怪物のレビュー・感想・評価
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こうあるべきという怪物
とても良かったです。
丁寧なつくりで、色々な事柄が歯車のように重なって集約されていました。
重たそうな映画で子供が主人公なので、ビビリの私は二の足を踏んでいましたが、嫁さんが行くというので2人で観ました。
嫁さんの感想は、「あの学校はないよね」「色々な見方があるよね」と微妙な様で、「スラムダンクも観る?」とのお誘いでしたが「お腹いっぱい」と勘弁してもらいました。
とてもしっくりくる豪華俳優陣で、上映時間が125分でしたが、どこをどうとは言えませんが、もう少し長く観たかったです。
子供って親に気を使っていたし、今も使ってもらっているのいるのでしょう。
弱くて優しいものです。
子どもの世界は大人の世界の写し鏡
残酷すぎて泣けて仕方なかった。
パンデミック後の世界。
この時代に生きる子どもたちと大人。
…そして少年のある感情の芽生え
彼らの世界が一番しっくり来た。
(そうは言っても大人から見た彼らの世界であり、彼らの目には別の世界が映っているんだろう。)
仕合せにはなれない。
子供ももうそれを解っている。
湊のアップ
今一瞬が美しいと、切り取る側も解ってる。監督も、脚本家も、カメラマンも解っている。気づいてないのは少年だけ。或いは気づいているのか…。
大人に変わるほんの一瞬の悪魔的な美しさ。是枝監督はそんな少年を画面にとじ込めるのがとても巧い!
幸福そうな映像や音楽(彼らの心象風景なんだろうか?)でいて、いきなり終わるような予兆もそこかしこにある。その刹那、儚さに涙が流れた。
薄日差す風景が度々映る。一見すると何も起きてはいない。町はいつも通りだ。
これは何を意味してるんだろう…。
あの廃電車
ワイパーのように泥を掻き分ける手や丸い模様。
子供の世界に大人が土足で入ってきた。
彼らは彼らの世界でもう生きている。
子どもは大人の写し鏡。
残酷な“今”に生きていかなきゃならない。
次世代に託すしかない大人側の責任をひしひしと感じる。せめて逞しく生きて行って欲しいと祈るしかないのか…。
楽器の音。あれこそ怪物の唸り声じゃあないのかな。
永山瑛太
ある面から見ると挙動不審に見えるが、別の面から見ると誰も気づかないような事に気づいたりする。
田中裕子
人間の年輪
年の功
擬似祖母
ラストシーンが強烈。
この締めくくり方はスゴい!さすが。
湊と依里の髪型、トレーナーがいつの間にかお揃いになっていた。
黒川想矢(湊)…心の揺れ、ヒリヒリするような演技が素晴らしかった。
柊木陽太(依里)…彼の演技は天性のものなのか?
火事で始まり、嵐で終る。
是枝裕和監督、坂元裕二氏、黒川想矢さん、柊木陽太さん、田中裕子さん、俳優の皆さんに拍手を!!
是枝監督はまた別次元に行った。
怪物ならぬ、怪作!
実写映画の限界を感じたが、同時に実写映画としての最高峰を感じた
何が言いたかったのか分からない。
そういうレビューを度々見かけました。
その通りだと私も思います。
一般的に、物語には二つの意味合いがあるのではないでしょうか。
一つは、命題の提示。
そしてもう一つは、その作品なりの解答。
例えば、友情とはなんぞやと問い、友情とはこれだと示す。
そこまで行って一つの作品だと私は思います。
この作品は、この作品なりの解答を示しません。
2時間という時間を使って、終始私たちに問いかけてきます。
怪物とはなんぞや、と。
ですが、これは仕方のないことなのではないかとも私は思います。
普段、アニメ、漫画などの二次元を好んでいる私からすれば、実写映画というものは情報が観客に伝わりにくいメディアです。
キャラクターの感情一つ伝えることだって、いくらでも誇張が出来る二次元に比べて困難だと言えるでしょう。
同じ2時間という尺であるならば、実写映画というだけで伝えられる情報は限られてしまいます。
けれど、ならばこその今作なのではないかと、私は
考えました。
中途半端に命題を提示し、中途半端に解答を示す。
そうすれば一定の完成度は保てたかもしれません。
けれど、敢えて命題の提示に全てを注ぎ込み、観た者に最大の爪痕を残す。
もしもそのような意図であるならば、これこそが実写映画という範囲での最高峰なのではないでしょうか。
勿論、自分で考えさせられるのではなく解答を示して欲しい人たちには無価値である可能性も存分に孕んでおり、そういった意味では全国放映の映画として欠点ではあるのかと思います。
私は考察も大好きなので個人的には命題投げっぱなし上等で星5をつけたいくらいですが、客観的にレビューをするなら3.5くらいかなと。
後、いくら考えても飴ちゃん食べるのだけはおかしくないです?
