただスカイプでテレビ電話を繰り返しただけ。やっと直接再会するのはなんと24年後のニューヨークで。ほんの子供の付き合いを温存していたわけで、それがスカイプで増強されたと言うべきでしょう。それぞれ別の男女と交際しても心の奥に大切にしまったままだったのでしょう。それを本作では「前世」との繋がりとして表現する。2人の「来世」に期待しましょう。
こんなに落ち着いたカメラワークも久しぶり、しっとりと芝居を見せる。女ノラはいかにも快活で監督自らが反映しているのでしょう。監督は初めてのようですがライターとして米国で認められた過去があり、ノラに被ります。男へソンがまたいい男で、兵役の済ませた立派な体躯に優しさと繊細が滲みます。額の「逆富士」が印象的。
女を挟んでバーカウンターの両サイドに男と夫が並ぶ。このショットは映画の冒頭にも登場する。カウンターの反対側にいるであろう2人の会話が聞こえてくる仕掛け。「あの3人の関係は?」と、人を観察するよくある会話ですよね。言い換えればこうして並んだ3人をこれから説明しますねと言ってるようなもの。そう、私達が普段目にする赤の他人の人間模様を勝手に推測して楽しむ。そんな映画なのかも知れません。
期待度○鑑賞後の満足度○ ♪「前世」「今世」「来世」あの人に会ったなら~♪
互いを大切にした3人の大人たち
もしもあのタイミングで選ばなかった人生を選んでいたとしたら…。
それを想像はしても、無邪気に選択し直せるようなメンタリティは、多くの人は持ち合わせていない。
だからこそ、人々は映画に自分の人生を重ねて、選ばなかった人生をあれこれ思い描いたり、選んでいる今の人生を、改めてそっと肯定したりするのだと思う。
この映画は、そうした私たちの心の動きにとても近い形でストーリーが展開していく。
ぶっちゃけて言うと、この映画では、劇的なことは何も起きない。
というより、登場人物たちが何も起こさない。
けれど、意図的に何も起こさないという大人の振る舞いが、観ているこちらに、こんなにも豊かな思いを与えてくれるのかと気付かされた。
ラストシーンがいい。
永遠に思えるような、もどかしいくらい短いような…。
セリフも、彼らの動きもシンプルだが、足りないものは一切なく、しみじみと深い余韻を残す。
それぞれの街の美しい風景にも心惹かれる一作。
ノラの夫であるアーサー役の彼、ファーストカウの料理人役の人と知って納得。
気持ちを内面に閉じ込めて抑制を効かせつつ、逆に観客に豊かな思いを抱かせる演技がやっぱり素晴らしい。
3人の男女の複雑な心理状態を描いた感じの作品。 本年度ベスト級。
鑑賞中、予想外な展開に期待するものの何も起こらず。
登場人物達が話している言葉と本心が食い違っている感じにモヤモヤする。
でも、これが現実だと思わせてくれた感じ。
相思相愛の小学生のノラとヘソン。
いつも一緒に行動する二人。
ノラが両親の都合でアメリカに移住。
疎遠となった2人が12年後にSNSで繋がり毎日の様にオンラインで楽しそうに会話する展開。
幸せそうな2人の笑顔が印象的。
そんなノラがある理由でオンラインでの会話をやめようとヘソンに進言し再び疎遠に。
その後ノラがアメリカ人と結婚するものの、再び12年後に再開するストーリー。
自分はヘソン目線で鑑賞したけど、男の未練がましい姿が自分と被る(笑)
既に結婚して自立しているノラを悩ませる感じが悩ましい(笑)
ノラやヘソン。ノラの旦那が話している言葉は本心で言っている感じが全くしない(笑)
輪廻転生のセリフ。
自分達の行いを正当化したい言葉として使っていた感じで切ない。
美しい映像に登場人物達の、どうにもならない現実を対比させていた感じで観賞後の心理状態は複雑だった。
韓国は残業代が出ないのにはビックリしました( ´∀`)
嗚呼、せつない
初恋を美しい思い出として、心の奥にしまっている男にとっては、全身で共感してしまって、もうヤバイ。
「どうしてあの時、私を探していたの?」ノラが無神経な質問をヘソンにする。バカなフリして聞くんだったら、まだいいんだけど、真顔で質問するから「お前、バカなの?」って大声でツッコミたくなった。
実は自分もFacebookが流行っていた時に、突然、中学校時代の女の子から連絡があった。その子は、初恋の子で、見事にフラれている。頭がよくて、可愛くて、高嶺の花。
懐かしいから連絡したって言葉を読んで、何かを期待して彼女のFacebookを見てみるとハイスペ男と結婚して瀟洒な家で幸せそうにしている写真がいっぱい。
やっぱり自分には手が届かなかったんだと、2度目の失恋というよりも敗北感をたっぷり味わうことに。
