丘の上の本屋さん

劇場公開日:

丘の上の本屋さん

解説・あらすじ

「イタリアの最も美しい村」のひとつに数えられるチビテッラ・デル・トロントを舞台に、年齢や国籍の違いを超え、本を通して老人と少年が交流する姿を描いたハートウォーミングストーリー。

イタリアの風光明媚な丘陵地帯を見下ろす丘の上にある、小さな古書店。店主のリベロはある日、店の外で本を眺めていた移民の少年エシエンに声を掛ける。好奇心旺盛なエシエンを気に入ったリベロは次々と店の本を貸し与え、エシエンは、リベロが語る読書の素晴らしさに熱心に耳を傾ける。本の感想を語り合ううちに、2人は年齢や国籍を超えた友情を築いていく。

店主リベロ役は「フォードvsフェラーリ」「我が名はヴェンデッタ」のレモ・ジローネ。

2021年製作/84分/G/イタリア
原題または英題:Il diritto alla felicita
配給:ミモザフィルムズ
劇場公開日:2023年3月3日

スタッフ・キャスト

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映画レビュー

3.5ページをめくる音

2025年3月12日
Androidアプリから投稿

古本屋、古書店はとても楽しい。
そこにある本には必ず元の持ち主がいる。
読んだかどうかよりも、それを手にすることとなった経緯が気になる。
読みグセがついていたり、背表紙が傷んでいたりページがけばだっている本を手にすると漂流物を拾ったかのような気持ちになる。
図書館でも同様の気持ちになることがある。
リベロとエシエンの交流や店の佇まいがステキな作品ではあるが、この作品で一番ステキなところは「この続きが気になって仕方ない」気持ちをページをめくる音とともに思い出せるところだ。

ここ数年、地方にいくと素敵な図書館が増えていて立ち寄ることが楽しみになっている。
新しい図書館のスタイルも素敵だし、昔ながらのスタイルだって捨てたもんじゃない。
読みたい本を探すのも楽しいが、お気に入りの本を誰かが読んだ形跡があるかどうか確かめるのが好きだ。私が昔に書いた手紙を誰かが受け取ってくれた気分になるから。

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イズボペ

4.5リベロとの読書会 君なら死ぬ前に 最期に どんな本を大切な人に託すか

2025年3月31日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

····持ち主が代わり
新たな視線に触れるたび
本は力を得る
(『風の影』カルロス・ルイス・サフォン)

映画が始まってじきに提示された名言だ。
なるほど、そのような視点は持っていなかった。これは古書を扱う人間ならではの逆説だろう。古い書籍自体が生命を持ち、所有者の間を転々とする毎に読み手の力を吸収して、人間をば感化させる歴史の重みを積み増してゆく。そうして本が更に力を得てゆくのだと。
未読だが、その「風の影」の骨格を下敷きにしてこの映画も作られているようだ。《古書店の少年と謎の経歴の老作家が出会って時空と国境を超えた本の世界を旅する内容》、だとのこと。

本作の舞台としては、「パソコンでの検索と通販取り寄せ」は普及はしているが、スマホはまだ氾濫していない、という感じの時代設定。

良作だった。
コンセプトとしては、恐らく本好きの少年たちを対象とした学習教材風の作りで、その制作に当たってはUNICEFも応援してくれているらしい。そしてすべての子供たちが安心して良書に出会える環境をと願っての作品だ。

僕も若い頃は本屋に入り浸り、図書委員を務め、神田の古書店街を歩いたものだ。
書店の乾いたひんやりした空気と、紙の匂い。インクの匂い。そして古本のホコリと黴の匂い・・。
学校の図書館ならば誰がこの本を手にしたのかを「読書カード」の記名から伺い知る楽しみもあった。挟んであった私物の栞や、傍線にも読者に起こった何がしかの物語の痕跡がある。

そして
「本屋や図書館に行くと何故トイレに行きたくなるのか」という研究は読んだ事がある(笑)

本作「丘の上の本屋さん」には様々なお客が出入りする。
カフェのお兄さん、牧師さん、自著への誇りを語る先生、初版本マニア、買い取りで小遣いを稼ぐ男、そしてネオ・ナチもやってくる。
そしてその客のすべてに対して店主のリベロが実に味のある言葉で応じるのだ。

「2500年前にこの本を書いたイソップは君の肌と同じ色のアフリカ人だ」と知らされた時の、エシエンの背中と歩幅に気付いたろうか。
移民の子との読書会は素晴らしいし、選書がランクアップするごとに変わってゆく、店主の期待と少年の成長の表情も見どころだ。
著者との邂逅。ならびに書物によって人生が動かされる瞬間がスクリーンに映る。

(ただねぇ、「星の王子さま」を「天ぷらを触った手」で受け取らせるかなぁ?
あのシーンには アアアッ!と思わず声が出たし、ドン引き。
これ、監督が本をあんまり大切にしない人である事がバレているね。あり得ないお行儀の悪さですから、あそこは大変に残念。
景色も音楽も良いのに、どこかテレビドラマ風の、かつ学校放送みたいな安っぽいカメラもあって、そこ、少し星を減らした)。

でもエシエンのような年代の子たちにとっては、本への興味を沸き立たせてくれるし、本屋にも足が向く。そして本好きの大人たちが世の中にはいるって事にも出会える ―
そうしたエシエン世代のための、シンプルに徹した、しみじみとしたいい映画だったと思う。

穏やかななリベロ。
自身の過去について、彼はまったく語らないが、壮絶なものを経てきているのではないか。ユダヤ人であるとか、父親がパルチザンでナチかムッソリーニに殺されたとか。
そういう人たちはヨーロッパにはたくさんいるのだから。

そして僕はつい最近「星の王子さま」を、引きこもりの女の子にプレゼントしたこともあり、
「最後に贈る本に想いを託す」―という大人たちの祈りも、強く感じた本作だった。
(レビュー有り、ミュージカル版「星の王子さま」)。

・・・・・・・・・・・・・

追記

で、「世界人権宣言」ですか?(笑)

「ところであなたはあなたのお国の憲法は何回読まれましたか? 私は日本国憲法を3回読みました」と語る日本に住む外国の方のエピソードを読んだ事がある。
読んだ? 読んだことある? ちゃんと知ってた?

「どうおもったかね」
「どこが面白かったかい」
「一言でまとめると?」
リベロはそう訊くよ。

たーいーへーんー! (焦っ)

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きりん

3.0淡々と

2025年3月27日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD
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ジャーニー

2.5さまざまな人々

2025年3月8日
iPhoneアプリから投稿

最後の終わり方がなぁ…
そうくるか…
もう少し、物語り中盤で伏線が欲しかったなぁ。
主人公の男の子がやや微妙な印象。
街の雰囲気や景色は綺麗だった。

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