せかいのおきくのレビュー・感想・評価
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壮絶なエピソードもあるけど、話はたんたんと。
安政、万延、文久という年号が出てくる。後数年もすると時代は明治に変わるそんな時代。
武士の娘として生まれたが、長屋で貧しい暮らしを送るおきく、汚穢やという最低辺の仕事をしながら(実際、ばかにされるエピソードも数々)生活を送る二人の若者、彼らは誰かを恨むこともなく、明るく助け合いながら真面目に生きている。あまりにも酷い状況には敢えて笑ってやり過ごす(おやじギャグ言って、コレ笑うトコなんですけど、なんてネ)。矢亮クン、ボクも笑わせてもらった。ホントに良い奴なんだ、彼らは。そしておきくと汚穢やの若者の一人中次との間に生まれる淡い恋。
彼らだけでなく人々の生活はあまりに貧しい。それでも現代の人々と心の奥底にあるものは変わらないんだろうな。そんなことを考えながら観ました。
主人公の3人がとても愛おしくなる
江戸時代の底辺で生きる3人の若者の日常が淡々と描かれる。おきくが喉を切られて声を失う以外、大きな出来事は何も起こらないが、3人の喜怒哀楽の様子を観ているうちに、彼らと彼女がとても愛おしく感じられるようになる。
なかでも、古風な顔立ちの黒木華は、時代劇にピッタリとはまっていて、日本人の原初的な美しさを体現しているかのようだった。
そうした古風な趣きは、スタンダードサイズの白黒の画面からも感じられるのだが、頻繁に出てくる糞尿の描写を見るにつけ、白黒で良かったとも思ってしまった。
また、各章の最後を締めくくるように映し出されるカラーの場面も印象的なのだが、最後の2章だけ、カラーにならなかったのは、何か意味があるのだろうか?特に、おきくと中次が抱き合う雪のシーンこそ、カラーで観たかったと思えるのである。
終盤、淡々とした物語に、どのような形で決着を付けるのだろうかと期待していたが、それをはぐらかすかのようなエンディングには、やはり物足りなさを感じざるを得ない。
ただ、その一方で、「いいものを観た」という後味の良さは確かに残った。
ストーリー、演者、モノクロの良さが冴える作品だが、、
昨日封切り、第52回ロッテルダム国際映画祭ビッグスクリーンコンペティション部門ワールドプレミアとなった作品を観賞。
激動の江戸末期の安政年間、汲み取りを商いとする汚穢屋の若者、元武家の娘の人間模様を、庶民が暮らす貧乏長屋を中心に、基本モノクロで描く。
主演の黒木華をはじめ、男優陣が好演。石橋蓮司、佐藤浩市、真木蔵人らのバイプレーヤーがいい仕事をしており、ぬくもりを感じる映画。
モノクロならでは美しい映像を存分に味わえるのだが、モノクロをカラー映像に切り替えるシーンがごく僅かにある。その演出は少し不思議に感じた。
エンディング近くに出てくる台詞は「青春」。でも、青春ドラマとして締め括って欲しくなかった作品。
いとおしい、愛おしい作品。
なにこれ何この映画、嘘でしょ超面白いんですけど…。うっそだあ、マジか、うーわっ、ってぐらい面白く、そして素敵な映画だったんだよ。小田和正のかの有名な名曲タイトルぐらい語彙力がもう…。この映画の世界観やストーリーを上手く説明が出来ないや。
江戸時代末期、貧乏な生活をしている若者達の、リアルな暮らし・世界を描いている、決してきれいではないけれど、だけど本当に青春がここにあるなあと強く感じられる作品。私は、知識が乏しいせいか、時代劇や洋画は文化を理解したりするのに時間がかかって心にすんなりとは入ってこない為敬遠しがちなのだが、そんな時代劇や洋画でも、たまに私の心にいとも簡単に侵入してくるものもある。それは、ひとなつこい後輩のように、すんなりと人の懐に入ってくる。「せかいのおきく」もまさにそうだった。何故か…。こんなに苦しくて辛いのにな。おそらくだけど、ベースが、私の好きなジャンルでもある、庶民の生活をリアル且つ少しコミカルに描いてくれてるから。(本当は今の時代からは想像出来ないような面倒くさいことやむず痒いほど苦しい生活を描いているんだけど、程よいコミカル具合が面白く心地良い笑いを誘ってくれる。) そして、面白い映画を形成する上で欠かせない条件のNo.1か2に入ると思うぐらい重要でもある、「登場人物が魅力的でいとおしい存在」であること、ってところがばっちり過ぎた◎いとおしさ100の人達がそこにいた。