だからヘソンのセリフ一言一言に胸を締め付けられる。
最後は、何かを期待したんだけどね。
嗚呼、せつない。
思っていたよりグイグイ来ない
イニョン〜もしも、あの時・・・〜‼️
この作品は人間の一生、人生を凝縮したような、ロマンチックで切ないラブ・ストーリー‼️二人の韓国人男女の別れと再会を、24年前、12年前、現在という3つの時間軸で描き出す構成‼️24年前、お互い好意を抱くノラとヘソンは、ノラの両親のニューヨーク移住で離れ離れになってしまう。12年前、オンラインで再会した二人は、気持ちを伝えきれないまま、すれ違う。そして現在、ニューヨークでノラとヘソンは再会する・・・‼️我々が人生を送る中で度々思う事‼️あの時、違った選択をしていれば、今頃どんな人生を送っているだろう⁉️そんな人生のイニョン(縁)を24年間の時間の中で爽やかに描き出しています‼️24年前の幼い故の純粋でストレートな想い、12年前の相手を想っていながらも若さ故に自分のやりたい事を優先させてしまったり、そして現在、大人になって自分や相手の生活や立場を尊重せざるをえない気持ち‼️ホントにリアルな人間の気持ち、人生ですよね‼️韓国での幼少期、韓国とニューヨークでのオンラインでのやりとりも素敵なのですが、やはり出色は現在のニューヨークのパート‼️美しいニューヨークの夜景や、夕陽に照らされた回転木馬の前でのノラとヘソンの会話、フェリーから見る自由の女神‼️ホントにニューヨークに行きたくなる‼️脱線しますが自由の女神の内部はタイマツまで人が行けるようになってるんでしょうか⁉️ヒッチコックの「逃走迷路」‼️そんなニューヨークを舞台に繰り広げられるノラとヘソンのやりとり、会話の数々がホント胸に沁みる‼️「あなたが恋した12歳の私はもういない、あの時に置いてきた」「12年前、僕がニューヨークに来てたら?君がソウルを去らずに一緒に大人になっていたら?」そしてノラとヘソン、ノラの夫アーサーの3人がバーで語り合うシーンも、ハングル語で盛り上がるノラとヘソンの隅で、寂しそうなアーサーの描写も含め、ホントに素晴らしい‼️極めつけはラスト、ソウルへ帰るヘソンをノラが見送るシーン‼️「(来世で縁があるなら)その時会おう」と言うヘソンのセリフ‼️そして涙を流して泣くノラと、彼女を抱きしめるアーサー‼️ノラのその時の心情は⁉️ヘソンと結ばれた人生を思ったのか⁉️それともアーサーとの結婚生活の幸せを噛み締めたのか⁉️現在のパートに感動すれば感動するほど幼少期の思い出が光り輝き、12年前のオンラインのやりとりが切なくなってくる‼️ホントに深い‼️8000層もの想いを馳せられる恋愛映画の名作です‼️
会いたかった…僕らはまた映画に恋をする"映画の魔法"賞
ずっと探していたものがここにあった in アメリカ人が撮るよりも魅力的なNYという街で。自分の追い求めてきた夢や理想と、それらが手に入らない現実が、見事にハート(コア・核心)と言い換えられるエッセンスを最高密度に抽出しながら素敵な形で表現されていた。本作と恋に落ちるのにそう時間はかからない、あらゆる点で3層になっているドラマ、いや、8000層にも。そのあまりの愛しさに、スクリーンに釘付けになってしまった。最高にロマンチックで、途方もなく胸を締め付けられる切なさと静かな余韻がどこまでも私達を包み込むように残る。
『ビフォア・トリロジー』で『ロスト・イン・トランスレーション』で『エターナル・サンシャイン』のように普遍的なまでに力強く響く作家性、その語り口の言語化しきれない魅力・魔法が僕らを捉えて離さない。予告の締めやポスタービジュアルにも使われている観覧車の前に座る2人のショットが、やはり作品全体の象徴ショットだと思う。見つめ合う2人の間には明確に距離があって、3つの時代を彷彿とさせる3段の階段に、輪廻転生のように回る観覧車。主演2人の力も間違いなくある対照的なキャラクター。
オープニングシーンから引き込まれる。2つ(あるいは中国含む3つ)の街を対比的に捉えるエスタブリッシュ・ショットの美しさ。ヘサンがNYに上陸してから、入ってくるホテル内のショットの美しさには悶絶した。誰があのアングル見つけられるのか、という角度だけど、完璧に三分割法になっているし奥行きもしっかり感じる。豪雨の中、ホテルのロビーに座って過ごしているショットも、ドア枠の映り(影)で丁度見えるようになっている。…といった具合に、彼がノラと会うまでのモンタージュがあまりに魅力的かつ素晴らしい。