ちょっとよくわからなかった
2次成長期のこどものあるあるに大人がまきこまれていくだけで退屈だな〜と思うタイミングが何度かあり2時間が長く感じた。
こどもは理屈ではない行動をするかもしれないのである意味リアル(同性に興味をもつ点は成長過程において十分にある)、その反面大人の行動が的外れで実際ないやろ的なものが多く集中できなかったかな、、
いろいろ詰め込まれているが、前述のこどもの日常がメインになっているため、一家庭のドラマも浅くなりなんだか消化不良。
他にも書いてる人がいるが、なにが言いたかったのかとか普段映画に求めないけど、これはよくわからんまま終わった。
なんで飴食べた?(笑)
テーマの意味を観るものに委ねる最近の日本映画の悪いところ
『万引家族』『ベイビーブローカー』に続くカンヌ受賞作品の是枝ワールドに期待。人気脚本家・坂元裕二さん、作曲は世界の坂本龍一というゴールデンスタッフ。役者も田中裕子さん、安藤サクラさん、永山瑛太さん、角田晃広さんすべてが素晴らしく巧い。映像の美しさや台詞の間合い、時系列の展開力など全てが素晴らしかった。でも『怪物』テーマの意味を観るものに委ねる最近の日本映画の悪いところが出て前2作のようなどこかずしーんと来るメッセージ制に欠ける消化不良の作品には残念。
作文の鏡文字
間違っていると母さんや先生は言う「僕」と「君」の名前を表した文字こそが正義で、
その周りを「言葉=フィクション」で埋めていった。
きっとみんな気づかないね。みんなフィクションに夢中だもの。
言葉もフィクションも、君の父さんも僕の母さんも周りの全て、どうだっていいんだ。
ただ僕らだけが知っていること。
(それもまたフィクションかも、、)
僕らのためだけに在るフィクション。
映画館で観るべし
芥川龍之介の「藪の中」のように、色々な視点から事象が違って見えるという面白い構成。映画館でちゃんと意識を集中して観て良かったと思いました。全体を包む不穏な空気、美しい音楽、引き込まれるストーリー。好き嫌いが分かれる部分もあるかもしれませんが、さすが印象深い作品でした。
本当の怪物とは
国内外から高く評価されている是枝作品ですが
今回のテーマは、かなりボヤかして表現されており
作品名の謎を
最後の最後まで解かせず
予想通り示さずに終えました
親
教師
子供
三方からの視点で映画を紡いでいく手法は
芥川龍之介の薮の中で
これまでも数々の作品が引用されたのです
しっかりハメ込めた腕前は
さすがの力量でした
さて是枝さんの言いたかったテーマはなんでしょうか
ネグレクト
いじめ
偏見
同性愛
嘘
多方に渡りすぎて
ちょっと掴めません
ただ心の中に潜む怪物は
大きくも小さくもあれ
誰にでも生息していて
それが表面化するのか
内在しながらも純化していくのか
どんな方向性にも動いていくもののようです
映画のメッセージを掘り下げるのは
実はあまり得意ではないので
他の方にお任せしようと思います
新たな名作
昨年のベイビー・ブローカーもすごくよかったけど、本作もほんとに名作だと思います。実は私は最初あんまり乗れなかったのですが、第二幕からぐーっと引き込まれ、三幕からはもうずっと切なくて美しくて胸がキューってしてました。ラストの美しさが切なさ増す。もう一回観たい。
是枝裕和、坂本裕二、坂本龍一、近藤龍人って贅沢すぎだし期待を裏切らなかった!アトロクの監督インタビューで、インティマシーコーディネーターを迎えての撮影や、子役もスタッフもLGBTQの子どもを支援する団体からレクチャーを受けたなども知り、是枝監督の誠実さを感じた、
特別な映画ファンや是枝監督ファンではないのですが、面白かったです!...
特別な映画ファンや是枝監督ファンではないのですが、面白かったです!
まず、役者さんが素晴らしい。安藤さんや瑛太さん、子役たち。
リアリティがあって良かった!(個人的には高畑さんが、かわいかった)
話的には、「これどうなるの?」と「どうしてこうなったの?」
が最初から最後まで全体に漂ってる感じで、冒頭からエンディングまで
惹きつけられました。
主人公の視点が、物語の進行に合わせて変わっていく所も良かったです。
どの主人公にもそれぞれ自分を重ね合わせれて、感じるものがありました。
映画を見た!って感じで満足しました!