黒木華、池松壮亮、寛一郎…(字余り…)。彼ら全員最高だった。彼らの良いところむっちゃ出てた。濃縮還元ありがとう。この人達でしか出来ない、作れない人物・キャラクターでした。(関係無いけど、黒木華に興味ない人でも絶対黒木華を好きになるマイリストとして、「幕が上がる」「甘いお酒でうがい」「デザイナー渋井直人の休日」があるけど、「せかいのおきく」も今日から入れちゃう。) 寛一郎も役にはまり過ぎてて、とても良かった◎ 池松壮亮も、これこれ〜!この池松君が見たかった、会いたかったんよ…!と言わんばかりの良さよ。矢亮というキャラクター、とても良かったね。割と三度の飯より親父ギャグに夢中さ♪な私のギャグ欲を満たしてくれる、もっと欲しさせてくれるぐらいこまめにギャグを差し込んでくれる矢亮は、今の会社で働く上で私が一番欲している人材かもとか思った。人事部なら即採用。好きだった。人ってどんなに辛くても、笑いに変えるユーモアがある人ほどどんな境遇でも実は一番幸せに暮らせるコツを掴んだ数少ない人なんではとまで思っちゃった。(言い過ぎか、平和ボケしてるだけだね私は。すみません)
話を戻して…。冒頭で3人がはち合わすシーンとか、場所が場所な癖に、一発で観客のハート鷲掴みだもんなあ。話が、1秒1秒と進む度に、この作品の虜になってく感覚になる。出てくる人達みんなを好きになっていくと同時に、映画がもっと好きになる。あとあと、魅力的なこのキャラクターや世界観、この感じ何かに似てると思ったけど、「この世界の片隅に」を観てる時の多幸感を思い出して…。観終わった後映画館の壁に貼ってあるポスターを見つけて写真をカシャカシャ撮ってたら、この世界の〜の著者のこうの史代さんの感想コメントと、こうのさんが描いた絵がポスターにあるの見てまた興奮した。こうのさんが描いたおきくの絵も、この映画を観たけどどう感想を伝えて良いか分からない私の心を代弁してくれたようにも感じたのだよ…こんな事ってあるんだね。(←「代弁してくれたように〜」ってところを、劇中の池松壮亮演じる矢亮じゃないけど今笑うところだぜと言いたい〜言いたい〜笑。)
映画を観てる時は悲しい・切ない・嬉しいの涙が何度か流れたけど、観終わった後、幸せな思い出し涙が流れて、そのタイミングでのこうのさんの絵が見れて、感無量過ぎた。阪本順治監督よ…グッジョブ人間過ぎますぜ。ありがとう。
劇場にいた人達と一言だけ会話して良いなら、今日という金曜日の勝者は私達だったんだ、って言いたかった。幸せ。
モノクロ映像の中に、ほんのり微かな色の見える素敵な物語。
まるで短編小説のページをめくるような映画。
やはり黒木華さんの存在は大きい。
特に「秀逸だな」と思ったのは
戸口で好きな人の去る音を聞く表情と
好きな人の名を書き、ひとり悶えるところ。
おきくの心の内が分かる2つのカットは
さすがだな、と思った。
一方で「もの足りない」と感じたのは、おきくという人物を知る上で、何故あの人に惚れたのか、絶望から抜け出せた決定的な光は、などの答えは伝わらず…最後まで見えずじまい。あえてなのか?普段のおきくや、恋する娘としての姿は薄い。一方、同じ毎日を繰り返す若者二人のシーンは妙に長く、仕事や衣装以外の、言葉遣いや立ち姿は長屋の人々とほぼ同じに等しい。今の人に分かりやすい方法をとったのかもしれないが、人の内面から滲み出る卑屈さは見えなかった。身分違いの辛さ、想いの深さを感じられないまま迎えた「雪の場面」は非常に弱く、シーンとしては素敵だが心は動かなかった。
表現の問題か…勿体無い。
星は3.8のつもり
いい映画ではあった。
※
素晴しきおきくの世界
世界一清潔で快適といわれる日本のトイレにもああいう時代があったのだ。
白黒とはいえ汚物はリアルっぽいので潔癖性の人は食後の鑑賞をお勧めします。
あんな仕事でも誇りを持って頑張れは「おきく」のような美人で器量の良い娘に好かれるのだ。
あの和尚さん、地球は丸いって知ってたんだな。
モノクロで正解
カラーだとちょっとショボい映像になると思う。名カメラマンだから、白黒で撮っても綺麗なトーンだし。
演出は単調で、初めから最後まで内容が読めちゃう。