多くのアメリカ人監督が撮るよりも魅力的にこのニューヨークという街をレンズに収め、その世界中の人々を虜にする魅力をカメラを通してしっかりと捉えている。どのショットも素晴らしく、切実なまでにヒシヒシと意味・意図が伝わるようでいて、けど同時に永遠になぜそこまで魅力的(に見える)なのか解けない謎のように魅了され続ける。詳細な分析など要らないほどにどこまで魅力的に美しく撮るのか、どこまでも僕らの心に、瞼の裏に残り続ける素晴らしい画の数々。
NYの街を自由の女神とノラたちが見る構図も、移民にとってこの街や国が持つ意味を表しているようだった。自己実現のための存在証明。ユダヤ人(という点にも意味がある)の夫アーサーも"赤い糸で結ばれた運命の2人を邪魔するアメリカ白人"という感じでは決してなく、彼もまた本作にとって欠かすことのできない必然のキャラクターだ。演じるジョン・マガロの名演によって忘れられない人物となっている。
君は君だから僕は好きで、君は去っていく人…。"イニョン" 前世からの輪廻転生で運命のイタズラか摂理。例えば、実際に会って間もなく超ロングショットで歩く2人を構図の中で変わらぬ位置に据えたまま移動するパンなんかも、象徴的だった。こんなに近くにいるのに手の届かないもの。映画など見ていると結構よく出てくる台詞"See you in the next life."とはよく言ったもので、前前前世なんかより本作のほうがよっぽど前前前世だった。
P.S. スクリーンを出てすぐにサントラを聴き始めた。大人俳優に変わってからの2つ目の時代"12年前"のヘサン役ユ・テオが、イケメンにしたフルポン村上感少しあった。本作と『アイアン・クロー』どちらもずっと見たかった作品のため、日本公開の遅さにはヤキモキさせられたが、今週末公開A24ヤバすぎるだろという最強ラインナップ!! 日本の配給会社違うけど、これは勝ちに来たな。
勝手に関連作品『ビフォア』トリロジー、『ロスト・イン・トランスレーション』『エターナル・サンシャイン』『カモン・カモン』
主演女優に惹かれて鑑賞しました。
「A24いい」
ビォアサンセット
人生の片隅に置いておきたい秀作
映画チラシの色使いがあまりにも美しく、かつ韓国人(韓国が絡む)映画ということで数ヶ月前から見ることを決めていた映画。
客層は中年以上、やや女性多めな感じ。
ストーリーは宣伝通りのため、特に見所らしい箇所は無く。序盤の印象的なシーンは、12歳の2人の別れ際(坂道)。分かりやすく、ノラが上り坂、ヘソンは平坦な道に進むのですがここが今後の2人の人生の「格の違い」を表現していました。
この映画の秀逸なのは、合間シーンの音楽、風景描写の美しさです。中盤まではドラマチックな展開は薄く、ここちよい音楽風景シーンが淡々と流れます。
それが、後半の3人シーン以降で効いてきます。
疲れた時に、この映画の世界観に浸りたい、とっておきの一作となりました。
クールな女、未練の男のイニョンの物語
誰にもあるような過去の恋、そして再会。よくあるこのストーリーが魅力的に仕上がるのは逆説的だけどジョン・マガロの佇まいに依る所が大きい気がする。あんな美しい語学を学ぶ動機は聞いたことなかった。
2人とも今の自分が嫌いなわけじゃなくて、でも過去の自分達は愛おしい。過去の自分と今の自分が繋がってる感覚はどこか不思議で、それでいて心地いい。一種の非日常。曖昧なままの関係は尾を引いてしまいがちだけど、グレタ・リーは毅然としてて振る舞いがクール。ヘソンの潤む瞳とは少し対照的で、そこが凄くよくて、そして。
ラストシーンは音楽もよくて、たまらなかったな。
監督の実体験を投影しているのかなと思った。女性視点の昔の恋と今。これが男性目線だと違う物語になるかもしれない。アジア的な前世、縁の感覚は馴染み深くて、少し身近でシンパシーを感じてしまう素敵な映画だった。
好きです、この映画。
良い意味で抑揚のないストーリーのため、アカデミー賞作品賞受賞とまでは
いかないタイプの映画だと思いますが、私にとってはすごく好きな映画です。
8000層の人縁の中でのめぐり逢い。
どんな形で出会うのか別れるのかは都度違う。
来世で・・・。
死ぬ間際に思うならまだしも、
人生前半の30代男女がそれを望みながら現世を生き続けるのはつらい。
でも、成就しなかったからこその美しい記憶が、死ぬまでの50年を
輝かせてくれるのだと思います。
主役の二人はとびぬけて秀でているわけではないけれど、
どこにでもある人生を演じる上でとても現実的でラフな演技、すごく
よかったです。
普通の会社に普通の仕事、普通の給料、しかも一人っ子の長男。
条件先行の韓国社会での生きづらさをヘソンが体現してくれました。
思わず涙が込み上げましたが、しかし?