人物の描かれ方、投げかけ方が素晴らしかった
自分は、子供がいて働く母だから、シングルではないけど初めのパートには割とすっと入っていけた。分かりやすかった。そりゃそうだろう、すごく辛いだろうと思った。それがダメなことではない。最後の子供達と緑の多い秘密基地のパート、子供は無垢なもの、子供だからなにをしてもいいとはいかない。どのパートにも良さと行きすぎてる面がある。途中から、不気味に響く音の正体がわかった時に、何だかそんなこともあるよなって思った。私の心の中でもトロンボーンやホルンが鳴り響くこともある。
音楽と、脚本は素晴らしかった。喋りすぎない脚本。坂元裕二さんは軽妙な会話のやり取りが魅力だと思っていたけど、特に子役の少ないセリフの中に複雑な思いを込めていて、対して大人たちのセリフは軽く、感情的だった。田中裕子のセリフはすごく深かった。一人一人の人物の描き方、投げかけ方良かったです。
誇張はあるがリアル
低評価のレビューに全員がひどすぎてリアリティがないと言うものがありましたが、フィクションですから多少の誇張はあるけれどリアルだと思いました。
大人に従順でいい子だけど本音をさらけ出さないこども
視野が狭くて問題が起これば相手側に非があると思いたがる親
忙しすぎて一人ひとりの子どもに目が行き届かない学校
わかりやすい悪者を見つけて叩きたがる世間
すべて今の日本の姿じゃないですか?
自分も怪物になってしまうかもしれないと戦慄を覚えなかった人は怪物度高めだと思います。
三幕目でミステリー構造から脱却し、物語性を消失させる子供たち
ゲイであると自認しながら、それをどうにか隠して生きてきた自分としてはいくらカンヌ主要賞である脚本賞とクィア・パルムを満場一致で受賞した映画とはいえ、少し見るのが不安なところもあったのですが、間違いなく大傑作であると同時に、よくぞここまで繊細で誠実に攻めた内容を日本で作り上げ、放映まで持ってこれたなととてもびっくりしています。
ある海外批評誌の記者がカンヌ映画祭で本作を鑑賞した時、「羅生門(藪の中)の構造を使うと一般の映画好きは無意識にミステリーだとカテゴライズするが、この映画は『他者の痛みの共有』のためにこの構造を転用していて、奇しくもそのジャンル的な構造を批評的に打ち壊すことに成功している」と大絶賛していて、その批評が頭の片隅に残りながら先日映画を見たのですが、見ている間はそういった「批評する自分」を置き去りにするほどの映画としての強さにとにかく圧倒されました。視聴後もしばし呆然としていたのですが、すぐに決定稿のシナリオとパンフレットを購入し、その内容を確認した後、監督、脚本、音楽、撮影にこれほどの才能が集まるとこういった映画が日本でも放映されるんだなとなぜか少し泣けてしまいました。
TAR、アフターサンと最近の映画は自分の好みに合うことも多かったのですが、この「怪物」はそれらを超えて自分にとって間違いなく大切な作品になりました。
ガチガチの構造に準拠した合理的なミステリーを見せてほしい人と構造ごといらない昔ながらのシネフィルの2パターンの人が日本人の観客には多いとよく映画監督や映画批評家で言っている人が多いのですが、パンフで脚本家も言っていた「最後、三幕目で物語性(構造)を無くす」という発想がこの映画のテーマそのものとリンクしてることに気がついて鳥肌がたち、これの凄さに気がついて脚本賞を受賞させたカンヌの審査員である監督や各国の映画祭のプロデューサーたちの確かな目と、なぜカンヌがこれほどまで世界で評価されている映画祭なのかを改めて実感しました。
スコセッシやアフターサンの監督が言っていたように「構造的に準拠した合理性からの脱却」は今活躍してる監督全員が抱える裏テーマであり、そういう部分こそ、「最大公約数なデータ集積では書けない人間の『ゆらぎ』」という形で評価される評も海外の批評誌でよく見かけるようになりましたが、そういった視点をさらに包括させるような素晴らしい映画だと感じました。
いかに上っ面しか見てないかを思い知らされます。
レビューが難しい為、前知識を全く入れたくない方はスルー願います。
夫が亡くなり、女手ひとつで育ててきた大切な息子。
その息子の水筒から泥が出てくる。靴が片方無くなっている。ケガをして帰ってくる・・・。
平穏な日常のシーンが、いや〜な空気に変わってくる。
いじめがテーマかぁと思っていた矢先、ビル火災のシーンがスイッチとなり、登場人物のターンが変わる。
そして、同じ出来事が別視点で描かれていきます。
すると、今まで信じてきた認知がひっくり返る。
共通に起こっている出来事が、見方によってここまで変わってしまうものなのか。
真実を捉えることの難しさを感じさせられる作品でしたね。
それにしても、視点が変わることでの伏線回収が非常に面白く、そしてその反面恐ろしさを感じました。
理解できているつもりが、実は上っ面しか見えない事が現実にはいくらでもあるわけで・・・
怪物だーれだ?
って、各登場人物のパート毎にコロコロ見方を変えちゃってる自分自身こそが怪物なんじゃないかと思っちゃいますね😅
もしかしたら、あの後更に別の視点で見せられてたら、あの子達の印象だって更に変わる可能性だってあるわけで・・・
なんかすごい作品でした✨
ちなみに、ロケ地が地元なんですけど、いつこんなに撮影してたんだろうと思うくらい、想像以上に馴染みの場所が舞台となっておりビックリでした!
聖地巡礼しまくれちゃいますね😁
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