不慮のアクシデントで首を斬られて、声が出なくなった設定は秀逸で、黒木華も最高だった。
ただ最近流行りのSDGsは如何なテーマなのかとマイナス点
生き抜くエネルギーに満ち溢れた「せかい」
世の道理を貫いた父、重傷を負っても新しい生き方を模索するおきく、仕事柄蔑まれながらも夢や前進をあきらめない汚穢屋コンビ、一癖も二癖もある長屋の面々など、愚痴りながらも厳しい暮らしを前向きに生き抜こうとする市井の人々の活力が眩しい作品だった。登場人物達の、ポジティブ過ぎない、少しずつ地道に前に進み続ける姿が非常に良かった。
おきくの成長を、強気で気位の高いツンツンの顔、負傷してふさぎ込む顔、新しい生活に馴染み大人になっていく顔、恋する乙女の顔…様々な表情を通して表現した黒木華さんの繊細な演技が光っていた。
だからこそ、いきなりおきくが恋をするところから始まるのが勿体ないとも感じた。きっと黒木さんならツンツン娘がじわじわときめいていく様子を表現してくれたのではないだろうか。
白も黒もひっくるめて循環する
非常に美しいモノクロ映像で描かれるのはクソの話し。笑
確かにこれ、カラーだとキツイですが。
Odessaの極音を駆使して表現されるクソをかき混ぜる音!すくい上げる音!!
モノクロなのにスクリーンから臭ってきそうでした。うげ〜。
そして、ふいにカラーになる瞬間。
モノクロで想像していた色味より鮮やかすぎて、突然現実に引き戻されるような
「これ、今のことだからな。」と急に距離を縮められた気がしました。
しかし、クソ関連の言葉の多いことよ。
人間が生きていく上で誰しも避けては通れない身近なものだから、自ずと言葉も多くなったのでしょうが、1秒でも早く無かったことにしてしまいたいものでもあります。笑
そんなクソに価値を見出して買ってくれる下肥買いが江戸時代にはいた。。。
《もったいない》それは、与えられた資源に感謝して最後の最後まで使い切る日本の精神。
ご存知の方も多いでしょうが、しっくりくる英訳が無く「オリガミ」や「カラオケ」と同様に「モッタイナイ」で通じるらしい。
日本の着物が全て四角いパーツで作られているのはリサイクルを前提にしているからで、その合理性には舌を巻きます。
ただ袖を通して帯で縛る単純な着方だから、成長期には肩上げや腰上げでリサイズも自由自在。
更にお古として兄弟へ渡り、アテやツギを加えながら着たおす。
着る人がいなくなると、別のものに仕立て直してまた着る。
ついに生地がヨレヨレになったら、手拭いになり、赤ちゃんのオムツになり、雑巾になり、下駄のハナオになり、焚き付けになり、灰になってもまだまだ利用される。
なんと長い一生。死んでからも役に立つとは。
江戸時代は循環型社会。
人間も循環サイクルの一つとして、やがて死んだ体は土へと還るのだ。
そんな循環型アイデアに満ち満ちた江戸時代の歪みは、身分制度だと感じました。
クソを巡る価値のすり替えには「いや。どう考えてもおかしいでしょ?」とツッコミ入れたくなります。
サービスの売り買いが逆転しとる。
そんな不条理でドス黒い社会に降る純白の雪。
障子ごしに足音を聞くおきくの、なんと美しいことよ。
名前を書くおきくの、なんと可愛いことよ。
伝えたい思いは身分の垣根をぶち壊し
人を愛する心が世界を変える。
青春ラブストーリーは無敵なのだ!
常連の石橋蓮司さんは言うまでもなく、
佐藤浩一、寛一郎親子の共演も素晴らしかった。
クソの臭いで始まりますが、ラストは爽やかな気持ちになれます。
モノクロ作品
完成披露試写会に参加させていただきました。
時代劇では見たことのない作品・・・
おきくが雨宿りで出会った中次、下肥買いの矢亮の青春のお話
ある辛い出来事で声を失ったおきく・・・
淡い恋心・・・、命の循環(絶対に必要な仕事)
舞台挨拶で黒木華さんが江戸時代は手話というものがないと言われ・・・今では当たり前のことが・・・あっそうだと再認識させられました。
阪本順治監督が3年前に10分、2年前に10分そして、1年前に60分?
90分の作品を3年間かけた作品
モノクロ作品ですが、何ヵ所かの場面ではカラーに
4月28日全国上映
是非、映画館で
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