映画の初々しさ、みずみずしさに、思いがけず涙する。
鬼の目にも涙・・・でしょうか?
最後まで観たら後半はじわじわと感動の涙が込み上げてきました。
正直、世界中が絶賛とか、大げさだな・・・と思ってました。
(今も、そこまでの評価はありません)
成り行きで涙しましたが、よく考えると一筋縄では行かない映画。
(表と裏では見え方が真逆)
有名スターのいない良さ・・・とか。
長編映画初監督作で、それも自分の経験から生まれたという
セリーヌ・ソングさん。
大袈裟な表現もない、
泣かせの演出もない、
そんな清々しさ。
やはりヘソンを演じたユ・テオ。
一途で素朴に初恋の女性を思い続けた24年間、
とても共感出来る人だったんです。
ヘソンは韓国社会や自分の両親(家)そして仕事に
がんじがらめに縛られた生活を今も送っています。
憧れて大好きなナヨン(今はノラ)は、韓国から飛び立って移民した
勇敢な女性。
(親が新天地を求めたのですが、韓国人はかなり勇敢に世界に
進出しているようです)
ナヨンは12歳の時には成績をヘソンにたった一度抜かれただけで、
悔し泣きするほど強い性格。
そういう所もヘソンは好きだった。
その彼女が突然、視界から消えた、
移民して行ってしまった。
「突然・・・過ぎた・・・」と、つぶやく。
「韓国にいたらノーベル賞が取れない」
「だから外国に行く」
12年後(24歳)にオンラインで再会して、トロントと韓国で
オンライン・チャット。
懐かしさや思い出話で切なさも気持ちも盛り上がるものの、
お互いのキャリアを優先して会わずに、自然解消してしまう。
ここでもヘソンはナヨンにまた尋ねる。
「ナヨン、今の夢はなに?」
「ノーベル賞より、ビューリツァー賞かな?」
そして24年後にもヘソンはまた聞く。
「今の夢はなに?」
「トニー賞かな?」
(この野心こそがノラの本質なのだと思います)
この映画は韓国から実際に12歳でカナダを経てニューヨークに移民した
セリーヌ監督の実話に基づくから、なんと夫のアーサーと3人で食事したのも
事実とか。
そして今の夫で作家のアーサー(ジョン・マガロ)は、心の隅に、ある不安を
抱えているのです。
ノラ(ナヨン)はもしかしたら結婚はグリーンカード(永住権)を得るため?
それをちょっとだけ心配しています。
本当に彼女は愛してくれて結婚したのだろうか?
ノラが夫アーサーにヘソンを紹介する所はとでも良かった。
アーサーと自分の初恋の人との再会をオープンにすることにより、
再会はとても清潔なものになったから。
(でも自分の気持ちにブレーキをかける、そしてヘソンにも、
やんわりと牽制する効果も計算してます)
そしてアーサーが本当に優しい妻思いのいい人なので・・・
さすがに作家です(こんな経験は作品の素材になるもの)
この映画はサラリと淡く描いてるのが魅力なのだと思いますが、
よおく考えるとなかなかどうして、したたかな作品です。
ヘソンには捨てられない祖国、
捨てられない親や、しがらみ、
それを捨ててニューヨークという世界一の都市で劇作家として
多分戦場にいる初恋の人ナヨンが余計に輝いて見える・・
そんな気がして仕方ないのです。
初恋と24年後の再会を描いて、
「自由を求める」
「夢に向かって努力する」
そんなテーマを感じてしまうのでした。
たしかに韓国は日本と同じかそれ以上に女性の地位が低い。
ナヨン(ノラ)を演じたグレタ・リーさん。
勝ち気のかたまりに見えるお顔立ちです。
最後の別れで心残りのノラは、玄関階段で待ってる優しいアーサーに
泣きじゃくって慰めてもらう。
ヘソンはちょっとおひとよしでで都合良く描かれ過ぎかも。
ヘソンの言い分や本音も聞いてみたいです。
女目線の映画だと、公平に考えると私には思えてしまうんです。
もしも
忘れられない恋
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